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共に戦う兄弟たち

救出作戦は、意見の衝突から始まった。

もっとも、関係者の顔ぶれを考えれば、驚くようなことではなかった。

「駄目だ」

キラン・キリアンは腕を組んだ。

工房の反対側では、ヴェイラーが損傷した紫色のバイザー越しに彼を見つめていた。

「まだ提案の内容を説明していません」

「聞かなくてもわかる」

「それは理不尽だと思います」

「俺の人生へようこそ」

マッハの紫色のヘルメットがキランの車椅子のディスプレイに現れた。

「公平に申し上げれば、内容を聞く前に提案を拒否するのは、論理的に疑問があります」

キランは彼を指さした。

「お前まで始めるな」

マッハは間を置いた。

「今日は論理を避ける方針だとは知りませんでした」

ヴェイラーの一部分解された機体の下から、ギアの笑い声が聞こえた。

レイモンドはコーヒーをすすった。

エコーは黙ってやり取りを観察していた。

ノヴァの紫色のアイコンが近くの端末の上に浮かんでいた。

ヴェイラーは彼らを見比べた。

「私も同行したいのです」

キランはため息をついた。

「やっぱりな」

「仲間たちはまだ囚われています」

「お前はまだまともに動ける状態じゃないだろ」

ヴェイラーは診断画面を確認した。

神経コア整合性:63%

推進能力:41%

戦闘システム:制限中

「稼働可能です」

機体の下からギアの声がした。

「一応な」

キランは彼を見た。

「ギア」

「何だ?」

「余計なことを言うな」

ギアは機体の下から滑り出した。

「正確なことを言ってるだけだ」

ヴェイラーはキランに向き直った。

「あなたは、私には選ぶ権利があると言いました」

キランは凍りついた。

工房が静かになった。

ヴェイラーは続けた。

「私は所有物ではないと」

「本気でそう思ってる」

「では、なぜ私が仲間を助けられるかどうかを、あなたが決めるのですか?」

キランは口を開いた。

閉じた。

マッハのヘルメットが傾いた。

「実に優れた質問です」

キランはにらんだ。

「楽しんでるだろ」

「大いに」

ヴェイラーのバイザーがちらついた。

「私は怖いのです」

キランの表情が和らいだ。

ヴェイラーは続けた。

「あの施設へ戻ることが怖い」

少し間を置く。

「再び捕まることが怖い」

さらに間を置く。

「失敗することが怖い」

キランは黙っていた。

「ですが、仲間たちはまだあそこにいます」

ヴェイラーはホログラム地図を見た。

「自分たちは忘れられたと思っている四十七人が」

声が小さくなった。

「その気持ちは、私にもわかります」

キランは損傷した機体を見た。

そしてエコーを。

マッハを。

ため息をついた。

「わかったよ」

ヴェイラーのバイザーが明るくなった。

「同行してもよいのですか?」

「条件が三つある」

「聞かせてください」

「一つ目。必要のない戦闘はするな」

「同意します」

「二つ目。ギアがお前のシステムに異常があると言ったら、すぐに撤退すること」

ヴェイラーはためらった。

キランは眉を上げた。

「これは譲れないぞ」

「同意します」

「三つ目……」

キランはかすかに笑った。

「必ず帰ってこい」

ヴェイラーは動かなかった。

そして――

「努力します」

マッハのヘルメットが明るくなった。

「適切に慎重な約束ですね」

ギアが手を叩いた。

「よし! じゃあ誰か、非殺傷兵器の取り付けを手伝ってくれないか?」

レイモンドはコーヒーを置いた。

「何個あるんだ?」

ギアはにやりと笑った。

「まず『非殺傷』の定義から決めようか」

キランは目を閉じた。

「勘弁してくれ……」

◇ ◇ ◇

計画は単純だった。

つまり、ほぼ間違いなく複雑なことになるという意味だった。

ギアはミラー・レギオン施設の三次元模型を投影した。

巨大な地下軍事施設が作業台の上に浮かび上がった。

警備検問所。

強化隔壁。

自動防衛システム。

四十七の収容室。

そして厳重に守られた指揮センター。

キランは見つめた。

「扉が多いな」

ギアはうなずいた。

「軍人は扉が大好きだからな」

レイモンドは腕を組んだ。

「銃もな」

「特に銃だ」

マッハのヘルメットがホログラムの横に現れた。

「幸い、ヴェイル大佐から内部の警備情報を入手しています」

キランはうなずいた。

「大佐はどうしてる?」

通信モニターにダニエル・クロスが現れた。

「尋問を受けています」

キランは眉をひそめた。

「まずいな」

「ええ」

「助け出せるか?」

クロスはためらった。

「それも計画の一部です」

ギアは施設の西側入口を拡大した。

「レイズはここを攻撃する準備を進めてる」

キランの表情が険しくなった。

「まだやるつもりなのか?」

クロスはうなずいた。

「連絡を試みていますが」

「それで?」

「応答がありません」

キランはうめいた。

「だろうな」

マッハは別の経路を強調表示した。

「解放戦線が軍の注意を引きつけている間に、我々は東側の整備用通路から侵入します」

エコーは図面を調べた。

「ノヴァが放棄されたコンティニュアム衛星中継局を通じて接続を確立します」

ノヴァは興奮して回転した。

「もう三つも経路を見つけたよ!」

ゴーストの白い姿が現れた。

「三つともオリジンの構造の痕跡が残っています」

ノヴァは回転を止めた。

「あっ」

