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戦友たち

最初の爆発が東部通信地区を襲ったのは、午前十一時四十三分だった。

爆発そのものは、それほど大規模ではなかった。

整備施設の窓ガラスが粉々になり、変圧器が破壊され、建物の屋根の上には黒煙が立ち上った。

しかし、爆発自体が目的ではなかった。

それは陽動だった。

三ブロック離れた場所では、白い配送トラックが交差点を通過し、地下駐車場へ入っていった。

トラックの荷台には、重武装した六人のヌリファイアーが無言で座っていた。

白と灰色の戦闘装甲には、純化協定の紋章が刻まれていた。縦に分割された円の中で、機械の翼が斜線によって否定されている。

一人が手首に取り付けられた画面を確認した。

【オペレーション・クリーン・スレート】

【第二目標――警察保護下の対象確保】

【標的:アダム/パトロール】

【所在地:シトロンシティ中央警察署】

ヌリファイアーの指揮官は部下たちへ目を向けた。

「命令を忘れるな」

一人がうなずいた。

「標的は生け捕りにする」

「そのとおりだ」

「妨害する者は?」

指揮官はヘルメットを調整した。

「無力化しろ」

彼は武器を確認した。

「特に裏切り者どもはな」


シトロンシティ中央警察署では、ワイルダー巡査が最悪の朝を過ごしていた。

コーヒーは冷めていた。

書類仕事は予定より遅れていた。

そして、誰かが彼の必要なときに限ってプリンターが動かなくなるよう細工したのではないかと思えるほど、機械の調子が悪かった。

彼はプリンターの横に立ち、赤く点滅するランプをにらみつけた。

「頼むから動いてくれ」

プリンターが電子音を鳴らした。

【紙詰まり】

ワイルダーは給紙トレイを開いた。

紙は詰まっていなかった。

トレイを閉めた。

再び電子音が鳴った。

【紙詰まり】

ワイルダーは画面を凝視した。

「俺の忍耐力を試してるのか?」

背後から声がした。

「丁寧にお願いしてみた?」

ワイルダーは振り向いた。

入口にはアダムが立っていた。

その隣にはAIの相棒であるパトロールがいた。装甲に覆われた機械の身体は、現在診断端末に接続されていた。

ワイルダーはプリンターを指さした。

「十五分も丁寧にお願いしてる」

パトロールの光学センサーが明るくなった。

「この機械に敵対的な人格が発生した可能性があります」

アダムは微笑んだ。

「初めてじゃないだろうね」

ワイルダーは二人を見比べた。

「お前たちは手伝うつもりなのか、それともそこで冗談を言い続けるつもりなのか?」

パトロールがプリンターへ近づいた。

「私にお任せください」

手から小さな診断プローブが伸びた。

彼はそれを機械に接続した。

数秒が過ぎた。

すると、プリンターが動き始めた。

一枚の紙が出てきた。

ワイルダーは目を丸くした。

「それだけか?」

「はい」

「何が悪かったんだ?」

パトロールは少し間を置いた。

「給紙トレイが完全にはまっていませんでした」

ワイルダーはゆっくりと下を見た。

それからパトロールを見た。

「このことは誰にも言うなよ」

アダムが笑った。

「もう遅いよ」

ワイルダーは彼を指さした。

「一言もしゃべるな」

アダムは両手を上げた。

「口は堅いから安心して」

パトロールのセンサーが明滅した。

「すでに一連の出来事を記録しました」

ワイルダーは目を閉じた。

「お前ら二人とも大嫌いだ」

「親愛の情として受け取りました」とパトロールが答えた。

ワイルダーは思わず笑ってしまった。

アダムとパトロールが警察署で馴染みの顔になるまでには、時間がかかった。

懐疑的な警官もいた。

ヴェント利用者とAIの相棒と一緒に働くことに、露骨な不快感を示す者もいた。

しかし、それは変わっていった。

一晩で変わったわけではない。

議論もあった。

失敗もあった。

それでも、アダムは市民を守るために尽力していることを何度も証明し、パトロールも、そうでなければはるかに危険になっていたはずの緊急事態で警官たちを助けてきた。

ワイルダーにとって、二人は政治的な主張の象徴ではなかった。

同僚だった。

そして、次第に友人にもなっていた。

警察署の館内放送から雑音が流れた。

『ワイルダー巡査、受付へ来てください』

ワイルダーはため息をついた。

「やっとプリンター以外の仕事か」

彼は廊下へ向かった。

アダムはパトロールを見た。

「生き延びられると思う?」

パトロールは考えた。

「その可能性は高いでしょう」

ワイルダーは振り向かずに叫んだ。

「聞こえてるぞ!」


ギアの工房では、キラン・キリアンが最新の飛行シミュレーションを凝視していた。

