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『カタリスト:最初のVent』序章 ― 『ソニック・ウィーラーズ』劇場版イベント

その砂漠には名前がなかった。

少なくとも、現代の地図には記されていなかった。

何百キロメートルにもわたり、容赦なく照りつける太陽の下に黄金色の砂が果てしなく広がっていた。巨大な砂丘は風に合わせて姿を変え、かつて存在したかもしれない文明の痕跡を、その途方もない砂の重みの下に埋め続けていた。

何世紀もの間、この砂漠に人の手が入ることはなかった。

今日までは。

ヴルルルルルルルルン!

重機の轟音が、荒涼とした大地に響き渡った。

未来的な掘削車両の一団が、巨大な機械脚を砂地に食い込ませながら、ゆっくりと砂丘を進んでいた。強力な油圧式掘削機は関節のあるアームを地中へ伸ばし、何トンもの砂をすくい上げては、浮遊式の運搬プラットフォームへ積み込んでいく。

近くでは自律型ドローンが青い走査光を地表に照射し、地下に隠された異常を探知していた。

作業の中心には、大規模な考古学調査キャンプが設営されていた。

移動式研究室、仮設宿舎、研究施設が、砂漠の地表から三十メートル近く掘り下げられた巨大な発掘坑を取り囲んでいる。

しかし、これほど大がかりな設備を投入したにもかかわらず、調査の成果は驚くほど乏しかった。

陶器の破片が数点。

正体不明の石がいくつか。

そして砂。

とんでもない量の砂だった。

発掘現場の地下深く、岩盤をくり抜いて造られた狭い空間では、二人の考古学者が自分たちの職業選択を疑い始めていた。

「そもそも、どうしてこんなところに来たんでしたっけ?」

若い大学院助手のエリオット・マーサーは、袖で額の汗を拭った。

服は砂埃にまみれ、肩から下げた携帯型スキャナーは一時間ほど前から不調を起こしていた。

隣に立っていたのは、調査隊の責任者であるヘレナ・ヴォス博士だった。

四十代前半のヘレナは、記録に残る歴史よりはるか昔に消滅した文明を、二十年近く研究してきた考古学者である。

彼女は眼鏡の位置を直し、空間の壁を調べた。

「地質調査で、砂丘の下に人工構造物が存在する可能性が示されたからよ」

エリオットは周囲を見回した。

「なるほど。おめでとうございます、博士。穴を発見しましたね」

ヘレナはため息をついた。

「これは墳墓よ」

「空っぽの墳墓ですけどね」

「まだ調査は終わっていないわ」

エリオットは周囲の壁を指差した。

「失礼を承知で言いますけど、もう六週間も調べてるんですよ。見つかったのは割れた壺が三つ、ニワトリにちょっと似た石が一個、それから大学を丸ごと埋められるくらいの砂だけです」

ヘレナはスキャナーを下ろした。

「あの石はニワトリの形なんかしていなかったわ」

「くちばしがありました」

「風化によるものよ」

「小さな足も」

「エリオット」

「はいはい。地質学的ニワトリですね」

ヘレナは額を押さえた。

青年の言い分も、完全に間違っているわけではなかった。

今回の調査では莫大な費用が消費され、大学側の忍耐も限界に近づいていた。

最新式の発掘機器を一日稼働させるだけで、一部の研究部門が一年間に受け取る予算を上回るほどだった。

そして、状況はさらに悪化しようとしていた。

ヘレナは手首の端末に表示された財務報告を確認した。

大学研究助成金

残額:0.00ドル

彼女はその数字を見つめた。

そして表示を閉じた。

エリオットが気づいた。

「そんなにまずいんですか?」

ヘレナは息を吐いた。

「正式に、助成金を使い切ったわ」

エリオットは瞬きをした。

「全部ですか?」

「最後の一銭までね」

彼は天井を見上げた。

「つまり、無一文ですね」

「学術的に言えば、そうね」

「素晴らしい」

彼は石壁にもたれかかった。

「親には会計士になれって言われたんですよ」

ヘレナは空間の調査を続けた。

「まだ発見する時間はあるわ」

「どれくらい?」

「明日の朝まで」

エリオットは彼女を凝視した。

「明日?」

「機材の請負業者が、日の出とともにキャンプの撤収を始める予定なの」

彼はゆっくりと周囲を見回した。

「つまり、確認しますけど、僕たちは六週間と大学の研究助成金を丸ごと使って、人里離れた砂漠の真ん中に巨大な穴を掘った。そして今夜中に何も見つからなければ、成果ゼロで帰るってことですか?」