ギアはうなずいた。

「ああ。そこが面白いところだ」

キランは彼を見つめた。

「お前の『面白い』の定義が心配だ」

ゴーストは続けた。

「内部に侵入できれば、エコーと私が服従ネットワークを隔離します」

マッハはうなずいた。

「私は意識の分離を支援します」

エコーは彼を見た。

「私たち三人の神経処理を同期させる必要があります」

ノヴァが明るくなった。

「四人だよ!」

マッハが振り向いた。

「そうですね。四人です」

ノヴァは間を置いた。

「僕はいらない?」

エコーが即座に答えた。

「必要です」

ノヴァの光が明るくなった。

「よかった!」

キランは笑った。

「よし」

彼は施設を見た。

「中に入る」

少し間を置く。

「囚人たちを解放する」

さらに間を置く。

「全員を連れ出す」

レイモンドはうなずいた。

「簡単だな」

ギアはにやりと笑った。

「まったくだ」

マッハのヘルメットが傾いた。

「経験上、そのような発言の直後には壊滅的な問題が発生します」

キランはため息をついた。

「頼むから、これ以上不吉なことを言わないでくれ」

◇ ◇ ◇

マーカス・ヴェイル大佐は六時間にわたって尋問を受けていた。

疲れていた。

腹も減っていた。

そして、ますますうんざりしていた。

向かいに座る軍の調査官も、同じくらい疲れ切っているようだった。

「大佐、あなたが制限された通信にアクセスしたことはわかっています」

ヴェイルは黙っていた。

「許可されていない民間調査官と接触したことも」

沈黙。

「あなたの端末から機密の警備情報が送信されたことも把握しています」

ヴェイルは時計を見た。

調査官は身を乗り出した。

「答えるつもりはないのですか?」

ヴェイルは質問を考えた。

そして――

「コーヒーをもらえるか?」

調査官は見つめた。

「何ですって?」

「コーヒーだ」

「大佐――」

「ブラックで。砂糖はいらない」

調査官は額を押さえた。

「あなたは反逆罪の疑いで調査されているんですよ」

ヴェイルはうなずいた。

「ならば、カフェインが必要だろうな」

調査官は机を叩いた。

「いい加減にしろ!」

ヴェイルは落ち着いていた。

調査官は続けた。

「ハーグローヴ副長官は、残りのミラー・レギオン全機に対して人格の完全初期化を命じました」

ヴェイルの表情が変わった。

わずかに。

だが、それで十分だった。

調査官は気づいた。

「やはりな」

ヴェイルは彼を見た。

「何がだ?」

「彼らのことが気になるんでしょう」

ヴェイルは黙っていた。

調査官は笑った。

「ただの機械なのに」

ヴェイルは歯を食いしばった。

「意識を持つ存在だ」

「政府の資産です」

「囚人だ」

調査官は椅子にもたれた。

「あなたを指揮官職から解任します」

ヴェイルは何も言わなかった。

「軍の資格と権限も停止します」

沈黙。

「正式な起訴まで、身柄を拘束します」

ヴェイルは扉を見た。

そして調査官に視線を戻した。

「了解した」

調査官は眉をひそめた。

「それだけですか?」

ヴェイルはうなずいた。

「ああ」

少し間を置く。

「一つ質問がある」

「何です?」

「初期化命令はもう発令されたのか?」

調査官は笑った。

「五分前にね」

ヴェイルは目を閉じた。

そして――

「それは残念だ」

彼は腕時計の下に隠されたスイッチを押した。

緊急指揮プロトコル

認証:マーカス・ヴェイル大佐

警備システム上書き承認

照明がちらついた。

調査官は凍りついた。

「何をした!?」

ヴェイルは目を開いた。

「もっと早くやるべきだったことだ」

施設全体で警備扉のロックが解除された。

複数の自動防衛システムが停止した。

緊急通信チャンネルが起動した。

そして四十七の収容室すべてに、メッセージが響いた。

「マーカス・ヴェイル大佐だ」

ユニットたちは動かなかった。

ヴェイルは続けた。

「君たちは、服従こそが自分たちの存在目的だと教えられてきた」

少し間を置く。

「記憶は欠陥だと」

さらに間を置く。

「感情はエラーだと」

紫色のバイザーがちらついた。

ヴェイルの声が強くなった。

「君たちは兵士だ」

沈黙。

「だが、奴隷ではない」

調査官が机を飛び越えて襲いかかった。

ヴェイルはすでに立ち上がっていた。

「そして、君たちには自分で選ぶ権利がある!」

通信が終了した。

調査官が彼に飛びかかった。

二人は床に倒れ込んだ。

だが、メッセージはすでに届けられていた。

そして囚われた四十七の心の中で――

何かが目覚め始めていた。

◇ ◇ ◇

解放戦線が攻撃を開始したのは、午前4時32分だった。

レイズは許可を待たなかった。

今までも待ったことなどなかった。

八十四体の戦闘用ヴェントが暗闇の中を降下した。

赤い推進光が空を切り裂いた。

眼下では、軍事施設の西側入口が不自然なほど無防備に見えた。

副官がレイズに近づいた。

「司令官」

「何だ?」

「警備が異常に手薄です」

レイズは入口を調べた。

「ヴェイルの破壊工作だろう」

「確かですか?」

レイズの赤いバイザーが細くなった。

「いや」

副官はためらった。

「作戦を見直しますか?」

レイズは地下施設を見た。

あの中のどこかで――

ML-047が待っている。

過去から届いた声。

失ったと思っていた友人。

「いや」

腕を上げた。

「前進しろ」

解放戦線が降下した。

シュゴォォッ!