興奮していないふりをしようと、必死だった。

しかし、まったく成功していなかった。

「ねえ」

ギアは顔を上げなかった。

「ダメ」

「まだ何も聞いてないよ」

「聞こうとしてたでしょ」

キランは微笑んだ。

「髪型を褒めようとしてたのかもしれないじゃない」

ギアは彼へ向き直った。

「髪型?」

「すごく似合ってる」

ギアは目を細めた。

「嘘が下手すぎるよ」

診断端末の上にマッハの紫色のアバターが現れた。

「キランはこの二十分間で、緊急飛行設定の準備が整ったかどうか十一回質問しています」

キランは画面を指さした。

「君は僕の味方のはずでしょ!」

「私はあなたが生き続けることの味方です」

ギアはうなずいた。

「やっとまともなことを言う人がいた」

MACH-01Aは補強された試験台の上に置かれていた。

紫色の装甲は修復されていた。

後部推進システムは、三つの独立した電力経路を中心に再構築されていた。

中央冷却装置には追加の熱保護機構が取り付けられていた。

そして墜落事故以来初めて、両方の後部スラスターが飛行制御装置へ接続されていた。

しかし、問題があった。

しかも、かなり重大な問題だった。

このシステムは、短時間なら出力を落として安全に稼働できた。

だが、キランが慣れ親しんでいたような高速空中戦を持続させることは、まだできなかった。

ギアは画面を指さした。

「よく聞いて」

キランは背筋を伸ばした。

「聞いてるよ」

「限定飛行。低高度。短時間。プラズマ砲の連続射撃は禁止。高G旋回も禁止」

「了解」

「それから、マッハが危険な熱の蓄積を検出したら、すぐに着陸すること」

「わかった」

ギアは腕を組んだ。

「キラン」

彼はギアを見た。

「何?」

「本気で言ってるんだからね」

キランの笑みが和らいだ。

「わかってる」

その瞬間、冗談めいた雰囲気が消えた。

彼は修理された車椅子を見た。

「墜落したときのこと、覚えてるよ」

ギアは何も言わなかった。

キランは続けた。

「エンジンが止まったことも、警告が出たことも、地面が迫ってきたことも」

マッハのアバターの光がわずかに弱まった。

「私も覚えています」

キランは友人を見た。

「それから、君が僕の命を救ってくれたことも」

マッハは黙っていた。

キランはギアへ向き直った。

「二人が僕を生かすためにしてくれたことを、無駄にするつもりはないよ」

ギアは彼を見つめた。

それからうなずいた。

「よかった」

ギアは試験手順を起動した。

【MACH-01A――緊急飛行認証】

【推力出力制限――38%】

【最高高度――制限あり】

【熱による自動停止――有効】

【試験環境――管理下】

キランは装甲コックピットに身を収めた。

両脚は保護装甲の内側に完全に覆われていた。

ヘルメットのバイザーが点灯した。

機内にマッハの馴染みのある声が響いた。

「お帰りなさい、キラン」

キランは微笑んだ。

「戻ってこられて嬉しいよ」

後部スラスターが点火した。

低い機械音が工房に響き渡った。

そして、MACH-01Aが浮き上がった。

六インチ。

一フィート。

二フィート。

キランは息を止めた。

車椅子は試験台の上に浮かんでいた。

安定していた。

均衡が保たれていた。

まるで再び命を取り戻したかのようだった。

「ギア?」

ギアは測定値を凝視した。

「順調だよ」

「マッハ?」

「安定化制御は正常です」

キランは天井を見上げた。

墜落事故以来初めて、車輪の下に空間があった。

彼は笑った。

大声ではなかった。

勝ち誇った笑いでもなかった。

ただ、信じられないというような小さな笑いだった。

「これが恋しかったんだ」

マッハの声が優しくなった。

「私もです」


警察署では、最初の緊急通報が入ったちょうどそのとき、ワイルダーが受付へ到着した。

通信指令員がヘッドセットに向かって早口で話していた。

「東部通信地区で爆発の通報。消防隊が出動中です」

ワイルダーは眉をひそめた。

「死傷者は?」

「不明です」

別の通信指令員が手を挙げた。

「中央駐車場付近で武装集団の目撃情報があります」

ワイルダーの表情が変わった。

「どんな武装だ?」

「防弾装甲、長銃、複数の容疑者です」

アダムが彼の後ろから部屋へ入ってきた。

「何が起きてるの?」

ワイルダーは監視モニターへ目を向けた。

一台のカメラが警察署の外の道路を映していた。

白い配送トラックが警察署の向かいに停まっている。

後部の扉が開いていた。

六人の装甲兵が歩道へ降り立った。

ワイルダーはすぐに紋章を認識した。

胃の奥が冷たくなった。

「ヌリファイアーだ」

