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歴史を盗む者

シトロン・シティ国立博物館は。

昼間なら。

美しい場所だった。

夜になると――

不気味としか言いようがない。

普段なら。

観光客で賑わう巨大な展示ホールも。

今は完全に無人。

何世紀も前の絵画が。

壁を埋め尽くしている。

年代物のホバークラフトが。

保護柵の向こうに展示されていた。

武器。

制服。

機械。

そして。

数え切れないほどの遺物。

そのすべてが。

シトロン・シティの長く。

複雑な歴史を物語っている。

だが今は。

すべてが。

暗闇の中。

静かに。

誰にも触れられず。

金で買える限り。

最高クラスのセキュリティシステムに守られていた。

そして。

眠っている警備員が一人。

「グゴォォォ……」

警備員は。

椅子に深く座っていた。

胸の上には。

一冊の本。

頭は。

わずかに横へ傾いている。

周囲で何が起きているのか。

まるで気づいていない。

それは。

非常にまずかった。

なぜなら。

彼の数メートル上では――

**スススッ。**

何かが。

天井を切っていた。

細い光線が。

ガラスパネルの一枚へ。

ゆっくりと四角形を描いていく。

**スススススッ。**

光線が止まった。

機械の手が。

切り取られたばかりの部分を。

慎重に掴む。

持ち上げる。

横へずらす。

そして。

姿を現したのは――

一体のロボット。

型式番号。

**RB–211**。

特別。

大柄というわけではない。

軍隊を引き裂くために造られた。

巨大戦闘兵器のような姿でもない。

洗練されている。

小型。

効率的。

その構造の。

すべてに意味があった。

そして今夜――

その目的は。

強盗。

RB–211が。

開けた穴から中を覗く。

機械の目が。

即座に。

下に展示されている彫刻を捉えた。

**ターゲット確認。**

視界が切り替わる。

博物館全体が。

デジタルグリッドへ変化した。

セキュリティシステム。

モーションセンサー。

圧力センサー。

そして――

レーザー。

大量の。

レーザー。

人間の目には。

見えない。

だが。

RB–211には。

すべて見えていた。

ロボットが。

侵入経路を計算する。

そして。

手首を上げた。

**ピシュッ!**

グラップリングフックが。

天井を横切る。

**ガチン!**

固定。

RB–211が。

一度だけ引っ張る。

問題なし。

そして――

降下を始めた。

ゆっくり。

慎重に。

身体を回転させながら。

見えないレーザーの隙間を通っていく。

左へ。

数センチ。

下降。

回転。

停止。

続行。

人間が。

同じことを試みていたなら。

ほんのわずかな動き一つで。

館内すべての警報が鳴り響いていただろう。

RB–211は。

決して動きを乱さない。

ついに。

展示台へ到達した。

機械の指が。

彫刻を掴む。

そのとき――

もう片方の腕から。

小さな装置が伸びた。

RB–211が。

彫刻を持ち上げると同時に――

装置が。

その下にある圧力センサーへ降ろされる。

重量は。

完璧に一致。

警報なし。

警告灯なし。

何もない。

RB–211は。

成功した。

だが――

「ん……」

警備員が。

動いた。

ゆっくり。

目が開く。

瞬きをする。

寝ぼけた頭では。

目の前の光景を。

すぐには理解できなかった。

そして。

目が見開かれる。

ロボット。

展示品を。

盗んでいる。

「……?」

警備員は。

椅子から飛び上がるように立った。

武器を掴む。

「おい!」

RB–211は。

作業を続ける。

警備員が。

ブラスターを構えた。

「止まれ!」

反応なし。

RB–211は。

彼を見ることすらしない。

警備員が。

一歩近づく。

「その彫刻を置け! さもないと――」

RB–211の側面で。

小さな格納部が開いた。

警備員が。

固まる。

小型の銃が。

姿を現した。

**プシュッ!**

ダーツが。

警備員へ突き刺さった。

目が見開かれる。

武器が。

手から落ちた。

そして――

倒れた。

ようやく。

RB–211が。

彼を見る。

警備員は。

床の上で。

動かない。

口元から。

ゆっくり泡が溢れ始める。

皮膚の下では。

黒ずんだ血管が。

広がっていった。

RB–211は。

彼がもう脅威ではないと確認するのに。

必要な時間だけ観察した。

そして。

背を向けた。

任務が最優先。

ロボットは。

ケーブルを上昇する。

開口部を抜ける。

そして。

夜の闇へ消えた。

博物館に。

再び静寂が戻った。

ただし今度は――

貴重な展示品が。

一つ消えている。

そして。

警備員は。

もう眠ってはいなかった。

外では――

何の特徴もないバンが。

近くで待機していた。

車内には。

筋肉質な若い男。

**アラン・マンドレイク**。

指が。

コンピューターのキーボードを。

素早く叩いている。

画面を。

情報が流れていく。

RB–211のカメラ映像。

博物館の見取り図。

セキュリティシステム。

任務状況。

そのとき――

**コン。**

マンドレイクの手が止まった。

**コン。コン。**

横のドアを見る。

笑みが浮かぶ。

ドアを開けた。

外には。

RB–211。

両手には。

盗み出した彫刻が。

しっかりと抱えられている。

マンドレイクの笑みが。

さらに大きくなった。

「今回も成功だな」

「はい、サー」

マンドレイクが。

彫刻を受け取る。

それを見つめる目は。

歴史を見ている者の目ではなかった。

見ているのは。

金。

大金。

RB–211が。

バンへ乗り込む。

「スリープモードを起動する許可をいただけますか?」

マンドレイクが。

相棒のロボットを見る。

「いいぞ」

彫刻を。

ノートパソコンの隣へ置く。

「よくやった」

RB–211は。

車内の壁にもたれた。

ライトが。

ゆっくり消えていく。

頭が下がる。

静かに。

停止。

マンドレイクは。

コンピューターへ戻った。

「おやすみ、RB」

再び。

キーボードを叩き始める。

博物館強盗は。

終わった。

つまり――

次の仕事を。

準備する時間だ。

モニターに。

新しい画像が表示された。

マンドレイクが。

身を乗り出す。

彫刻ではない。

値段のつけようもない絵画でもない。

一見すると。

価値があるようにすら見えなかった。

ただの。

劣化した黄金色の金属片。

古代の。

Ventプレート。

マンドレイクは。

それを見つめた。

そして。

笑った。

「次の仕事は……*とんでもねえ大仕事*になりそうだ」

その言葉が。

どれほど正しかったのか。

このときの彼には。

知る由もなかった。

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