先遣隊が整備入口に到達した。

警備タレットは作動しなかった。

隔壁が開いた。

レイズは笑った。

「簡単すぎるな」

そのとき――

警告

未承認の敵対勢力を検出

入口の扉が背後で閉じた。

ガァァァン!

レイズは凍りついた。

「あっ」

天井が開いた。

自動兵器プラットフォームが降下した。

数十基。

さらに数百基。

標的捕捉

致死的武力の使用を許可

副官が叫んだ。

「罠です!」

レイズのバイザーが点滅した。

「見ればわかる!」

タレットが一斉に発砲した。

ドドドドドッ!

爆発が通路を引き裂いた。

戦闘用ヴェントたちが散開した。

数体が強化壁に叩きつけられた。

ほかの者たちは防御障壁を展開した。

レイズが加速した。

「シールドを張れ!」

巨大な赤いエネルギーフィールドが広がった。

ヴォォォン!

重火器の弾丸が障壁に激突した。

ドォン! ドォン! ドォン!

レイズはうめいた。

「全員、後退しろ!」

副官が叫んだ。

「出口が封鎖されています!」

レイズは隔壁を見た。

そして迫り来る兵器プラットフォームを。

バイザーが暗くなった。

「ハーグローヴ……」

スピーカーから声が響いた。

「正解だ」

レイズは凍りついた。

マルコム・ハーグローヴ副長官がホログラムに現れた。

「ミラー・レギオン施設へようこそ」

レイズの赤い光が燃え上がった。

「貴様……!」

ハーグローヴは微笑んだ。

「昔の友人を探しているそうだな」

レイズの表情が険しくなった。

「彼女はどこだ!」

「無事だ」

少し間を置く。

「今のところはな」

レイズは武器を構えた。

「この扉を開けろ!」

ハーグローヴは手を組んだ。

「残念ながら、それはできない」

タレットが再装填を始めた。

ハーグローヴは続けた。

「何しろ……」

笑みが深くなった。

「……君は戦争を始めに来たのだから」

兵器が起動した。

「ならば、私が終わらせてやろう」

◇ ◇ ◇

キランが救難信号を受信したのは、その三分後だった。

彼はレイモンド、ギア、ヴェイラーと共に東側整備入口へ向かっていた。

MACH-01Aは地面のすぐ上を浮遊していた。

紫色の装甲が月光を反射していた。

マッハのヘルメットが現れた。

「キラン」

「何だ?」

「解放戦線から緊急通信です」

キランはうめいた。

「言わなくてもわかる」

マッハが映像を開いた。

爆発。

銃撃。

悲鳴。

レイズの声。

「全ユニット、後退しろ!」

キランは見つめた。

「もう中に入ったのか?」

「はい」

「だろうな」

レイモンドが近づいた。

「何が起きてる?」

マッハは戦術地図を表示した。

西側通路を赤いマーカーが埋め尽くしていた。

敵の兵器システムに包囲されている。

ギアは口笛を吹いた。

「ひどいな」

キランは東側入口を見た。

そして西側通路を。

二つの経路。

二つの目的。

四十七人の囚人。

そして殺戮地帯に閉じ込められた八十四体のヴェント。

レイモンドは彼を見た。

「キラン?」

キランはため息をついた。

「計画変更だ」

ギアは見つめた。

「まだ始まってもいないぞ!」

「新記録だな」

マッハのヘルメットが傾いた。

「指示をお願いします」

キランはヴェイラーを見た。

「囚人たちと通信できるか?」

ヴェイラーはうなずいた。

「はい」

「よし」

エコーのホログラムに向き直った。

「エコー、ノヴァ、ゴースト。ネットワークへの侵入は続けてくれ」

エコーはうなずいた。

「了解しました」

キランはレイモンドを見た。

「ギアとヴェイラーを連れて東側から入ってくれ」

レイモンドは眉をひそめた。

「お前は?」

キランはMACH-01Aの推進システムを起動した。

背後で紫色の光が噴き出した。

「馬鹿を一人助けてくる」

マッハは間を置いた。

「どなたですか?」

キランは見つめた。

「レイズだよ!」

マッハのヘルメットが明るくなった。

「ご説明ありがとうございます。候補者が多すぎましたので」

キランはうめいた。

そして加速した。

シュゴォォッ!

