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三度目勇者の異世界紀行  作者: 陽山純樹
第三話

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202/215

一致団結

「まず、勇者トキヤの言うような勝利条件……それを満たすことが可能か、という点について。側近達を打倒すること自体は可能だと私は断言する」


 強い言葉でファルビアは述べる。次いで、


「ジーガの協力が得られなくとも、勝利することはできると私は思う……ただ、それを今明かして油断されてもまずいから、私の口からは語らないが……そしてそこから先の新たな秩序……勇者トキヤとしては、戦いのない世界を作るための秩序形成については、不明瞭だと考えているところだろう」

「まあ、そうだな。けれど側近達を野放しにしておくことはできないし、戦う必要はある」


 ――今の側近以上に悪い展開になる可能性もゼロではないが……。


「ファルビアとしては、どうなると考える?」

「最悪の事態になることは当面ないだろう。現在、側近達と反旗を翻す者達は穏健だからな。側近達を倒したからといって、では今度こそ大陸へ攻撃を……などという可能性はさすがにない」

「その状況はどれだけ続くと思う?」

「オリヴァーなどが指導者となれば、まあ少なくとも数十年くらいはおとなしくなるんじゃないか? そこから先は……正直わからん」

「大陸側の人々としては少しでも長く平穏が保たれれば良いと考えるだろうけど……ここは天王達に頑張ってもらうしかないか」

「私としては正直、そこまで勇者トキヤが気を回す必要はないと思うんだが……まあいい、ともあれ、側近達を倒せば平穏が訪れる、という点はほぼ間違いないだろう」

「その根拠は何だ?」


 と、俺は問い掛ける。


「真実が公になったことで反発し、オリヴァーに従う魔族が多い……だがその一方で、俺の存在によって反発もあるだろう」

「反発があるのは事実だ。しかしそれは魔族を二分するようなものにはならない……敵の敵は味方、という論理が一番近いだろうか。陛下の側近という明確な敵が現れたことにより、多くの同胞達が一致団結した……無論、勇者トキヤが言う反発も大なり小なり存在はするだろうが、それは間違いなく少数派となる。オリヴァー達が戦うことにより、多くの同胞達は連携する……それは今後の秩序を形成していく上で、大きなものになるだろう」

「……共通の敵を倒した事実が、連帯感を強めるという話か」

「そうだ。ま、当のオリヴァーが大陸侵攻を夢見るなどという可能性がなくもない……オリヴァーが魔王の座に着くというのなら、あり得ない話ではないだろうが……そもそも、新たな魔王、というのが生まれない可能性が高いからな」

「魔王が……生まれない?」


 俺は聞き返す。新たな秩序――それは新たな魔王が生まれると共に形成されると考えていたのだが、ファルビアの見解では違うらしい。


「ああ、我ら魔族は陛下によって統制され、十年前の戦争ではまるで一つの生物のように動くことができた……元々我の強い種族である魔族だが、圧倒的な力を持つ陛下がいたからこそ、一つになれた」

「でも今は、そうした絶対的な力を持つ者がいない……」

「そうだ。陛下が全てを支配できたのは、同胞達を圧倒する力を持っていたからこそ。無論、腕っ節が強いだけでも魔王には到達できない。他者には圧倒的なカリスマ性などを含め、同胞達を従わせるためのあらゆる能力が必要だ」

「現在の魔族には、そうした力を有する者はいないと?」


 問い掛けに、ファルビアは小さく頷いた。


「あくまで私の見立てではあるが……荒くれ者も多い魔族をとりまとめるためには、絶対的な支配者がいる方がいいのは事実だが、十年前の戦争……その全てが側近達の手によるものだと判明した時点で、統治の手法を変えなければならない、と考える者だっているはずだ」

「……圧倒的な存在がいるからこそ、それを利用し好き放題やる輩だって出てしまうと」

「正直、ここについては今後模索していく必要がある。現時点で同胞の中で明確な正解を持っている者はいない……いや、正解などないのかもしれない」

「……大陸の国家だって、様々な過ちを繰り返し国家として形成している」


 俺はファルビアの言及に対し、そう応じた。


「この島は、言ってみれば魔族の国だ。国家というものを運営していく以上は、探り探りやっていくしかないんだろうな」

「正直、課題は山積みだよ。オリヴァーとて、後のことは懸念しているはずだ……今はただ、陛下の側近という明確な目標があるからこそ、そちらに集中しているだけだ」


 そこまで言うと、ファルビアは小さく息をつく。


「むしろ、これを契機に大陸側の者達が攻撃を仕掛けてくるのではないか……そういった危機感もある。それについてはどうだ?」

「……俺自身、そこについては不明瞭だ。けれど」


 と、俺は彼女と視線を合わせ、


「天王達も、争いは望んでいないと思う……ここについては、話をする際に確認しておくか」

「天王と繋がりがあるのか?」

「まあ一応」

「さすが陛下を倒した勇者だな」


 賞賛する言葉。俺は小さく肩をすくめ、


「ま、とりあえず今は側近達との戦いについて考えよう……その中で勝利するために重要なのは魔族ジーガについて――」

「ああ、ここにいたか」


 話を続けようとした時、魔族オリヴァーの声が聞こえてきた。


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