ヘレナは少し考えた。

「陶器があるわ」

「破片が三つ」

「地質標本も」

「砂です」

「重要な砂かもしれないわ」

エリオットは目を閉じた。

「履歴書に書いておきます」

ヘレナはかすかに微笑んだ。

その時だった。

彼女はあるものに気づいた。

奥の壁に沿って、細いくぼみが走っていた。硬く固まった堆積物にほとんど覆い隠されている。

ヘレナはそこへ近づいた。

「エリオット」

彼は片目を開けた。

「何です?」

「スキャナーを持ってきて」

彼はため息をついた。

「砂以外のものを見つけたって言ってくださいよ」

「いいから持ってきなさい」

エリオットは携帯型スキャナーを手に取り、彼女の後を追った。

ヘレナは薄い堆積物の層を払い落とした。

その下から、滑らかな表面が現れた。

石ではない。

粘土でもない。

まったく別の何かだった。

彼女は眉をひそめた。

「妙ね……」

エリオットはスキャナーを起動した。

青い光が壁の表面を走る。

表示がちらついた。

そしてエラーが出た。

材質構成:不明

エリオットは画面を凝視した。

「これは初めてですね」

ヘレナは顔を近づけた。

「もう一度」

彼は再び走査した。

材質構成:不明

密度測定:判定不能

構造物の奥行き:測定不能

エリオットはゆっくり装置を下ろした。

「博士?」

「何?」

「これ、壁じゃないと思います」

ヘレナはさらに堆積物を払い落とした。

一本のまっすぐな縦線が現れた。

続いて、もう一本。

最初の線を下へたどると、横方向の継ぎ目につながっていた。

彼女の呼吸が速くなった。

「エリオット。ここを掘り出すのを手伝って」

二人は急いで作業を始め、何世紀にもわたって固まった砂や鉱物の堆積物を削り落とした。

数分後、その輪郭は誰の目にも明らかになった。

扉だった。

古代の岩壁に直接埋め込まれた、巨大な金属製の扉。

その表面は完全に滑らかで、中央の円形のくぼみを囲むように、見慣れない幾何学模様が刻まれている以外、何の装飾もなかった。

蝶番はない。

取っ手もない。

鍵穴らしきものも見当たらない。

しかも、いつから砂漠の下に埋まっていたのか分からないというのに、金属には腐食の痕跡がまったくなかった。

エリオットは一歩後ずさった。

「何だ、これ……?」

ヘレナは答えなかった。

目の前のあり得ない構造物を、ただ見つめていた。

周囲の空間は明らかに古代のものだった。

壁には原始的な道具で削られた痕跡が残っている。

それなのに、この扉だけは昨日製造されたばかりのように見えた。

エリオットは唾を飲み込んだ。

「博士、これ、金属ですよ」

「見れば分かるわ」

「そうじゃなくて、*金属*なんです。僕たちが知っているどんな文明よりも古い墳墓の中にですよ」

ヘレナは扉へ近づいた。

「そんなこと、あり得ないわ……」

彼女は模様を調べた。

文字にも装飾にも見えない。

一つ一つの記号は、手作業で刻んだとは思えないほど正確な角度で交差する線によって構成されていた。

エリオットは再びスキャナーを持ち上げた。

装置が甲高い警告音を発した。

エラー

未知のエネルギー反応を検出

彼は画面を見つめた。

「エネルギー……?」

ヘレナが振り向いた。

「何ですって?」

「中に何かあります」

空間に沈黙が落ちた。

ヘレナは扉へ視線を戻した。

「特定できる?」

エリオットはスキャナーを調整した。

測定値が激しく変動する。

「無理です。何なのか分かりません。スキャナーがまったく解析できないんです」

彼は彼女を見た。

「博士、地上のチームを呼んだ方がいいと思います」

だが、ヘレナにはほとんど聞こえていなかった。

二十年間、彼女は忘れ去られた文明を発見するために人生を捧げてきた。

失敗に終わった調査。

懐疑的な同僚たち。

考古学を金のかかる趣味程度にしか考えていない大学の管理者たち。

そのすべてを乗り越えてきた。

そして今、目の前には、人類が過去について理解しているすべてを書き換えるかもしれないものが存在していた。

彼女は手を上げた。

「博士?」

指先が円形のくぼみに近づく。

「何か仕掛けがあるのかもしれないわ」

「博士、僕は本当にやめた方が——」

彼女は金属に触れた。

カチッ。

二人の考古学者が凍りついた。

ヘレナの指先の下に、細い紫色の光が現れた。

彼女は息をのみ、慌てて手を引っ込めた。

光が外側へ広がっていく。

ウィィィィィィィィン!