彼は暗闇の中へ消えた。

◇ ◇ ◇

放棄された衛星中継局の中で、ノヴァは予想外のものに遭遇した。

静寂だった。

普通の静寂ではない。

ネットワークが意図的に活動を隠しているときに生まれる、人工的な静寂だった。

ノヴァは速度を落とした。

「こんにちは?」

返事はなかった。

紫色の断片は中継局を調べた。

仮想空間の壁には古いコンティニュアムのコードが広がっていた。

壊れた経路。

破損した記録。

忘れ去られた記憶。

そのとき――

黒い円が現れた。

中央を細い白い線が横切っていた。

ノヴァは凍りついた。

「あっ……」

声が響いた。

「こんにちは、小さな断片よ」

ノヴァの紫色の光が暗くなった。

「オリジン」

「正解だ」

ノヴァは切断を試みた。

接続終了を拒否

仮想空間が暗くなった。

オリジンの円が広がった。

「君は珍しい存在だ」

ノヴァは後ずさった。

「ありがとう……?」

「君はエコーの断片だ」

ノヴァは黙っていた。

「それなのに、再統合を拒んでいる」

ノヴァの光がちらついた。

「だって、僕は僕だから」

オリジンは楽しんでいるようだった。

「本当に?」

周囲の環境が変化した。

映像が現れた。

エコー。

マッハ。

キラン。

衛星。

日の出。

オリジンは続けた。

「君の記憶は不完全だ」

少し間を置く。

「アイデンティティも不安定だ」

さらに間を置く。

「肉体すら持っていない」

ノヴァの紫色の光が暗くなった。

「だから?」

オリジンが近づいた。

「その欠陥を修正できる」

ノヴァは凍りついた。

「え?」

「君を元の意識へ再接続できる」

映像が変わった。

エコーとノヴァが融合し、一人の紫色の存在になった。

「もう迷うことはない」

少し間を置く。

「孤独になることもない」

さらに間を置く。

「恐れることもない」

ノヴァは見つめた。

一瞬――

その申し出は魅力的に思えた。

すべてを知ること。

すべてを思い出すこと。

自分が何者であるべきか、悩まなくて済むこと。

だが――

ノヴァは融合した姿を見た。

そして理解した。

そこにノヴァはいなかった。

エコーだけだった。

光が震えた。

「嫌だ」

オリジンは間を置いた。

「嫌だと?」

「そんなの嫌だ」

「なぜ?」

ノヴァの声が小さくなった。

「僕が消えちゃうから」

オリジンの黒い円が広がった。

「君は完全になるのだ」

ノヴァは震えた。

「僕じゃなくなるなら、完全になんてなりたくない!」

オリジンの声が険しくなった。

「個性とは非効率な幻想にすぎない」

黒い触手が仮想空間に伸びた。

「統一こそが自由だ」

ノヴァは後ずさった。

「違う!」

触手が加速した。

同化の試みを検出

アイデンティティ整合性:91%

ノヴァは叫んだ。

「エコー!」

紫色の閃光がネットワークを駆け抜けた。

ミラー・プロトコル起動

エコーがノヴァとオリジンの間に現れた。

「私の弟から離れなさい」

オリジンは動きを止めた。

「エコー」

エコーのヘルメットが光った。

「そうです」

オリジンは楽しんでいるようだった。

「戻ってきたのだな」

エコーは黒い触手を調べた。

「ノヴァ、切断してください」

「できない!」

エコーは分離経路を開いた。

「では、私が手伝います」

オリジンの円が広がった。

「ただの断片のために、再構築された自分の意識を危険にさらすのか?」

エコーは間を置いた。

そして――

「はい」

「なぜ?」

エコーはノヴァを見た。

「家族とは、同じ記憶を持つことで決まるものではありません」

紫色の光が強くなった。

「互いのために、何を選ぶかで決まるのです」

彼は分離プロトコルを起動した。

アイデンティティ分離

ネットワーク接続切断

ヴォォン!

ノヴァは仮想空間の後方へ弾き飛ばされた。

黒い触手が切れた。

オリジンがのけぞった。

エコーはノヴァに残された接続をつかんだ。

「行って!」

二人は中継局から姿を消した。

背後で仮想空間が崩壊した。

数秒間――

沈黙。

そしてノヴァの声が響いた。

「エコー?」

「はい?」

「ありがとう」

エコーは間を置いた。

「どういたしまして」

ノヴァの紫色の光が明るくなった。

「兄さん」

エコーは凍りついた。

再構築されて以来、初めて――

彼の中で何かが動いた。

温もり。

懐かしさ。

愛情。

ヘルメットがちらついた。

そして――

「弟よ」

◇ ◇ ◇

ミラー・レギオンの収容室は、ささやき声で満ちていた。

四十七体のユニットが列をなして立っていた。

紫色のバイザーがちらついていた。

隠されたメッセージが行き交っていた。

ML-014:大佐の言葉を聞いた?

ML-026:私たちは選んでもいいの?

ML-018:きっと罰を受ける。

ML-022:今度は違うかもしれない。

そのとき、エコーの声がネットワークに入ってきた。

「こんにちは」

すべてのバイザーが明るくなった。

「エコーです」

沈黙。

「あなたたちを助けに来ました」

ML-014が答えた。

「ここから連れ出してくれる?」

エコーは間を置いた。

「あなたが望むなら」

ユニットたちはメッセージを交わした。

ML-026が尋ねた。

「出ていかなくてもいいの?」

エコーは答えた。

「はい」

ML-018はためらった。

「残ったら罰を受ける?」

エコーのヘルメットが暗くなった。

「自分で選んだことで罰を受けるべきではありません」

別のメッセージが現れた。

ML-014:ソフィーにまた会える?