アダムはモニターを見た。

パトロールのセンサーが点滅した。

「敵対勢力を確認」

ワイルダーは無線機をつかんだ。

「全隊員、警戒態勢! 武装した純化協定の構成員が警察署へ接近中!」

最初の銃弾が正面の窓を粉砕した。

ガラスが受付に飛び散った。

二発目が防護壁に命中した。

誰かが悲鳴を上げた。

ワイルダーはカウンターの陰へ身を伏せた。

「伏せろ! 全員伏せろ!」

アダムは奥の廊下へ向かった。

パトロールは攻撃者と市民の間に立った。

警察署の警報が鳴り始めた。

【警備区域への侵入】

【武装侵入を検出】

外では、ヌリファイアーの指揮官が拡声器を持ち上げた。

「シトロンシティ警察署の諸君!」

増幅された声が通りに響いた。

「貴様らは無許可のヴェント戦闘兵器を匿っている!」

ワイルダーはアダムを見た。

アダムの表情が険しくなった。

指揮官は続けた。

「アダムおよびパトロールと呼ばれる個体を、直ちに引き渡せ!」

パトロールはアダムへ向き直った。

「我々が標的です」

アダムは唾を飲み込んだ。

「そうみたいだね」

拡声器が再び鳴った。

「従えば、これ以上の措置は必要ない!」

ワイルダーは割れた窓の向こうへ叫んだ。

「ここは警察署だ! 武器を捨てろ!」

ヌリファイアーの指揮官が彼を見た。

「十秒与える」

ワイルダーは拳銃を構えた。

「投降するのはお前らのほうだ!」

指揮官は拡声器を下ろした。

「ならば、選択は済んだようだな」

彼は腕を上げた。

「前進しろ」


ヌリファイアーたちが、粉々になった正面玄関から突入した。

二人が携帯型の電磁妨害装置を展開した。

別の一人は天井へ発砲し、漆喰の破片をロビーに降らせた。

警官たちは補強された机や防護壁の陰から応戦した。

ワイルダーは、すぐ横の壁に銃弾が命中したため身を伏せた。

「アダム! 裏の廊下へ行け!」

アダムは首を振った。

「みんなを置いていけない!」

「これは提案じゃない!」

パトロールが前へ出た。

「ワイルダー巡査、私も警察署の防衛を支援できます」

ワイルダーは彼を見た。

「だったら市民を避難させてくれ!」

パトロールはうなずいた。

「了解しました」

彼は受付へ向かった。

一人の女性が倒れた椅子の陰に転んでいた。

パトロールは銃撃と女性の間に装甲の身体を置いた。

「姿勢を低くしてください」

女性は彼を見つめた。

「あの人たち、私たちを殺すつもりなの?」

パトロールの光学センサーが明るくなった。

「私はそれを阻止するつもりです」

彼は腕を伸ばした。

「お手伝いしてもよろしいですか?」

女性はうなずいた。

パトロールは彼女を建物内部の避難経路へ誘導した。

その間、アダムは負傷した警官がコンクリートの柱の陰へ移動するのを手伝っていた。

警官の袖は血に染まっていた。

「立てる?」

警官は顔をしかめた。

「ああ。たぶんな」

アダムはワイルダーを見た。

「医療班が必要だ!」

「もう呼んでる!」

別の爆発が建物を揺らした。

正面の警備扉が内側へ崩れ落ちた。

さらに三人のヌリファイアーが侵入した。

指揮官は瓦礫を踏み越えた。

「アダム!」

その声がロビーに響いた。

「そこにいるのはわかっている!」

アダムは振り向いた。

指揮官は彼をまっすぐ指さした。

「貴様とその機械には、我々と来てもらう」

アダムは歯を食いしばった。

「断る」

指揮官はヘルメットを傾けた。

「貴様はヴェント利用者だ」

アダムは何も言わなかった。

「奴らの仲間ではない」

ワイルダーが二人の間に立った。

「彼はこの警察署のチームの一員だ」

指揮官は彼を見た。

「健常者の警官が、不完全な機械を守るというのか?」

ワイルダーの表情が険しくなった。

「口の利き方に気をつけろ」

ヌリファイアーは武器を上げた。

「奴らのために、同胞を裏切るつもりか?」

ワイルダーは彼を凝視した。

「同胞?」

指揮官はアダムを示した。

「人類だ」

一瞬、銃声の響くロビーが静まり返ったように感じられた。

ワイルダーはゆっくりと首を振った。

「お前らは警察署に押し入り、市民を脅し、警官を撃っている」

彼は武器を強く握った。

「それで、裏切り者は俺たちだと言うのか?」

指揮官の声が冷たくなった。

「ヴェントを守る健常者は、人類への裏切り者だ」

ワイルダーは一歩前へ出た。

「だったら、この警察署の全員を逮捕するしかないな」

彼の背後で、数人の警官が武器を構えた。

ベネット巡査が叫んだ。

「アダムは俺たちの仲間だ!」

別の警官も声を上げた。

「パトロールは俺の相棒の命を救ってくれた!」

さらに別の警官が叫んだ。

