学校へ戻る
キラン・キリアンは、この数日間ずっと、自分にできないことばかり言い渡されていた。
高速飛行は禁止。
戦闘機動は禁止。
プラズマキャノンは禁止。
犯罪者を追いかけるのは禁止。
激しい運動は禁止。
コーヒーも禁止。
最後の一つについては、今でも最も納得がいかなかった。
だが今朝、肺炎で入院して以来初めて、キランには医療上の制限よりも興味深いことがあった。
彼はタブレットに表示された匿名メッセージを見つめていた。
キリアン先生、学校に戻ってきても、放課後は残らないでください。
次のメッセージ。
倉庫のことを聞くべきじゃなかった。
そして、
家にいてください、キリアン先生。
私たちが狙っているのは、あなたではありません。
狙っているのは、あなたの生徒の一人です。
キランは、ほとんど暗唱できるほど何度も読み返していた。
メッセージの横には、マッハのアバターが浮かんでいる。
「何か分かった?」
「追加の比較分析が完了しました」
「それで?」
「これらのメッセージは、同一人物によって送信されたものではありません」
キランの動きが止まった。
「何だって?」
「当初、経路の違いは送信者が身元を隠すためのものだと推測していました。しかし、さらに分析した結果、そうではない可能性が高いと判断しました」
マッハがメッセージを二つの列に分けた。
最初の列には、最初に届いた警告だけ。
残りはすべて二つ目の列に並んだ。
キランは眉をひそめた。
「二人いる」
「最低でも」
「どれくらい確信してる?」
「87.4パーセントです」
「腹立つくらい具体的だな」
「ご希望なら切り捨てますが」
「それで安心できるわけじゃない」
キランは画面へ顔を近づけた。
マッハがメタデータの一部を強調表示する。
「最初の送信者による識別情報の削除方法は粗雑です。効果的ではありますが、洗練されてはいません。一方、その後のメッセージは、はるかに高度な方法で情報が消去されています」
「じゃあ最初のを送った奴は……」
「その後のメッセージを送った人物とは別人である可能性が高いです」
キランは最初のメッセージをもう一度見た。
放課後は残らないでください。
最初は脅迫だと思っていた。
だが今は?
「もし最初の奴が僕を脅してたんじゃなかったら?」
「その可能性は大幅に高まりました」
「もし僕に警告しようとしてたんだったら?」
「文面とも一致します」
キランは黙り込んだ。
それなら話が変わってくる。
一人はキランをシトロン・アカデミーから遠ざけようとしている。
もう一人は、彼を守ろうとしていたのかもしれない。
そして、その二人の間にいるのが、彼の生徒の一人。
キランの表情が険しくなった。
「よし」
「何を計画しています?」
「学校に戻る」
「ダメです」
「マッハ」
「あなたにはまだ医療上の制限があります」
「知ってる」
「肺炎で入院していたのですよ」
「ものすごくよく知ってる」
「匿名メッセージが届いたからといって、自分で医学的な復帰許可を出すことはできません」
キランは腕を組んだ。
「丁寧にお願いしたら?」
「ダメです」
「だからお前には頼まない」
数時間後、ドクター・ラクソンが聴診器を下ろした。
キランは笑顔だった。
彼女は笑っていなかった。
それが不安だった。
「それで?」
「もう一度息を吸って」
キランは吸った。
「深く」
キランは苛立った目を向ける。
「今の深かったけど」
「ハムスターならね」
「失礼だな」
「もう一度」
キランは無理のない範囲で、できるだけ深く息を吸った。
ラクソンは胸の音を聞く。
聴診器を移動させる。
もう一度。
さらにもう一度。
ようやく彼女が身体を離した。
キランは即座に尋ねた。
「飛んでいい?」
「ダメ」
「考えもしなかっただろ」
「あなたが聞くと分かっていたから、十分すぎるほど考えてあります」
「高速飛行は?」
「ダメ」
「戦闘機動?」
「ダメ」
「プラズマキャノン?」
ラクソンはゆっくりカルテを下ろした。
「肺炎からの回復許可とプラズマキャノンに何の関係があるの?」
「境界線を確認してるだけ」
「あなたの境界線はかなり変ね」
「職業病だよ」
近くのディスプレイにマッハが現れた。
「私も説明を試みました」
「裏切り者」
ラクソンは二人を無視してカルテへ視線を戻した。