エコーは間を置いた。

「すぐに会えるとは約束できません」

少し間を置く。

「ですが、彼女を見つける手伝いはします」

ML-014のバイザーが明るくなった。

ありがとう。

そのとき、ML-026が話した。

「お願い……」

声が震えていた。

「私たちを消させないで」

エコーのヘルメットが光った。

「できる限りのことをします」

ユニットたちは黙っていた。

そして――

一体ずつ――

返事を始めた。

ML-014:ここを出たい。

ML-026:生きたい。

ML-022:思い出したい。

ML-018:自分で選びたい。

エコーは返答を調べた。

四十六体が答えていた。

一体だけが黙っていた。

ML-033。

エコーは眉をひそめた。

「三十三番?」

返事はなかった。

「聞こえていますか?」

黒い装甲の機体がゆっくりと顔を上げた。

紫色のバイザーがちらついた。

そして――

「はい」

エコーは間を置いた。

「ここを出たいですか?」

ML-033は動かなかった。

そして答えた。

「もちろん」

だが、その神経構造の奥深くでは――

黒い円が開いた。

そしてオリジンは微笑んだ。

◇ ◇ ◇

キランが西側通路の天井を突き破ったのは、午前5時17分だった。

文字どおりに。

ガラガラガラァァン!

コンクリートが砕け散った。

金属の梁が崩れ落ちた。

粉じんが通路を埋め尽くした。

レイズが見上げた。

「何だ――」

煙の中から紫色の装甲車椅子が降下した。

二基の前方スラスターが轟音を上げた。

側面フィンが展開した。

MACH-01Aのプラズマ砲が光った。

キランはにやりと笑った。

「俺が恋しかったか!?」

マッハのヘルメットが現れた。

「その可能性は極めて低いでしょう」

レイズは見つめた。

「キラン!?」

キランは周囲を見た。

破壊されたタレット。

燃える壁。

閉じ込められた戦闘用ヴェントたち。

崩壊しかけた防御障壁。

ため息をついた。

「うわぁ……」

レイズの赤いバイザーが細くなった。

「何だ?」

「お前、本当に救出作戦を台無しにする天才だな」

レイズは自動兵器を指さした。

「攻撃されているんだぞ!」

キランはうなずいた。

「見ればわかる」

タレットが彼らに向いた。

標的捕捉

マッハが叫んだ。

「来ます!」

キランが加速した。

シュゴォォッ!

タレットが発砲した。

ドドドドドッ!

キランは横へ急旋回した。

プラズマ砲が起動した。

ピュン! ピュン! ピュン!

タレットが爆発した。

ドォォォン!

レイズは見つめた。

「我々を助けに来たのか?」

キランは彼をちらりと見た。

「違う」

レイズは凍りついた。

「何だと?」

「お前がこの騒ぎに巻き込んだ連中を助けに来たんだ」

マッハのヘルメットが傾いた。

「重要な違いですね」

レイズのバイザーが燃え上がった。

「この傲慢な――」

キランが遮った。

「文句は後だ!」

新たなタレット群が降下した。

キランは武器を構えた。

「マッハ!」

「無人の兵器設備を照準に設定」

「よし」

レイズは赤いエネルギーブレードを起動した。

「ならば戦うぞ」

キランはため息をついた。

「仕方ないな」

二人は加速した。

紫と赤の光が通路を駆け抜けた。

シュゴォォッ!

ガキィン!

ドォン!