「誰が人間かを決める権利なんて、お前らにはない!」

ヌリファイアーの指揮官は彼らを見つめた。

それからゆっくりと武器を上げた。

「ならば、そうするまでだ」


ギアの工房では、キランが最後のホバリング試験を終えようとしていた。

そのとき、マッハが割り込んだ。

「キラン」

キランはすぐに声の調子から異常を察した。

「何があった?」

「警察の緊急通信によると、シトロンシティ中央警察署が武装集団の攻撃を受けています」

キランの笑みが消えた。

「何だって?」

ギアはモニターへ向き直った。

マッハが監視映像を表示した。

警察署の正面入口は破壊されていた。

ロビーには煙が漂っていた。

武装したヌリファイアーたちが建物内部へ進んでいる。

キランは身を乗り出した。

「どうして警察署を?」

マッハが緊急通信を再生した。

『――アダムとパトロールの引き渡しを要求――複数の警官が負傷――至急、戦術部隊の支援を要請――』

キランは画面を凝視した。

「アダムとパトロール?」

ギアの表情が険しくなった。

「スナット」

安全な通信回線にレイモンドの声が入った。

『キラン!』

「レイモンド!」

『エリソンと一緒だ。警察署へ向かってる』

キランは修理されたMACH-01Aを見た。

「どれくらいひどいの?」

『かなりひどい』

マッハが別の警告を表示した。

【パージ・プロトコル――第二次起動待機中】

キランは二つの警告を見比べた。

警察署が攻撃されている。

市全域のネットワークは、次の停止に向けて準備を進めている。

そして彼の飛行システムは、かろうじて動く状態だった。

ギアが試験台へ近づいた。

「キラン」

彼はギアを見た。

「何?」

「ホバリング試験は合格した」

キランは待った。

ギアは続けた。

「でも、戦闘の許可が下りたわけじゃない」

「わかってる」

「熱の制限は厳しいんだ」

「わかってる」

「無理をさせたら――」

「わかってる」

ギアは口を閉じた。

キランはギアを見た。

「アダムとパトロールが中にいるんだ」

ギアの表情が和らいだ。

数秒間、何も言わなかった。

それから緊急運用設定を開いた。

「限定出動」

キランは瞬きをした。

「え?」

「地上戦闘と短時間の飛行だけ。マッハの制限に従うこと。空中戦は禁止」

キランはうなずいた。

「約束する」

ギアは彼を指さした。

「それから、システムが着陸しろと言ったら、必ず着陸すること」

「約束するよ」

マッハが推進システムを起動した。

【緊急出動許可】

【飛行能力――限定】

【熱的余裕――100%】

【戦闘システム――制限あり】

ギアは後ろへ下がった。

「助けに行って」

キランは微笑んだ。

「ありがとう」

後部スラスターが点火した。

MACH-01Aが試験台から浮き上がった。

工房の扉が開いた。

墜落事故以来初めて、キラン・キリアンは日差しの中へ飛び立った。

全速力ではなかった。

以前のような自在な加速もできなかった。

それでも、彼は空を飛んでいた。

友人たちを助けるために。


警察署の内部では、パトロールが装甲の拳をヌリファイアーの武器に叩きつけた。

バキィッ!

ライフルが横へ弾かれた。

攻撃者がよろめいた。

パトロールは相手の腕をつかみ、床へ押さえつけた。

「武器を確保」

別のヌリファイアーが左から近づいた。

パトロールは振り向いた。

しかし、遅かった。

携帯型電磁妨害装置が起動した。

ズザァァァッ!

青白いエネルギーが彼の機体を直撃した。

光学センサーが明滅した。

【システム干渉を検出】

【モーター応答低下】

パトロールがよろめいた。

「アダム――」

ヌリファイアーがライフルの銃床で彼を殴りつけた。

パトロールは机に倒れ込んだ。

アダムが叫んだ。

「パトロール!」

彼は相棒へ向かって加速した。

しかし、二人目の攻撃者が進路を塞いだ。

ヌリファイアーは武器を構えた。

「止まれ!」

アダムは方向を変えようとした。

だが、車椅子の操作反応が突然鈍くなった。

電磁場がシステムへ干渉していた。

彼は下を見た。

【操作応答遅延】

【モーター出力低下】

ヌリファイアーはヘルメットの下で笑った。

「見ろ」

彼は近づいた。

「その機械が貴様を弱くしている」

アダムは顔を上げた。

「違う」

攻撃者が足を止めた。

アダムの表情が険しくなった。

「この機械があるから、僕は移動できるんだ」

彼は残されたモーターの反応を使って前進した。

車椅子が攻撃者のすねの装甲にぶつかった。

ヌリファイアーは体勢を崩した。

アダムは腕を振り、武器を横へ弾いた。

相手が立て直す前に、ワイルダーが駆け込んできた。

ドガッ!