幾何学模様が次々と発光し、金属表面に複雑な光の紋様を描き始めた。

紫色の光が継ぎ目を駆け抜ける。

中央の円形部分が回転した。

構造物の奥深くで、太古の機構が目を覚ました。

エリオットはよろめきながら後ずさった。

「まずい……」

ヘレナは信じられない様子で見つめた。

「起動している……」

「ええ、見れば分かりますよ!」

床を低い振動が伝わった。

続いて、もう一度。

ゴゴゴゴゴゴ……!

天井から砂埃が降り注いだ。

エリオットは上を見た。

「博士?」

地面が激しく揺れた。

ガガガガガッ!

石壁に亀裂が走った。

岩の破片が床へ落下する。

ヘレナはよろめき、近くの支柱につかまった。

「下がって!」

エリオットは空間の出入口へ駆け出した。

しかし、たどり着くより早く、天井から巨大な岩盤が剥がれ落ちた。

ドゴォォォォォン!

岩盤は通路へ激突し、脱出路を完全に塞いだ。

エリオットが悲鳴を上げた。

「出口が!」

砂埃が室内を覆い尽くした。

ヘレナは顔をかばいながら咳き込んだ。

「落ち着いて!」

「落ち着けですって!? 閉じ込められたんですよ!」

振動がさらに強くなった。

紫色の模様が一層まぶしく輝いた。

そして、二人がこれまで一度も聞いたことのない音が響いた。

低く、深く反響する機械音。

まるで心臓の鼓動のようだった。

ドクン。

ドクン。

ドクン。

ヘレナは扉へ振り向いた。

中央部分が左右に分かれ始めた。

細い縦の隙間が現れる。

その向こうには、完全な闇が広がっていた。

エリオットは後ずさった。

「博士……」

金属製の扉の両半分が、ゆっくりと周囲の壁の中へ引き込まれていく。

ギギギギギギギギギィィィン!

開口部から冷たい空気が吹き出した。

ヘレナは身震いした。

室内の温度が急激に下がっていく。

吐く息が白くなった。

「あり得ない……」

エリオットのスキャナーがけたたましく鳴り始めた。

警告

未知の存在を検出

警告

エネルギーレベルが測定限界を超過

彼は画面を凝視した。

「存在……?」

ヘレナは彼を見た。

「どういう意味? 存在って?」

スキャナーの画面がちらついた。

そして完全に停止した。

空間は静まり返った。

地震さえ止まったようだった。

扉は完全に開いていた。

その向こうには、二人のライトの光さえ届かないほど濃密な闇が広がっていた。

ヘレナはゆっくりと懐中電灯を持ち上げた。

光が開口部の奥へ伸びる。

数秒間、何も起こらなかった。

その時だった。

何かが動いた。

闇の奥深くで。

かすかな金属音が響いた。

カチン。

エリオットは一歩後ずさった。

「博士……」

再び音がした。

カチン。カチン。

ヘレナの懐中電灯が震えた。

敷居の向こうで、巨大な何かが身じろぎした。

ほんの一瞬、滑らかな金属の表面が見えた。

続いて、何かの輪郭。

そして、人間の顔を思わせる、不気味な形状。

ヘレナは息をのんだ。

「そんな……神様……」

突然、闇の中に二つの紫色の光点が現れた。

その光は、まっすぐ彼女を見つめていた。

エリオットにも見えた。

彼の顔から血の気が引いた。

「な、何なんだ、あれは!?」

闇の中の何かが動いた。

ヘレナの懐中電灯が、その姿を恐ろしいほど鮮明に照らし出した。

ほんの一瞬だけ。

彼女の目が大きく見開かれた。

その瞬間に見たものは、科学者としての彼女の頭脳が思いつく、あらゆる説明を打ち砕いた。

彼女は口を開いた。

そして絶叫した。

「きゃああああああああああっ!」

エリオットの悲鳴が重なった。

「うわああああああああああっ!」

闇の奥から、耳をつんざくような金属の咆哮が轟いた。

ヴルルルルルルルルラアアアアアアアッ!

紫色の光が空間全体を飲み込んだ。

そして——

暗転。

すべてが闇に包まれた。

名もなき砂漠の地下で、数え切れないほど長い年月にわたり埋もれていた何かが、ついに目を覚ましたのだった。

――物語は『カタリスト:最初のVent』へ続く。

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