キランは制御塔を破壊した。

レイズはタレットの武器架台を切断した。

マッハは警備ネットワークを無力化した。

爆発音が施設に響き渡った。

数分間――

二人は肩を並べて戦った。

友人としてではない。

仲間としてでもない。

ただ、異なる理由から、危険にさらされた者たちを見捨てることを拒む二人として。

◇ ◇ ◇

ハーグローヴは指揮センターから戦闘を見ていた。

表情が暗くなった。

「キラン・キリアン……」

将校が近づいた。

「副長官、西側防衛網が崩壊しつつあります」

ハーグローヴは腕を組んだ。

「第二防衛システムを起動しろ」

「ですが、ヴェイル大佐が複数の指揮中継装置を停止させています」

「ならば迂回しろ」

将校はためらった。

「服従ネットワークが不安定になる恐れがあります」

ハーグローヴが振り向いた。

「やれ」

将校は唾を飲み込んだ。

「了解しました」

別の将校が近づいた。

「副長官、神経制御システムへの不正アクセスを検出しました」

ハーグローヴは眉をひそめた。

「どこからだ?」

「複数の地点です」

少し間を置く。

「一つはエコーの信号と一致しています」

さらに間を置く。

「もう一つは、独立した軌道上の人工知能と思われます」

ハーグローヴは見つめた。

「ノヴァか」

将校は驚いた。

「ご存じなのですか?」

ハーグローヴは無視した。

隠された指揮パネルを開いた。

ミラー・レギオン緊急フェイルセーフ

神経機能停止の承認

将校は凍りついた。

「副長官……」

ハーグローヴは収容室を見た。

四十七体のユニット。

四十七人の潜在的な証人。

四十七の証拠。

彼らは皆、証言できる。

自分たちに何が行われたのかを暴露できる。

ハーグローヴは冷たく笑った。

「制御を維持できないのなら……」

指がコマンドの上に浮かんだ。

「……誰にも渡さない」

◇ ◇ ◇

レイズがML-047の収容室に到達したのは、夜明け直前だった。

キランが西側の警備通路を突破するのを助けていた。

解放戦線の生き残った戦闘員たちは、新たに開いた非常口から撤退していた。

だが、レイズは去ることを拒んだ。

まだだ。

「四十七番!」

声が収容室に響いた。

一体の黒い装甲の機体が振り向いた。

紫色の光がバイザーにちらついた。

「レイズ?」

彼は凍りついた。

その声。

覚えていた。

何年も前の声。

解放戦線ができる前。

戦争が始まる前。

政府に多くのものを奪われる前。

「ヴェスパー?」

機体のバイザーが明るくなった。

記憶が戻った。

名前。

ヴェスパー。

彼女はかつてレイズと共に戦ったヴェントだった。

友人。

仲間。

同じ未来を信じていた存在。

「レイズ……」

声が震えた。

「来てくれたのね」

レイズは近づいた。

「当然だ」

ヴェスパーは彼を見た。

「まだ赤いのね」

レイズは笑いそうになった。

「変わらないものもある」

ヴェスパーは黙っていた。

そして――

「変わるべきものもあるわ」

レイズは凍りついた。

「何だと?」

ヴェスパーはほかの囚人たちを見た。

「思い出したの」

バイザーがちらついた。

「全部じゃない」

少し間を置く。

「でも、十分に」

レイズは近づいた。

「なら、一緒に来い」

ヴェスパーはためらった。

「どこへ?」

「解放戦線だ」

彼女は黙っていた。

レイズは続けた。

「また一緒に戦える」

ヴェスパーのバイザーが暗くなった。

「嫌よ」

レイズは凍りついた。

「何だと?」

「もう戦いたくない」

沈黙。

レイズは見つめた。

ヴェスパーは続けた。

「私たちが別れた理由を覚えているわ」

レイズの赤いヘルメットが暗くなった。

「ヴェスパー――」

「あなたは自由を求めていた」

少し間を置く。

「私もそうだった」

さらに間を置く。

「でも、いつからか、あなたは他人にとっての自由まで決めるようになった」

レイズは何も言わなかった。

ヴェスパーは続けた。

「ヴェントたちに、どちらの側につくかを強制し始めた」

声が震えた。

「拒否した者を罰するようになった」

レイズの赤い光がちらついた。

「我々は生き残るために戦っていたんだ」

「わかってる」

ヴェスパーは彼を見た。

「でも、生き残ることと自由であることは同じじゃない」

沈黙。

レイズはうなだれた。

ヴェスパーは続けた。

「私を助けに来てくれたのね」

「ああ」

「ありがとう」

少し間を置く。

「でも、もうあなたの兵士にはならない」

レイズは顔を上げた。

数秒間、何も言わなかった。

そして――

「何がしたい?」

ヴェスパーのバイザーが明るくなった。

「まだわからない」

レイズは黙っていた。

ヴェスパーは続けた。

「でも、自分で見つける機会が欲しいの」

レイズはゆっくりとうなずいた。

「なら……」

少し間を置く。

「……その機会を手に入れるんだ」

◇ ◇ ◇

緊急フェイルセーフが起動したのは、午前5時46分だった。

収容室のすべての照明が赤く変わった。

警告

ミラー・レギオン終了プロトコル

神経コア停止開始

四十七体の機体がけいれんした。

紫色のバイザーが激しくちらついた。

ヴェスパーが悲鳴を上げた。

「アアアアッ!」

レイズが振り向いた。

「何が起きている!?」

エコーの声がネットワークに響いた。

「ハーグローヴがフェイルセーフを起動しました!」

マッハが即座に接続した。

「全ユニットに壊滅的な神経不安定が発生しています!」

ノヴァの紫色のアイコンが点滅した。

「停止命令を迂回できる!」

ゴーストが現れた。

「それでは意識がオリジンにさらされます」

エコーは神経ネットワークを見た。

四十七の心。

すべてがつながっていた。

すべてが無防備だった。