彼はヌリファイアーに体当たりし、机へ叩きつけた。

二人は床に倒れた。

ワイルダーは攻撃者の武器を持つ腕を押さえ込んだ。

「こいつには指一本触れさせねえ!」

アダムは目を見開いた。

「ワイルダー!」

「パトロールのところへ行け!」

アダムはすぐに向きを変えた。

パトロールは立ち上がろうとしていた。

しかし、システムが正常に反応していなかった。

「パトロール!」

AIは彼を見た。

「アダム……」

「ここにいるよ」

パトロールのセンサーが明滅した。

「移動機能の障害……一時的……」

アダムは彼へ手を伸ばした。

「しっかりして」

パトロールの声が歪んだ。

「いつでも……」


ヌリファイアーの指揮官は、部下たちが押し返されていく様子を見ていた。

激怒していた。

「警官どもが奴らを守っている!」

部下の一人がうなずいた。

「はい、指揮官」

「警告したにもかかわらずだ!」

部下は封鎖された廊下を見た。

「標的の引き渡しを拒否しています」

指揮官は壁を拳で叩いた。

「裏切り者どもめ!」

彼はヘルメットの通信機を起動した。

「全隊員、交戦指令を変更する!」

ヌリファイアーたちが動きを止めた。

「ヴェント兵器を守る警官は、すべて敵対的な協力者とみなせ!」

彼は物陰に隠れる警官たちを見た。

「奴らは人類より機械を選んだのだ!」

ワイルダーは奪った無線機から、その通信を聞いていた。

彼は機器を凝視した。

それからベネットを見た。

「あいつ、俺たちを裏切り者って呼んだのか?」

ベネットは弾薬を確認した。

「そうらしいな」

ワイルダーは首を振った。

「そりゃ初めて言われたな」

ベネットはアダムをちらりと見た。

「どうする?」

ワイルダーは奥の廊下を見た。

「アダムとパトロールに近づけさせるな。負傷者を避難させろ。応援が来るまで持ちこたえる」

ベネットはうなずいた。

「突破されたら?」

ワイルダーは武器を構えた。

「武装した過激派が警察署を襲ったとき、警官が何をするのか教えてやる」


レイモンド・ハリソンはエリソン刑事と戦術対応部隊とともに、攻撃者たちが二階の階段を突破しようとしているところへ到着した。

建物の外壁には銃弾の痕が残っていた。

壊れた正面入口から煙が流れ出していた。

救急車は警戒線の後方で待機していた。

レイモンドは車両から降りた。

「なんてこった……」

エリソンは状況を確認した。

「複数の攻撃者が建物内にいます。市民と警官がまだ安全区域に避難しています」

レイモンドは入口を見た。

「アダムは?」

「最後に確認されたのは一階ロビー付近です」

「パトロールは?」

「一緒です」

レイモンドは装備を確認した。

エリソンは戦術部隊の指揮官へ向き直った。

「連携して突入します。単独行動は禁止です」

レイモンドは彼女を見た。

エリソンは片眉を上げた。

「あなたも含めてです」

彼はため息をついた。

「一生言われ続けるんだろうな」

「ええ」

戦術部隊の指揮官は側面入口を指さした。

「業務用通路から入れます。攻撃者たちは中央ロビーに集中しているようです」

レイモンドはうなずいた。

「なら、行こう」

彼らが扉へ到達する前に、頭上から聞き覚えのある音が響いた。

低い機械音。

レイモンドは顔を上げた。

紫色の機体が空を横切っていた。

ゆっくりと。

慎重に。

しかし、間違いなく。

彼は目を見開いた。

「こりゃ驚いた」

MACH-01Aが警察の警戒線へ降下した。

後部スラスターが紫色に輝いていた。

キランは戦術車両の隣に着地した。

エンジンの出力が待機状態まで下がった。

レイモンドはにやりと笑った。

「また飛べるようになったじゃないか!」

キランは微笑んだ。

「一応ね」

エリソンが近づいた。

「ウルトラヴァイオレット」

「刑事」

「戦闘の許可は下りているんですか?」

キランはためらった。

「……限定的には」

エリソンは彼を凝視した。

キランはため息をついた。

「地上戦闘と、ごく短時間の飛行だけ。安全制限も厳しいんだ」

レイモンドは笑った。

「ギアらしいな」

「本当にね」

マッハが話した。

「キランの推進システムには、現在も緊急運用制限が適用されています」

エリソンはうなずいた。

「ならば、その制限を守ってください」

キランは警察署を見た。

「作戦は?」

彼女は戦術部隊の指揮官を示した。

「突入部隊と連携してください。中にいる人々をこれ以上危険にさらさず、ロビーへ到達する必要があります」

キランはうなずいた。

「了解」

レイモンドは彼の肩に手を置いた。

「準備はいいか、坊主?」

キランは破壊された建物を見た。

「行こう」


ヌリファイアーの指揮官が奥の廊下へ進んでいたとき、最初の警察戦術部隊が業務用入口から突入した。

「警察だ! 武器を捨てろ!」

ヌリファイアーたちが振り向いた。

銃撃戦が始まった。

戦術部隊は補強された柱の陰に身を隠した。

レイモンドも彼らとともに動いた。

二人の攻撃者が警官たちの側面へ回り込もうとしているのに気づいた。

「左だ!」

部隊は陣形を調整した。

一人は押し返された。

もう一人はロビーへ退却しようとした。

そのとき、紫色の装甲車椅子が側面通路から現れた。

キランはプラズマ砲を構えた。

「やあ!」

ヌリファイアーが振り向いた。

キランは微笑んだ。

「僕のこと、覚えてる?」

攻撃者は発砲した。

キランはシールドを起動した。

キィィン!

銃弾がエネルギー障壁に命中した。

キランは前方へ加速した。

シュオォッ!

MACH-01Aが攻撃者の装甲胸部へ激突した。

ドガァン!

