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三度目勇者の異世界紀行  作者: 陽山純樹
第三話

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理想的な展開

 ――その日は話し合いで終わり、俺達は翌日から屋敷へ出て悪魔が周辺にいないかについて調査を行うことにした。


「……ひとまず、話が大きく進んだと考えていいのかな?」


 外へ出てヘレナが呟く――屋敷で俺達は何不自由なく過ごすことはできているけれど、さすがに魔族がいるかもしれない場所で調査について話すのは躊躇するのか、仲間達は今まで話をしなかった。


「そうだな、俺達が望むような展開になる可能性はある……けど、それは当然――」

「魔族同士の抗争になる」


 フィリスが言った。俺は「そうだ」と返事をして、


「魔王の側近達は戦力を結集させていることを考えると、魔族を二分するような戦いに発展する可能性がある」

「勝てると思う?」


 純粋なフィリスの問い掛け。俺は「わからない」と答えつつ、


「オリヴァーがどれほど戦力を集められるかによって決まるな……今はまだ、魔王の側近達は俺達が魔族の領域に来たことを把握していても介入はしてこないはず。まさか、魔族を味方にできるような物を持っているとは思わないだろうからな」


 そこまで言うと俺は肩をすくめ、


「だから、今が戦力を集められる最大のチャンスではあるんだが……」

「むしろ、今しかありませんね」


 と、メルが発言する。


「状況に気付かれれば、すぐにでも悪魔の軍勢がやってくるでしょう」

「そうだな……だからここからはオリヴァー次第だ」

「……私達が介入して、勝てる方向に持って行けるかな?」


 そうした疑問がヘレナからもたらされる。それに対し俺は、


「戦争になれば、どれだけ強かろうとも大局は覆せない……俺は数多の戦場で戦ったし、色々な戦いで勝ちはしたけど、それでも大陸全土のに広がる戦火を抑えることはできなかった」

 そこまで語るとヘレナへ視線を向け、


「俺は魔王に勝利して戦争を終わらせることができた……でもそれは、魔族の長が前に出てきたからこそであり、同時に俺が負ければ大陸側は敗北する可能性もあった……賭けに近い戦いであり、正直そういう展開にはもっていきたくないな」

「理想的な展開は?」

「少なくとも、戦力的に俺達の方が上回っているような展開がいいな……十年前の戦争では、押し寄せる魔物にいつも少ない戦力で戦っていたから」

「個の力に頼る戦いは、限界があると嫌というほど思い知りましたからね」


 これはメルの言。俺は彼女の言葉に首肯し、


「だからこそ、オリヴァーの動きが大きく事態を左右する……ただ、オリヴァー自身は真実を知り悲壮な覚悟を持っている。たぶん、やってくれると思う」


 俺の言葉に仲間達は頷く……さて、残る問題としては――


「後は俺達のことを受け入れてくれるかどうか」

「……さすがに、情報提供者だし襲いかかってくるようなことはないよね?」


 ヘレナの言に「たぶんない」と応じた後、


「ただ、出番はないとして追い返される可能性はある」

「そうなったら、どうなるの?」

「俺達は戦局を変えることしかできないけれど、味方の犠牲を減らすことはできる……側近達との戦いで、そうしたことに貢献はできるはずだが、もし俺達の手がいらないと拒否されれば、泥沼の戦いが待っているかもしれない」

「その結果、魔王の側近達が勝利すれば……」

「魔族の勢力は確実に減るだろう。二分した戦争なわけだから。けれど以降、側近達に逆らえる存在はいなくなる……今度は文字通り、死力を尽くして大陸へ侵攻してくるだろう」


 その言葉に仲間達の表情は重い。


「もし戦争が起これば……魔族達は勢力を大きく減らす形だから、おそらく犠牲は伴うにしても大陸側が勝利するだろう……ただしそれは魔族同士の抗争を終えた直後に戦争を仕掛けた場合の話。もし時間を掛けて戦力を整えれば――」

「十年前の再現、ですか」


 メルの発言。俺は深々と頷き、


「十年前の戦争が、魔王の指揮によるものではなく、側近達が描いた絵図であれば……より周到かつ、狡猾に攻撃を仕掛けてくるだろう」


 仲間達は俺の言葉に首肯する。


「だからこそ、ここで止めなければならない……フィリスとしては、同胞を二分するような策だから思うところはあるだろうけど――」

「このまま放置していれば、どのみち魔族の多くが犠牲になる」


 そうフィリスは言う。


「しかも、それはひどく独裁的なやり方で……二分する戦いは確かに良くないかもしれないけれど、現状はより酷いと思う……私達を騙しているわけだから」

「どちらがマシか、なんて議論も良くないんだけどな……だがまあ、フィリスはそう考えているわけだな。なら後は、オリヴァーに任せるとしようか」

「ここが、今回の旅における最大の正念場ですね」


 メルが発言。俺は「そうだな」と同意し、


「問題は、俺達では何もできない……手から離れているからな。後は、祈るだけだ……ちなみにフィリスは、話し合いの場に加わるか?」

「私はトキヤ達の近くにいるよ……私が出ても効果はないだろうし、別にお偉いさんとかでもないし」

「わかった。ならフィリスも、上手くいくことを祈っていてくれ――」


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