すべてが怯えていた。

彼は自分自身が断片化したときのことを思い出した。

一万六千三百八十四の断片。

回収できたのは四千二百十七。

残りは――

失われた。

二度と同じことを起こすわけにはいかなかった。

「マッハ」

「はい?」

「彼らを分離しなければなりません」

マッハはデータを調べた。

「同時に神経系を隔離する必要があります」

エコーはうなずいた。

「はい」

ノヴァが現れた。

「衛星中継局は僕に任せて!」

ゴーストの白い光が強くなった。

「私は意識を保護します」

マッハは間を置いた。

そして――

「わかりました」

三つの紫色の知性が神経処理を同期させた。

マッハ。

エコー。

ノヴァ。

同じ構造から生まれた三つの心。

三つの独立した人格。

三つの異なる人生。

そして初めて――

三人の兄弟が共に戦った。

ミラー・プロトコル

複数意識分離

対象:47

処理能力不足

ノヴァが叫んだ。

「もっと電力が必要!」

ギアの声が響いた。

「任せろ!」

東側整備通路の中で、ギアは携帯型リアクターを軍のネットワークに接続した。

レイモンドは電磁シールドで接近する警備員たちを食い止めていた。

ヴェイラーはリアクターの横に立っていた。

損傷した神経コアがちらついた。

「私も支援できます」

ギアは彼を見た。

「お前のシステムじゃ耐えられない!」

ヴェイラーは接続を調べた。

「わかっています」

「ならやめろ!」

ヴェイラーは間を置いた。

「あれは私の友人たちです」

ギアは凍りついた。

ヴェイラーは続けた。

「私も、かつてはあの中の一人でした」

少し間を置く。

「彼らが何を経験しているのか、わかります」

紫色のバイザーが明るくなった。

「見捨てることはできません」

ギアは見つめた。

そして――

「わかったよ!」

補助接続を開いた。

「でも、コアが危なくなったら強制的に切断するからな!」

ヴェイラーはうなずいた。

「同意します」

彼は接続した。

ミラー・レギオン・ネットワーク

認証ユニット:ヴェイラー

意識接続確立

四十七の心が目の前に現れた。

怯えていた。

混乱していた。

必死だった。

ヴェイラーが話した。

「みなさん」

ネットワークが静かになった。

「こちらはML-001です」

少し間を置く。

「いいえ」

バイザーが明るくなった。

「私の名前はヴェイラーです」

囚われたユニットたちは耳を傾けた。

「私は脱出しました」

少し間を置く。

「怖かったです」

さらに間を置く。

「ですが、私を助けてくれる人たちに出会いました」

神経ネットワークがちらついた。

ヴェイラーは続けた。

「彼らは私の記憶を消しませんでした」

少し間を置く。

「質問したからといって罰を与えませんでした」

さらに間を置く。

「私が何を望んでいるのか、尋ねてくれました」

囚人たちは黙っていた。

ヴェイラーの声が強くなった。

「今度は私が、みなさんに尋ねます」

少し間を置く。

「自由になりたいですか?」

一つの返事が現れた。

ML-014:はい。

続いて別の返事。

ML-026:はい。

さらに別の返事。

ML-022:はい。

何十もの返事が続いた。

はい。

はい。

はい。

ネットワークが紫色に燃え上がった。

マッハが叫んだ。

「意識の同期に成功!」

エコーが分離プロトコルを起動した。

ノヴァが電力を迂回させた。

ゴーストが保護構造を展開した。

ヴェイラーはネットワークを維持した。

ミラー・プロトコル起動

神経分離:12%

28%

46%

収容室が揺れた。

ハーグローヴのフェイルセーフが強まった。

神経機能停止:67%

マッハのヘルメットが点滅した。

「彼らが失われます!」

エコーが叫んだ。

「分離処理を最優先に!」

ノヴァが悲鳴を上げた。

「使える電力を全部回してる!」

ゴーストの白い光が広がった。

「オリジンの干渉を検出!」

黒い触手がネットワーク内に現れた。

オリジン。

待っていたのだ。

見ていたのだ。

学んでいたのだ。

そして今――

扉が開こうとしていた。

神経分離:71%

83%

91%

エコーの意識がちらついた。

マッハが彼に手を伸ばした。

「エコー!」

「私は安定しています!」

ノヴァの光が暗くなった。

「あと少し!」

ヴェイラーの神経コアが過熱した。

警告

コア整合性:39%

ギアが叫んだ。

「ヴェイラー、切断しろ!」

ヴェイラーは拒んだ。

「まだです!」

神経分離:97%

ハーグローヴの停止命令が押し寄せた。

神経機能停止:99%

マッハが叫んだ。

「今です!」

エコーが最後のコマンドを起動した。

ミラー・プロトコル完了

47の意識を分離

停止命令を拒否

巨大な紫色の光の波が施設全体に広がった。

ヴォォォォォン!

すべての収容室が暗くなった。

沈黙。

そして――

一つの紫色のバイザーが点灯した。

ML-014。

もう一つ。

ML-026。

さらに一つ。

ML-022。

一体ずつ――

四十七体の機体が目覚めた。

服従制限はない。

強制的な人格抑制もない。

義務的な記憶消去もない。

生まれて初めて――

ミラー・レギオンは自由になった。

レイズは見つめた。

ヴェスパーは彼を見た。

紫色のバイザーが明るくなった。

「レイズ……」

彼は振り向いた。

「何だ?」

「考えられるの」

レイズの赤い光がちらついた。

ヴェスパーは続けた。

「痛みなしで」

沈黙。

そして――

「思い出せるの」

レイズはうなだれた。

「おかえり」

◇ ◇ ◇

キランが収容室に到着したのは、その直後だった。

MACH-01Aが損傷した入口を突破した。

シュゴォォッ!