ヌリファイアーは壁へ叩きつけられた。

キランは停止した。

「よし」

彼は診断表示を見た。

【熱的余裕――91%】

「まだ大丈夫」

マッハが答えた。

「車体を破城槌として使用するのは控えてください」

キランはため息をついた。

「ギアそっくりだね」

「褒め言葉として受け取ります」

レイモンドが近づいた。

「いい登場だったな」

キランはにやりと笑った。

「ありがとう」

「二度とやるなよ」

キランはうめいた。

「みんな批評家なんだから」


ロビーで、ワイルダーは戦術部隊が近づいてくる音を聞いた。

「応援だ!」

ベネットはほっとした様子だった。

「やっと来たか!」

ヌリファイアーの指揮官は側面通路へ向き直った。

そしてキランを見た。

表情が険しくなった。

「ウルトラヴァイオレット」

キランは停止した。

「やあ、どうも」

指揮官は武器を構えた。

「貴様か」

キランは微笑んだ。

「僕だよ」

「地上に留まっていればよかったものを」

キランはMACH-01Aをちらりと見た。

「厳密に言えば、ほとんど地上にいるけどね」

指揮官は前腕の装置を起動した。

マッハが即座に警告した。

【電磁兵器を検出】

キランの笑みが消えた。

「マッハ!」

「防御対策を起動!」

装置からパルスが放たれた。

ズザァァァッ!

キランはシールドを起動した。

パルスが障壁に命中した。

コックピットが揺れた。

警告が点滅した。

【シールド干渉】

【推進回路の隔離機能作動】

キランは歯を食いしばった。

「またかよ!」

マッハが電力経路を切り替えた。

「独立回路は維持されています!」

シールドが明滅した。

しかし、モーターは動き続けていた。

キランは目を見開いた。

それから微笑んだ。

「ギア、君は本当に天才だよ」

彼は横へ加速した。

指揮官が再びパルスを放った。

しかし、外れた。

キランはグラップラーを構えた。

シュパッ!

ケーブルが指揮官の武器を持つ腕に巻きついた。

キランは引っ張った。

攻撃者がよろめいた。

レイモンドが突進した。

ドガッ!