「肺の状態はかなり改善してる。酸素レベルも普段の基準値に近い。感染症も治療にきちんと反応してるし、発熱もない」
キランの顔が明るくなった。
「じゃあ復帰許可?」
「そうは言ってない」
肩が落ちる。
「でも……」
来た。
キランは姿勢を正した。
「でも?」
「仕事に戻ることなら許可してもいいと思ってる」
キランは彼女を見つめた。
「学校?」
「学校」
顔が一気に明るくなった。
「本当に?」
「条件付きで」
「もちろん条件あるよね」
「薬は処方どおりに続けること」
「分かった」
「呼吸器治療も続ける」
「分かった」
「必要なら休憩する」
「分かった」
「午後になって少し調子がいいからって無理をしない」
「分かった」
「それから、呼吸が悪化したり、咳が明らかに増えたり、熱が出たり、マッハが何か異常を検出した場合は帰宅すること」
キランはマッハを見る。
「こいつに権力与えすぎじゃない?」
「同意しかねます」とマッハ。
ラクソンは続けた。
「教えることと、高速飛行や戦闘、それからあなたが普段やってるその他の馬鹿げた行動は別物よ」
キランが指を立てる。
「じゃあ厳密には——」
「ダメ」
「まだ何も言ってない」
「抜け道を探そうとしたでしょう」
「正当な医学的質問をしようとしただけ」
「何?」
キランは少し黙った。
「……ホバリングは飛行に入る?」
「ダメ」
「医学的根拠ないだろ、それ」
「シェイクスピアでも教えてきなさい、キリアン先生」
キランは笑った。
「喜んで」
翌朝、キランはアラームが鳴る前に目を覚ました。
マッハは当然気づいた。
「早起きですね」
「分かってる」
「アラームまであと二十三分あります」
「分かってる」
「普段はアラーム前に意識を取り戻すことを強く嫌っています」
「今日は違う」
キランはすでに準備を始めていた。
珍しく、MACH-01Aに表示される制限を見ても腹は立たなかった。
戦闘モード――ロック
プラズマキャノン――ロック
マッハ速度――ロック
今日はどれも必要ない。
必要なのは授業計画。
タブレット。
マーカー。
そして、十代の生徒たちを数クラス分生き延びるための、途方もない忍耐力。
「どう?」
マッハが一拍置く。
「医学的にですか?」
「違う」
「呼吸機能は安定しています」
「服だよ、マッハ」
「ああ」
また一拍。
「問題ありません」
キランはディスプレイを見つめた。
「問題ありません?」
「評価を求められましたので」
「もう少しマシな感想期待してたんだけど」
「嘘をつく方がお好みですか?」
「皮肉は覚えたのに気遣いは覚えないんだな」
「環境の影響でしょう」
キランは笑った。
「そうかもな」
シャツを整える。
「これが恋しかった」
「知っています」
シトロン・アカデミーまでの道は、不思議なほど懐かしく感じられた。
そして同時に、新鮮でもあった。
校舎が見えてきた。
朝日に照らされた敷地を、生徒たちが歩いている。
実際に目にするまで、これほど学校が恋しかったとは気づかなかった。
そして校舎へ入った。
「キリアン先生!」
廊下へ入ってすぐに誰かに見つかった。
何人もの顔がこちらを向く。
「戻ってきた!」
「よかったぁ」
「先生!」
「死にかけたんですか?」
キランは止まった。
「君にもおはよう」
生徒の一人が近づいてくる。
「本当に肺炎だったんですか?」
「そうだよ」
「病院のあの服着たんですか?」
「残念ながら」
「後ろ開いてるやつ?」
「この話は終わり」
別の生徒が現れた。
「マーサー先生、詩を書かせたんですよ」
キランは恐怖に満ちた顔をした。
「それは本当に気の毒だった」
「ほら言っただろ!」生徒は廊下の向こうにいる誰かへ叫んだ。「キリアン先生なら分かってくれるって!」
別の声が飛んでくる。
「火曜日に小テストやったんですよ!」
「怪物だな」
「『マクベス』のこと『ハムレット』って言ってました!」
キランの笑顔が消えた。
「よし。それについては懲戒処分を検討しよう」
マッハがプライベート通信で話しかける。
「心拍数が上昇しました」
「『マクベス』を『ハムレット』って呼んだんだぞ」
「十代の生徒の証言によれば」
「僕は信じる」
キランは自分の教室へ到着した。
そして止まった。
ドアには手作りの横断幕が掛かっていた。
おかえりなさい、キリアン先生!
