↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
39/209

見方を変えれば

ザビエルは困惑した顔をしていた。

無理もない。

「……見方を変える?」

「そういうこと」

「でも、どうやって?」

キランはその問いについて考えた。

魔法のような答えがあるわけではない。

スイッチ一つで切り替えられるものでもない。

すべての問題を一瞬で消してくれる、奇跡のような悟りがあるわけでもない。

もしそんなものがあったなら――

何年も前に誰かに教えてほしかった。

「つまり、どんな困難があっても、それを乗り越える道を選ぶことはできるってこと」

ザビエルは黙っていた。

キランは続ける。

「簡単じゃないよ」

それは誰よりもよく分かっていた。

「でも、やる価値のあることに簡単なものなんてない」

ザビエルは床へ視線を落とした。

「僕……」

キランは待った。

無理強いできることではない。

やがて、ザビエルは顔を上げた。

「……分かりました」

表情が変わっていた。

不安はまだある。

恥ずかしさも。

だが今は――

そこに別のものがあった。

決意。

「もっと頑張ってみます」

キランは微笑んだ。

「それで十分だよ」

マッハも満足そうだった。

もちろん、一度話しただけでザビエルの問題が魔法のように解決するわけではない。

父親との関係が突然よくなるわけでもない。

プレッシャーが消えるわけでもない。

そして彼をネオン・サーカスへ追いやった原因そのものにも、これから向き合う必要がある。

それでも――

やってみる。

そこから始めればいい。

「ありがとうございます」

ザビエルが言った。

「どういたしまして」

ザビエルは少し迷った。

そして視線が、キランに没収された光るパッチへ移った。

「それで……」

キランにはもう分かっていた。

「……やっぱり警察には通報するんですか?」

ああ。

来た。

キランは腕を組んだ。

それについては、自分も考えていた。

学校には規則がある。

法律にも規則がある。

そしてザビエルは、校内で違法薬物だと知りながら購入した。

なかったことにはできない。

しかし――

今ここで警察を呼べば。

さっきまで自分が伝えようとしていたことを、全部台無しにしてしまう気がした。

「……警察を呼ぶ必要まではないと思う」

ザビエルの目が見開かれた。

「本当に?」

「ただし……」

安心した表情が一瞬で消えた。

「……完全にお咎めなしってわけにもいかない」

キランは厳しい目を向けた。

「ある程度の罰は受けてもらう」

ザビエルは唾を飲み込んだ。

「ど、どんな……?」

キランにはすでに考えがあった。

「薬物で報告する代わりに、授業をサボったことにする」

ザビエルは瞬きをした。

キランは続けた。

「それでも二、三日は居残りになる。でも警察は関わらないし、君が刑務所に行くこともない」

眉を上げる。

「それでいい?」

ザビエルは考えるまでもなかった。

「はい。それでお願いします」

「よし」

キランは頷いた。

「じゃあ、僕に後悔させないで」

ザビエルは俯いた。

「……させません」

だが――

二人とも気づいていなかった。

彼らだけではなかったことに。

角の向こうで。

誰かが話を聞いていた。

ヘイゼル。

キランが何をしたのか理解するには、十分すぎるほど聞いていた。

そして離れた場所から静かに彼を見つめながら――

ヘイゼルの口元に。

小さな感心したような笑みが浮かんだ。

放課後。

学校から生徒たちの姿はあっという間に消えていった。

校舎から次々と外へ出ていく。

バスへ向かう者。

迎えに来た親と合流する者。

歩道を通って家へ帰っていく者。

キランは、その誰にも興味がなかった。

見ていたのは――

ダレン・スティール。

ダレンが校舎から出てきた。

立ち止まる。

そして周囲を確認した。

左。

右。

後ろ。

キランは目を細めた。

*絶対怪しい。*

マッハが近くに浮かんでいた。

「それで、これからどうするのですか?」

キランはダレンから目を離さない。

「アジトまで尾行して、場所が分かったら警察に通報する」

単純。

明快。

安全。

だいたい。

「簡単だよ」

マッハがキランを見る。

キランはその視線を無視した。

「それで、あいつらを止める」

ダレンが歩き始めた。

キランも後を追った。

慎重に。