補強された警棒で指揮官の装甲肩部を打ちつけた。

指揮官は体勢を崩した。

キランはグラップラーをさらに引いた。

レイモンドは攻撃者の武器をつかんだ。

「武器を捨てろ!」

指揮官は抵抗した。

そのとき、ワイルダーが背後から近づいた。

「喜んで」

彼は武器の固定金具にある解除装置を叩いた。

装置が床へ落ちた。

レイモンドは指揮官の腕を背中へ回した。

ワイルダーが拘束具を取り付けた。

ヌリファイアーの指揮官はうなった。

「裏切り者ども!」

ワイルダーは彼を見た。

「まだそれを言うのか?」

「貴様らはあの忌まわしい存在を守っている!」

ワイルダーの表情が険しくなった。

彼は顔を近づけた。

「アダムとパトロールは、お前らが警察署で銃を乱射している間、人々を助けていたんだ」

指揮官はにらみつけた。

「奴らは人間ではない!」

ワイルダーは首を振った。

「パトロールはAIだ。アダムは人間だ。そして、どちらもお前らにこんな目に遭わされる理由なんてない」

指揮官は彼の足元へ唾を吐いた。

「貴様は人類を裏切った!」

ワイルダーは彼を凝視した。

それから背筋を伸ばした。

「妙な話だな」

彼は、パトロールの機能回復を手伝っているアダムを見た。

「俺から見れば、人類を裏切ったのは、ある人間の命には別の人間ほど価値がないと決めつけた連中のほうだ」

彼は戦術部隊の警官たちへ向き直った。

「連れていけ」


残りのヌリファイアーたちは正面入口から退却しようとした。

しかし、警戒線はすでに確保されていた。

警察車両が道路を封鎖していた。

戦術部隊が建物を包囲していた。

一人はすぐに投降した。

別の一人は整備通路から逃げようとしたが、逮捕された。

最後の二人は取調室に立てこもった。

緊迫したにらみ合いの末、彼らも投降した。

襲撃は終わった。

しかし、被害は残っていた。

割れたガラスがロビーを覆っていた。

机はひっくり返っていた。

壁には銃弾の痕が残っていた。

数人の警官が負傷していた。

市民たちは救急隊員による診察を受けていた。

そしてアダムは、AIの診断システムが回復するのを待ちながら、パトロールの隣に座っていた。

ワイルダーが近づいた。

「調子はどうだ?」

アダムは顔を上げた。

「よくなってる」

パトロールの光学センサーが明るくなった。

「運動機能は八十六パーセントまで回復しました」

ワイルダーはうなずいた。

「よかった」

パトロールは彼を見た。

「ワイルダー巡査」

「何だ?」

「ありがとうございます」

ワイルダーは肩をすくめた。

「気にするな」

アダムはかすかに微笑んだ。

「僕たちを助けてくれた」

ワイルダーは居心地が悪そうだった。

「仕事をしただけだ」

アダムは首を振った。

「違うよ」

彼は破壊されたロビーを見た。

「あいつら、僕たちがいるからここへ来たんだ」

ワイルダーの表情が変わった。

「アダム」

「僕たちを捕まえるために、人を傷つけた」

ワイルダーは彼のそばにしゃがんだ。

「よく聞け」

アダムは彼を見た。

「あいつらが警察署を襲ったのは、暴力的な過激派だからだ」

彼は建物を示した。

「それはあいつらが決めたことだ。お前のせいじゃない」

アダムは何も言わなかった。

ワイルダーは続けた。

「お前もパトロールも、人を助けるために危険を引き受ける仲間として、ここにいる資格がある」

パトロールは彼を見た。

「私が人間ではなくてもですか?」

ワイルダーはかすかに微笑んだ。

「パトロール、俺はプリンター一台直せない人間と山ほど働いてきたんだぞ」

パトロールは少し間を置いた。

「驚くほど低い基準ですね」

アダムが笑った。

ワイルダーは彼を指さした。

「おい、やめろよ」

襲撃が始まって以来初めて、三人は一緒に笑った。


地下の作戦司令部で、ヴェインは警察署の監視映像が消えるのを見ていた。

コバルトが隣に立っていた。

その表情は怒りに満ちていた。

「作戦は失敗しました」

ヴェインは何も言わなかった。

「六人のヌリファイアーが捕らえられました。標的は依然として警察に保護されています」

彼女はコバルトへ向き直った。

「街の人間は何を見た?」

コバルトは眉をひそめた。

「何です?」

「質問に答えろ」

彼はニュースモニターを見た。

警官たちがアダムとパトロールを守る映像が流れていた。

見出しにはこう書かれていた。

【純化協定の襲撃から警察がヴェントの英雄たちを守る】

コバルトは拳を握った。

「裏切り者どもが称賛されています」

ヴェインは映像を見つめた。

破壊された入口の近くにワイルダーが映っていた。

アダムとパトロールは、医療評価を受ける場所へ案内されていた。

修理された戦闘用車椅子に乗ったキランが、その近くに立っていた。

ヴェインの表情が険しくなった。

「警察は立場を選んだ」

コバルトはうなずいた。

「我々に敵対する立場です」

彼女は中央の地図を見た。

「違う」

コバルトは眉をひそめた。

「司令官?」

「連中は自らを象徴にしたのだ」

彼女は彼へ向き直った。

「そして、象徴は壊すことができる」

コバルトが一歩近づいた。

「再攻撃を準備しますか?」

「まだだ」

彼女はパージ・プロトコルの管理画面を開いた。

【第二次起動――準備完了率68%】

【ネットワーク到達率――66%】

【地域中継装置――稼働中】

ヴェインはかすかに微笑んだ。

「警察署は最初から主要目標ではなかった」

コバルトは彼女を見た。

「では、本当の目標は?」

彼女は地図を指さした。

港の中継拠点。

東部通信地区。

市営通信ネットワーク。

「英雄どもが友人を守ることに気を取られている間に、技術班は次の展開段階を完了させた」

コバルトはゆっくりと微笑んだ。

「襲撃は陽動だったのですね」

「一部はな」

ヴェインはニュース映像を再び見た。

「そして、街の忠誠心がどこにあるのかを測る、有益な試験でもあった」


その夜、警察署の破壊されたロビーでは、まだ修理作業が続いていた。

ワイルダーは仮設の防護壁の隣に立っていた。

レイモンドが近づいた。

「大変な一日だったな」

ワイルダーは乾いた笑いを漏らした。

「そうですね」

レイモンドは割れた窓を見た。

「中ではよくやった」

ワイルダーは肩をすくめた。

「やるべきことをやっただけです」

レイモンドはうなずいた。

「大事なことってのは、大抵そうやって起きるもんだ」

ワイルダーは廊下を見た。

アダムとパトロールが数人の警官と話していた。

負傷した警官の一人は、どうしてもパトロールへ直接礼を言いたいと申し出ていた。

ワイルダーはかすかに微笑んだ。

「面白いことがあるんですよ」

レイモンドは片眉を上げた。

「何だ?」

