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21/193

ボス

本部へ戻るまでの道中――

誰も口を開かなかった。

ザイラも。

ジャリックも。

ブレイズも。

ブリザードも。

今夜起きた出来事が、四人全員に重くのしかかっていた。

倉庫での取引は失敗。

ベリゼールは激怒。

そして――

誰が責任を取らされるのか。

全員がわかっていた。

ナビゲーションシステム上で、位置情報ビーコンが点滅する。

**《位置情報:不明》**

前方に本部が見えてきた。

冷たい。

静か。

歓迎する気など――

まるでない。

何年ここで働いていても。

職場というより――

刑務所のように感じられた。

オフィスの扉へ近づいた時。

中から聞き慣れた声が響いてきた。

「承知しています。部下の無能については謝罪しますよ、ミスター・ベリゼール」

二人の動きが止まった。

ブレイズとブリザードも、不安そうに顔を見合わせる。

サヴァント。

すでにベリゼールと話している。

それは――

良い兆候ではなかった。

「二度とこのようなことは起こさないと約束しましょう」

ザイラが扉を開けた。

オフィスの中には、ほとんど何もない。

コンクリートの壁。

机。

通信機。

それだけ。

サヴァントは机の向こうに座り、未来的な通信機へ向かって話していた。

顔は影に隠れている。

部屋に響くのは――

その声だけ。

「待ってください。勝手にそんな――」

サヴァントが言葉を止めた。

相手の話を聞く。

そして。

その表情がゆっくりと変わる。

怒りではない。

愉快そうな――

表情へ。

「なるほど」

小さな笑みが浮かぶ。

危険な――

笑み。

「取引から手を引きたいのであれば、ご自由に」

ザイラの表情に不安が浮かんだ。

ジャリックからも笑みが消える。

二人には――

この後に何が続くのかわかっていた。

サヴァントは直接脅したりしない。

そんな必要が――

ないから。

「しかし……」

笑みがさらに広がる。

「アドリアナと、小さなシルヴィアが喜ぶかどうかまでは保証できませんね」

沈黙。

部屋の空気が――

凍りついた。

「少なくとも、私の部下たちが訪ねた後では……喜んでいないでしょう」

ジャリックの胃が締めつけられる。

オーガニゼーションで何年も働いてきた。

それでも――

こういう瞬間だけは。

今でも嫌だった。

「……そうでしょうね」

サヴァントは椅子に深くもたれた。

「お時間をいただき、ありがとうございました」

少し間を置く。

「今後とも、良いお付き合いを期待していますよ」

通信が切れた。

ガチャン!

通信機が乱暴に受話台へ叩きつけられた。

数秒間――

誰も動かなかった。

「申し訳ありません」

ザイラが一歩前へ出る。

「取引中に私たちがミスを犯したことは認めます。でも、ベリゼールの部下の一人がジャリックを『カタワ』と呼んで……それが彼にどう影響するか、あなたも知っているでしょう」

「どうか、お許しを――」

ブリザードの声さえ――

怯えていた。

サヴァントは答えない。

代わりに――

机の下へ手を伸ばした。

隠されていたボタンを押す。

**ピッ**

ザイラの血の気が引いた。

なぜなら。

そのボタンが何をするものなのか――

彼女は正確に知っていたから。

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