表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三度目勇者の異世界紀行  作者: 陽山純樹
第三話

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

199/225

彼女の思惑

「側近達とオリヴァー達の動きを見ようとした作戦だよ」


 魔族ファルビアはそう語る……作戦?


「具体的に言えば、側近達が私を狙うのか……そしてオリヴァー達は私を助けに来るか」

「……助けに来る?」


 側近のことも疑問に思ったが、先にそちらが引っかかり聞き返すと彼女は、


「オリヴァー達が反旗を翻すというのなら、襲われたら助けに来るくらいのことはするのか、という疑問を解決しようと考えた」

「身をもって、か?」

「そうだ」

「……もし助けが来なかったらどうするつもりだったんだ?」

「先も言っただろう、逃げ道は既に用意していたよ……そして側近達が私に対しどういう評価をしているのか、中立を宣言し説得するか敵対するかを把握しようと考えた。正直、この状況下で作戦に加われと説得してきたら、交渉テーブルくらいはつこうと考えていた。しかし結果は、一切の話なく攻撃してきた」


 そこでファルビアは笑う。


「これで心置きなくオリヴァーの陣営に入れるというものだ」

「ずいぶんとまあ、無茶をするんだな」


 俺は感想を述べ、彼女に一つ質問をする。


「村民に犠牲が出るような作戦だろう?」

「ん? 何だ気付いていないのか?」


 と、彼女は意外そうな顔で俺を見る。


「村には既に同胞はいないさ。家屋を補強し、なおかつ建物の中には私が作り出した村民をもした使い魔を配置してある」

「……は?」


 聞き返した矢先、メル達が索敵を終えたのかこちらに近づいてくる。


「トキヤ、周辺に悪魔はいません。加え、建物内にいる村民ですが……」

「今、魔族ファルビアから聞いた……偽物らしいが、本物はどこに?」

「既に屋敷から離れた場所に。さすがに村民を犠牲にするような作戦は立てないさ」

「……で、悪魔が来ることに備えて準備をしていたと。相当周到だけど、そこまでして迎え撃つ理由は? その気になれば、あなた自身も偽物を用意して逃げられただろう?」

「悪魔についての情報は必要だろう? 手ぶらでオリヴァーの所へ向かうより、何か持って行った方が重宝される」

「……まさか、情報取りのためにわざわざ?」

「この戦いは、側近達の情報をどこまでとれるかによって勝負が決まる……ならば、率先して動く必要があると考えたまでだ」


 ……何から何まで、全てを見通している。情報戦において負けていることも理解した上で、少しでも敵から得ようと動いた結果のようだった。

 悪魔の襲撃に対する備えもきちんとしているし……というか、まさか村民の偽物まで用意して待ち構えているとは思わなかった。


「……とはいえ、だ」


 と、ここでファルビアは俺へ視線を向ける。


「まさか勇者トキヤが援軍に来るとは思わなかったが。ここについては予想外であり、また同時に貴殿のおかげで建物の被害も最小限にできた。礼を言わせてもらおう」

「どうも……で、ここからどうするんだ?」

「既に領地を出る準備はしてある。村民にもそれを伝えているため問題ない」

「防衛については問題ないか? オリヴァーと手を組む以上、魔王の側近達からさらなる報復があってもおかしくないぞ」

「そこについても対策はしてあるから心配するな」

「……魔族オリヴァーの元へ向かうのは、あなただけですか?」


 ふいにメルが問い掛ける。それにファルビアは頷き、


「より正確に言えば、護衛数名と共にだな。残る者達は領地内の防衛を任せることになる」

「彼に挨拶をした後、再び領地に戻らないのですか? 他の方々は準備のためにそうしていますが……」

「側近達と戦うには、作戦を立てる者が必要だろう? しかもそれは、常に戦況を把握し、情報を得られる者が必須だ……オリヴァーがここに君達を寄越したのは、そうした技能を有する私を味方に引き入れるためのはずだ。私はオリヴァーの味方をすると決めた以上、そこについては問題ない。だが戦争となれば、領地を見る暇はなくなるほど忙しくなるだろう」

「……なるほど、わかりました」


 メルも頷く。魔族ファルビアは完全に自身が何をすべきなのかを理解している……オリヴァーが戦いに必要な存在であると語るのも、理解できた。


「ならば、これからの話をするが……どう推移すると思う?」


 こちらが問い掛けると、彼女は話し始めた。


「私に襲いかかったのは、悪魔が十分な数生み出せたためだろう。近日中に陛下の城、その周辺は悪魔によって防備を固めるはずだ」

「基本的には籠城ということか?」

「その通りだ。陛下の城には物資だって余すところなく存在しているため、長期戦になっても問題ない……城に引きこもり悪魔を生み出し続け、それを私達の領地にけしかけ続ける……それだけでこちらは疲弊し、いずれ限界が来る」

「自分たちが討って出る必要もないということか……」

「ああ。悪魔の能力は我ら魔族でも苦慮するほどであるため早急な対策が必要だ……軍略で全てを覆すには一歩足りない。よって、とある同胞を引き入れることも急務だ」


 それは一体――こちらが問い掛けるより先に、ファルビアは語った。


「ここについてはオリヴァーと顔を合わせる時に話をする……さて、早速だがオリヴァーの領地へ向かうとしよう――」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