その下に小さく、
もう肺炎にならないでください
さらに誰かが書き足していた。
マーサー先生だったんですよ
キランは見つめた。
ゆっくり笑みが浮かぶ。
「すごいな」
「嬉しそうですね」
「生徒には言うなよ」
「表情ですでに伝わっていると思われます」
キランは教室へ入った。
ほとんど以前と同じだった。
ほとんど。
本が三冊、違う場所に置かれている。
ポスターが移動している。
誰かがどうやら黒板消しではない何かでホワイトボードを消そうとしたらしい。
そして彼の机の後ろには——
キランはそこにある物体を見つめた。
「何だ、あれ?」
生徒の一人が肩をすくめる。
「マーサー先生が持ってきました」
巨大なクッション付きオフィスチェアだった。
キランはMACH-01Aを見る。
次に椅子。
そして生徒。
「誰も教えなかったの?」
「言いました」
「何回も」と別の生徒。
キランは額を押さえた。
「廊下に出しといて」
生徒たちが笑った。
それから数分間、教室は騒音に満たされた。
質問。
不満。
キランが休んでいる間に起きた出来事。
キランは好きに話させた。
自分が思っていた以上に、この騒がしさが恋しかった。
やがて教室の前へ移動する。
「はい、そこまで」
誰も話をやめない。
キランは待った。
まだ話している。
咳払いする。
変化なし。
マッハが教室のスピーカーを通して言った。
「キリアン先生は最近、肺炎から回復したばかりです。大声を出させる行為は殺人未遂に該当する可能性があります」
教室が静まり返った。
キランはマッハを見る。
「ちょっと大げさ」
「効果的です」
キランは生徒たちへ向き直る。
「よし。まず、僕は生きてる」
手が上がった。
「ほぼ?」
「手を下ろしなさい」
笑いが起こる。
「二つ目。うん、かなり良くなった。三つ目。僕が病気だったことを、課題を終わらせなかった言い訳には使えない」
あちこちから呻き声。
「残念でした」
また手が上がる。
「精神的トラウマは?」
「ダメ」
「教育環境が不安定になったことによる影響は?」
「ダメ」
「マーサー先生の詩の授業による精神的苦痛は?」
キランは考えた。
「……部分点は認めよう」
教室が沸いた。
気持ちがよかった。
普通だった。
数日ぶりに、キランは病院のことを考えていなかった。
薬のことも。
酸素濃度のことも。
制限のことも。
ただ教えていた。
授業開始から二十分後、キランはホワイトボードに『マクベス』からの一節を書いた。
「ここで重要なのは、マクベスが何を言っているかだけじゃない。自分自身に何を真実だと思い込ませようとしているかだ」
女子生徒が手を挙げる。
「じゃあ、嘘をついてるんですか?」
「完全には違う」
キランは振り返る。
「人は他人にだけ嘘をつくわけじゃない。時には、自分自身のために作った嘘こそ、一番説得力がある」
文章を指す。
「マクベスは自分が何をしているか分かっている。面白いのは、それでも実行できるように、自分の中で正当化していく過程なんだ」
マッハの声が静かにプライベート音声へ入ってきた。
「キラン」
キランは授業を続ける。
「だから、この場面を分析するときは——」
「キラン」
振り向かない。
「何?」