「あいつら、ずっと俺たちを裏切り者って呼んでたんです」

レイモンドは腕を組んだ。

「そうだな」

ワイルダーはうなずいた。

「自分たちの仲間を守ることが、まるで裏切りみたいに」

レイモンドはアダムを見た。

それからパトロールを見た。

「ああいう連中には、世界をいくつかの分類に分ける必要があるんだ」

ワイルダーは眉をひそめた。

「どうしてです?」

「一人一人を個人として見始めたら、連中の理屈は全部崩れちまうからさ」

ワイルダーは少し考えた。

それからうなずいた。

「そうかもしれませんね」

レイモンドは彼の肩に手を置いた。

「今日はよくやった」

ワイルダーは微笑んだ。

「ありがとうございます」

そのとき、聞き覚えのある声が割り込んだ。

「やあ!」

キランがMACH-01Aで近づいてきた。

スラスターは停止していた。

熱制御システムは冷却中だった。

しかし、機体は無事だった。

レイモンドはにやりと笑った。

「ちゃんと無事で帰ってきたじゃないか」

キランは微笑んだ。

「大体はね」

マッハのアバターが現れた。

「交戦中、熱的余裕は二十三パーセントまで低下しました」

レイモンドは目を見開いた。

「二十三?」

キランは視線をそらした。

「一応、ゼロより上だったよ」

マッハが答えた。

「それは許容できる安全基準ではありません」

ワイルダーは笑った。

レイモンドは首を振った。

「ギアに殺されるぞ」

キランはため息をついた。

「お願いだから、ギアには言わないで」

マッハのアバターが明るくなった。

「すでに診断報告書の全文を送信しました」

キランは画面を凝視した。

「裏切り者」

ワイルダーは大笑いした。

キランは彼を見た。

「何?」

ワイルダーは目元を拭った。

「いや、悪い」

彼はにやりと笑った。

「今日一日で、その言葉の意味がだんだん薄れてきた気がしてな」


ギアの工房では、雰囲気がそれほど明るくなかった。

「二十三パーセント!?」

キランは顔をしかめた。

「ただいま、ギア」

ギアは診断画面を指さした。

「二十三だよ!」

「聞こえてるって」

「長時間の戦闘は避けるように言ったでしょ!」

「避けたよ!」

マッハが割り込んだ。

「キランは高負荷の機動を複数回実施しました」

キランは画面を見た。

「君は黙ってて」

ギアは腕を組んだ。

「緊急停止が作動しなかったのが幸運だったんだよ」

キランはため息をついた。

「わかってる」

しばらくの間、ギアはまだ怒鳴り続けそうだった。

しかし、突然口を閉じた。

表情が和らいだ。

「大丈夫?」

キランは顔を上げた。

「うん」

「本当に?」

彼はうなずいた。

「本当に」

ギアは息を吐いた。

「よかった」

ギアはMACH-01Aへ近づいた。

そして修復された装甲に手を置いた。

「だって、もう一度君を作り直すなんて嫌だから」

キランはかすかに微笑んだ。

「僕も嫌だよ」

マッハのアバターが二人の間に現れた。

「今後の任務に向けて、より破壊的でない作戦を提案してもよろしいでしょうか?」

キランはうなずいた。

「いいよ」

「生存し続けることです」

ギアは笑った。

キランはうめいた。

「みんなお笑い芸人だね」


その夜遅く、エリソン刑事はエヴリン・ウォード中佐からメッセージを受け取った。

件名にはこう書かれていた。

【エコー・ヴェイル――補足指令】

エリソンは開いた。

本文は短かった。

エリソン刑事へ

エコー・ヴェイルの最初の移管承認後、追加の指令が発行されていたことを確認しました。

その指令は通常の人事記録には含まれていません。

アクセス履歴によると、ダニエル・リヴァースが異議を申し立てた後、複数の写しが移動、または再機密指定されています。

残存する記録を閲覧するため、現在許可を申請しています。

重要と思われる点が一つあります。

その指令の内部名称は、エコー・ヴェイルではありませんでした。

クリーン・スレートです。

エリソンは画面を凝視した。

それから電話に手を伸ばした。

二回目の呼び出しでレイモンドが応答した。

『何だ?』

「レイモンド」

彼は声の調子から何かを察した。

『何があった?』

「新しいつながりが見つかったかもしれません」

『リヴァースとの?』

「作戦全体とのです」

彼女はメッセージを再び見た。

「補足指令の名称は、クリーン・スレートでした」

沈黙。

それからレイモンドが口を開いた。

『ヴェインの作戦名じゃないか』

「ええ」

レイモンドの声が静かになった。

『なら、俺たちが思っていたよりずっと昔から始まっていたんだな』

エリソンはうなずいた。

「はるかに昔からです」


午後十一時五十九分。

純化協定の中央ネットワークが、次の同期処理を完了した。

市の地図が赤く輝いた。

【ネットワーク到達率――69%】

【第二次起動――準備完了】

【パージ・プロトコル――フェーズ2】

ヴェインは認証端末の前に立っていた。

コバルトが近づいた。

「司令官、すべての地域中継装置の同期が完了しました」

「素晴らしい」

「警察は港湾地区の警備を強化しています」

「予想どおりだ」

「ウルトラヴァイオレットの飛行能力は、一部復旧したようです」

ヴェインはMACH-01Aの監視画像を見た。

「ならば、こちらも対応するまでだ」

コバルトはうなずいた。

「ご命令は?」

ヴェインは街を見つめた。

何千もの命が、小さな光の点として表示されていた。

一つ一つの点が、一人の人間だった。

家庭。

職場。

旅路。

移動できることに支えられた生活。

彼女は技術者を見た。

「第二次起動を準備しろ」

技術者はためらった。

「司令官、前回の起動では広範囲に混乱が発生しました」

「そうだ」

「今回はさらに多くの地区が影響を受けます」

「そうだ」

「停止時間は?」

ヴェインの表情は変わらなかった。

「延長しろ」

技術者は唾を飲み込んだ。

「どれくらいですか?」

彼女は市の地図を見た。

「連中が理解するまでだ」

コバルトは微笑んだ。

技術者は命令を入力した。

新しい警告が表示された。

【第二次起動パラメータ更新】

【目標継続時間――180秒】

【地域到達範囲――拡大】

【市民安全用オーバーライド――無効】

ヴェインは画面を見つめた。

それから微笑んだ。

「従うことを拒んだとき、何が起きるのか思い知らせてやれ」

地下施設のはるか上では、シトロンシティが眠りについていた。

次の攻撃がすでに予定されていることなど、市民は誰も知らなかった。

そして今回、純化協定は三分間にわたり、彼らの自由を人質に取るつもりだった。

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