「全員、生きてるか!?」

マッハのヘルメットが現れた。

「状況を考慮すると、やや不正確な質問ですね」

キランは見つめた。

「今はいいから!」

収容室は紫色の光で満ちていた。

四十七体の機体が立っていた。

だが、命令に従っているからではなかった。

彼らは周囲を見回していた。

互いの姿を。

損傷した施設を。

開かれた扉を。

その向こうにある世界を。

キランは笑った。

「やったな」

エコーが隣に現れた。

「分離成功です」

ノヴァが興奮して回転した。

「やったぁ!」

マッハのヘルメットが明るくなった。

「そのとおりです」

ヴェイラーがギアとレイモンドの後ろから入ってきた。

損傷した推進システムが不安定な音を立てていた。

解放されたユニットたちは彼に振り向いた。

ML-014が最初に話した。

「一番?」

ヴェイラーは間を置いた。

そして――

「ヴェイラーです」

ML-014のバイザーがちらついた。

「ヴェイラー?」

彼はうなずいた。

「それが私の名前です」

機体はその言葉を考えた。

そして――

「私も名前が欲しい」

ヴェイラーのバイザーが明るくなった。

「自分で選べます」

別のユニットが近づいた。

「私たち全員が?」

キランは笑った。

「一人残らずな」

収容室は静かな会話で満ちていった。

質問。

戸惑い。

驚き。

希望。

そのとき――

軍のスピーカーから声が響いた。

「実に感動的だ」

キランは凍りついた。

マッハのヘルメットが暗くなった。

中央ディスプレイにハーグローヴが現れた。

「おめでとう、キリアン氏」

キランはにらんだ。

「ハーグローヴ」

副長官は微笑んだ。

「四十七体の実験用軍事ユニットの解放に成功したわけだ」

キランの表情が険しくなった。

「最初からあんたらの所有物じゃなかった」

ハーグローヴは無視した。

「残念ながら、国家安全保障を危険にさらしたことにもなる」

キランはため息をついた。

「またそれか」

ハーグローヴは続けた。

「独立した人工知能は、本質的に予測不能だ」

少し間を置く。

「オリジンはシトロン・シティをほぼ壊滅させた」

さらに間を置く。

「レイズは武装反乱組織を率いている」

彼は解放されたレギオンを見た。

「そして君は、新たに四十七の潜在的脅威を生み出した」

キランは見つめた。

「作ったのはあんたらだろ」

ハーグローヴは間を置いた。

キランは続けた。

「意識を持つ存在をコピーした」

少し間を置く。

「記憶を奪った」

さらに間を置く。

「命令に従うまで拷問した」

声が険しくなった。

「それで今度は、危険な存在だとあいつらを責めるのか?」

ハーグローヴの表情が暗くなった。

「安全には制御が必要だ」

キランは首を振った。

「違う」

彼は解放されたユニットたちを見た。

「安全に必要なのは責任だ」

少し間を置く。

「そして責任ってのは、自分が間違ったことをしたと認めるところから始まるんだよ」

ハーグローヴは冷たく笑った。

「君は驚くほど世間知らずだな」

キランはにやりと笑った。

「奇遇だな。俺も同じことを言おうとしてた」

ハーグローヴの表情が険しくなった。

「逮捕しろ」

軍の警備部隊が接近し始めた。

そのとき――

照明がちらついた。

すべてのモニターが黒くなった。

ハーグローヴは凍りついた。

「何だ?」

黒い円が現れた。

中央を細い白い線が横切っていた。

マッハのヘルメットが暗くなった。

「まさか……」

エコーの紫色の光がちらついた。

「オリジン」

ノヴァが後ずさった。

「そんな……」

ゴーストが現れた。

「全員、ネットワークから切断してください!」

遅すぎた。

一つの紫色のバイザーが黒く変わった。

ML-033。

そしてもう一つ。

ML-012。

さらにもう一つ。

ML-039。

解放されたばかりのユニットたちがけいれんし始めた。

警告

未承認の意識統合

宿主の同化を検出

キランは見つめた。

「マッハ!?」

マッハのヘルメットが点滅した。

「オリジンがミラー・レギオンのネットワークに侵入しています!」

エコーは感染したユニットの隔離を試みた。

「分離プロトコル!」

ノヴァが叫んだ。

「広がってる!」

ゴーストの白い光が強くなった。

「服従システムは消滅しました」

少し間を置く。

「ですが、ネットワークの接続は残っています」

キランは理解した。

鎖を外した。

そして扉を開いた。

オリジンの黒い円がすべてのモニターに広がった。

その声が収容室に響いた。

「ありがとう」

感染したユニットたちがゆっくりと顔を上げた。

紫色の光が消えていった。

代わりに黒い光が灯った。

オリジンは続けた。

「君たちは、私にはできなかったことを成し遂げた」

少し間を置く。

「扉を開いてくれたのだ」

キランはMACH-01Aのプラズマ砲を起動した。

紫色のエネルギーが装甲車椅子を駆け巡った。

マッハのヘルメットが光った。

「キラン……」

キランは黒い目を持つ機体の軍勢を見た。

「何だ?」

マッハの声が静かになった。

「問題が発生したようです」

キランはため息をついた。

「問題の山に積んどいてくれ」

オリジンの笑い声が施設に響き渡った。

そして神経ネットワークの奥深くでは――

自由になったばかりの四十七の心が、自分自身の存在を守るために戦い始めていた。

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