建物の近くを進み、見失わない程度にできるだけ距離を取る。

マッハも隣についていった。

「心配性だと思われるかもしれませんが……」

キランにはもう続きが分かっていた。

「……現在、私たちは武器を持っていないという点を、改めてお伝えしておくべきかと」

「覚えてる」

「見つかった場合、我々には身を守る手段がありません」

「了解」

キランは進み続けた。

ゆっくり。

慎重に。

静かに。

難しいことじゃない。

ダレンに気づかれないよう、ただ後をついていけば――

**カランッ!**

キランが固まった。

車輪が空き缶にぶつかった。

缶が歩道を転がっていく。

大きな音を立てながら。

痛いほど大きな音を。

ダレンが止まった。

「……ん?」

キランの目が見開かれた。

マッハの目も見開かれた。

言葉は必要なかった。

キランは即座にレンガ壁の裏へ移動した。

マッハも続く。

二人は姿を隠し、ダレンが振り返る間、息を潜めた。

キランは微動だにしない。

ダレンは歩道の向こうを見つめた。

何もない。

誰もいない。

数秒後――

前を向いた。

そして再び歩き始めた。

キランはゆっくり壁から顔を覗かせた。

ダレンはまた進んでいる。

「ふぅ……」

キランは息を吐いた。

「危なかった」

マッハがじっと彼を見る。

キランには、Ventが何を考えているのか完全に分かった。

「言わないで」

「私は何も言っていません」

「言おうとしてた」

「はい」

一方その頃――

街の別の場所にある建物では。

ネオンのメンバーたちが集まっていた。

彼らのアジトは目立っていた。

彼ら自身と同じくらい。

室内の至るところでネオンライトが輝いている。

ギャングのメンバーたちは好き勝手にくつろぎ、その周囲には金、機材、違法な品々が無造作に散らばっていた。

その中心に座っているのが――

リーダー。

ウルトラヴァイオレット。

身体の一部は機械化されており、そのパーツ一つ一つに光り輝くネオンのラインが走っている。

黒いスーツの縁にも、同じ鮮烈な光が巡っていた。

その隣には、右腕の男――

グロウスティック。

異様なほどの長身で。

部屋にいるほぼ全員を見下ろす巨体だった。

ウルトラヴァイオレットは、その日の売上クレジットを数えていた。

そして止まった。

表情が険しくなる。

「五十クレジット足りねぇ」

もう一度数える。

同じだった。

「ったく、あの野郎。次のブツが届く前に戻ってこなかったら承知しねぇぞ」

その外では――

すでにアジトを突き止めていた者がいた。

レイモンド。

ギアが作った新型バトルスーツを身につけ、入口近くに立っている。

腕に搭載されたブラスターを確認する。

準備完了。

レインボーから場所を吐かせていた。

あとは中へ入るだけ。

組織の実態を確認する。

十分な情報を集める。

そして――

潰す。

レイモンドが動こうとした。

その時――

足音。

誰かが近づいてくる。

レイモンドは通りへ目を向けた。

十代の少年が建物へ向かっていた。

ダレン・スティール。

レイモンドの表情が崩れた。

「……最高だな」

すぐに身を隠す。

ダレンはレイモンドに気づかず、その前を通り過ぎた。

そして建物の中へ消えていった。

レイモンドは待った。

一秒。

二秒。

三秒。

そして入口へ向かった。

建物の中から、ウルトラヴァイオレットの声が聞こえる。

「やっと来たか。ブツは?」

「ああ」

ダレンが答えた。

「遅れてごめん」

レイモンドは中へ忍び込んだ。

静かに。

慎重に。

姿を隠しながら進む。

その時――

外で何かが動いた。

レイモンドは振り返った。

目が見開かれる。

いや。

絶対にダメだ。

キランが建物へ向かって忍び寄っている。

隣にはマッハ。

レイモンドは信じられないものを見るように二人を見つめた。

キランは戦闘用車椅子に乗っていない。

武器もない。

レイモンドがすでにここにいることも知らない。

なのに――

二人は別々に動いていたにもかかわらず。

まったく同じギャングを追跡し。

まったく同じアジトへ辿り着いていた。

レイモンドは目を閉じた。

ほんの一秒だけ。

どうやら――

キランをトラブルから遠ざけておくことは。

バトルスーツを作るよりも、ずっと難しいらしい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。