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リング・ランナー

キランはコースを見つめた。

コースもキランを見つめ返している。

少なくとも――

そんな気がした。

リング。

リング。

リング。

どこを見てもリングだらけだった。

頭上。

正面。

タワーの周囲をねじれるように巡るもの。

空中に巨大なループを描くもの。

地面から数フィートしか離れていないものもあれば、

雲に届きそうな高さに浮かんでいるものまである。

「これ、正気じゃないだろ」

近くのスピーカーからギアの声が聞こえた。

『その意気だ』

「今のはやる気を出すための言葉じゃない」

『俺にはそう聞こえた』

キランはうめいた。

その後方。

観察ブースの中では、レイモンドがコーヒーを片手に座っていた。

キランとは違い、完全にリラックスしている。

「墜落したら救急車呼んでやるよ」

「ありがとうな、レイモンド!」

「どういたしまして」

バイザーの中にマッハのアイコンが現れた。

『念のため申し上げますが、私は墜落しないことを希望します』

「俺もだ」

『素晴らしい。意見が一致しました』

◇ ◇ ◇

キランのバイザーにカウントダウンが表示された。

**00:05**

**00:04**

**00:03**

**00:02**

**00:01**

**GO**

スラスターが点火した。

キランは即座に叫んだ。

危険だったからではない。

まだ。

ただ――

これほどの加速を経験したことがなかったからだ。

世界がぼやける。

スタートラインが一瞬で背後へ消えた。

建物が色の筋へ変わる。

ヘルメットの周囲で風が轟音を立てた。

「速すぎる!」

『速度を要求したのはあなたです』

「撤回する!」

マッハは丁寧に無視した。

最初のリングが迫る。

速い。

ものすごく速い。

不安になるくらい速い。

キランは慌てて操作装置を動かした。

機体が過剰に反応する。

リングが横を通り過ぎた。

そして――

その向こうにあった壁は、通り過ぎなかった。

ゴンッ!

衝撃が機体全体を走った。

キランは跳ね返された。

即座にバイザーへ警告が表示される。

**《挑戦1:失敗》**

沈黙。

そしてギアの声。

『いい知らせがある』

キランは頭を擦った。

「何?」

『壁の場所はわかったな』

「そりゃよかった」

二回目の挑戦は、十二秒続いた。

三回目は八秒。

四回目に至っては――

なぜか始まる前に終わった。

どうしてそうなったのか、キラン自身にもよくわからなかった。

六回目になる頃には、ようやく安定して飛べるようになっていた。

残念ながら、三つ目のリングを通り損ねた。

その瞬間、コース全体が赤く染まる。

けたたましいブザーが鳴り響いた。

キランは危うくヘルメットを投げ捨てるところだった。

「無理だろ、これ!」

『不可能ではありません』

マッハのアイコンが点滅する。

『単に改善が必要なだけです』

「お前が正論を言う時、本当に嫌い」

『理解しています』

◇ ◇ ◇

何時間も経過した。

一回一回の挑戦が、次第に混ざり合っていく。

激突。

リセット。

激突。

リセット。

激突。

リセット。

途中からキランは数えるのをやめた。

残念ながら――

コース側は数えるのをやめてくれなかった。

**《挑戦15》**

その時初めて、キランは最終区間まで到達した。

◇ ◇ ◇

最後のリングが、真正面に浮かんでいる。

勝利。

甘美で。

美しい。

待ち望んだ勝利。

「いけるぞ!」

リングが近づく。

近い。

もっと近い。

あと少し――

その瞬間。

タイマーがゼロになった。

リングが赤く変わる。

ブザーが訓練場全体に響いた。

キランは固まった。

「……嘘だろ」

**《制限時間超過》**

「嘘だろ」

ギアの声が聞こえる。

『もう一回』

「嫌だ」

『もう一回』

「断る!」

『もう一回』

マッハがため息をついた。

『もう一度挑戦するべきだと思います』

キランは裏切られたような顔でマッハを見た。

◇ ◇ ◇

太陽はゆっくりと空を移動していった。

訓練場には、失敗の残骸が積み重なっていた。

物理的な残骸ではない。

精神的な残骸だ。

ほぼ全部、精神的なものだった。

キランの腕は痛んだ。

肩も痛い。

そしてプライドは、壊滅的な損傷を受けていた。

それでも――

キランは続けた。

もう一度。

さらにもう一度。

そして、またもう一度。

挑戦するたびに上達した。

少し速く。

少し滑らかに。

少し上手く。

激突する回数が減っていく。

ターンは鋭くなった。

そして――

恐怖が少しずつ消えていった。

代わりに、別の何かが生まれ始める。

自信。

◇ ◇ ◇

**《挑戦86》**

キランがコースへ飛び込んだ。

一つ目。

二つ目。

三つ目。

四つ目。

五つ目。

六つ目。

機体は、まるでキラン自身の身体の一部になったかのように動いていた。

すべてのターンが自然だった。

すべての動作が、ほとんど無意識にできる。

風が身体の横を駆け抜けていく。

最終区間が見えた。

「マッハ!」

『見えています!』

最後のリングが迫る。

近い。

もっと近い。

あと少し――

キランは一気に高度を下げた。

機体が加速する。

そして――

リングが緑色に輝いた。

沈黙。

ほんの一瞬。

誰も何も言わなかった。

そして――

「やった!」

キランは両腕を空へ突き上げた。

「本当にやったぞ!」

マッハのアイコンが明るく輝く。

『素晴らしい飛行でした、キラン』

スピーカーが作動する。

『悪くない』

キランは笑った。

「ほらな? できるって言っただろ」

ギアは少し間を置いた。

そして付け加えた。

『まだ制限時間オーバーだけど』

沈黙。

キランの笑顔が消えた。

「……何?」

『コースは完走した』

「そうだよ!」

『でも、一分以内じゃない』

キランは空を見上げた。

空は何の慰めも与えてくれなかった。

◇ ◇ ◇

数分後。

キランは観察ブースの近くへ着陸した。

疲れ切っていた。

汗だく。

体力も完全に使い果たしている。

それでも――

嬉しかった。

初めてだった。

本当に、この機体が自分のものだと感じられた。

このスーツが自分のものだと。

そして――

この空が、自分の居場所なのだと。

するとギアが、またしてもすべてを台無しにした。

「さて」

キランは即座に眉をひそめた。

「……さて?」

「そろそろ戦闘訓練を始めようか」

沈黙。

キランが瞬きをした。

マッハも瞬きをした。

レイモンドは危うくコーヒーを吹き出しかけた。

「……戦闘訓練?」

「そう」

キランは障害物コースを指差した。

「俺、今あれを生き延びたばっかりなんだけど!?」

「よかったじゃん」

ギアは笑った。

「ここからが本番だ」

マッハのアイコンが、ゆっくりとうなだれた。

『おやおや……』

キランは突然――

明日について、

ものすごく嫌な予感がしてきた。

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