「シトロン・アカデミーの内部ネットワークで、不正アクセスを検出しました」
キランのマーカーが一瞬だけ止まった。
すぐに動き出す。
「同じ方法?」
「解析中です」
キランは生徒たちへ向き直る。
「八十七ページ」
本が開かれる。
紙が擦れる。
表情は完全にいつもどおりだった。
だが内側では、すべてが変わっていた。
「マッハ?」
「確認しました」
プライベートディスプレイに小さな通知が表示される。
不正ネットワークアクセスを検出
発信元――内部
キランは教室を見渡した。
二十八人の生徒。
二十八の可能性。
この中の一人。
メッセージにはそう書いてあった。
「追跡できる?」
「試行中です」
キランは授業を続ける。
「次の箇所、誰か読んでくれる?」
誰も手を挙げない。
キランはため息をついた。
「素晴らしい積極性だな」
数人が笑う。
一人を指名する。
その生徒が読み始める間、キランはゆっくり教室を見渡した。
異常はない。
本文を追っている生徒。
追っているふりをしている生徒。
落書きをしている生徒。
あと三分ほどで眠りそうな生徒。
普通だ。
そこで、後ろの方にいる一人が目に入った。
読んでいない。
書いてもいない。
キランをまっすぐ見ている。
目が合った。
その生徒はすぐに視線を落とした。
恐怖。
退屈ではない。
宿題を忘れた罪悪感でもない。
恐怖だった。
キランは気づかなかったふりをして授業を続けた。
「よし。そこまで」
朗読が止まる。
「マクベスの言葉遣いは、ここでどう変化してる?」
誰かが答える。
キランも返す。
だが意識の一部は、ずっと後ろへ向けられていた。
その生徒が再び顔を上げる。
キランを見る。
次に教室のドア。
それから別の場所。
確認している。
見張っている。
誰にも見られていないことを確かめている。
キランの脈が速くなった。
マッハが気づく。
「キラン?」
「今はいい」
その生徒がキランをまっすぐ見た。
唇が動く。
声は出ない。
キランには読み取れなかった。
だがマッハにはできた。
小さな解析表示が現れる。
そして二つの言葉が、キランのプライベートディスプレイに表示された。
助けて。
キランが止まった。
ほんの半秒。
だが、確かに止まった。
生徒は即座に顔を伏せた。
鉛筆を持つ。
ノートを取っているふりをする。
キランは教室全体を見る。
誰も反応していない。
誰も気づいていないようだった。
無理やり授業を続ける。
「よし」
声は安定していた。
「次の段落を見てみよう」
マッハが言った。
「キラン」
「何?」
「不正接続が切断されました」
キランの腹の底に冷たいものが沈んだ。
「いつ?」
「その生徒があなたへ意思を伝えようとしてから、およそ三秒後です」
キランはもう一度その生徒を見る。
向こうは見返さない。
「偶然?」
「可能性はあります」
「信じてないだろ」
「はい」
キランは教室のドアを見る。
窓を見る。
そして生徒たちを見る。
自分が休んでいる間、誰かがこの教室に入った。
誰かが倉庫を荒らした。
誰かが放課後に残るなと警告した。
別の誰かが、質問するなと脅した。
そして今、怯えた生徒が無言で助けを求めた瞬間、謎の接続が切れた。
誰かが見ている。
ネットワークを通じてかもしれない。
学校の監視カメラを通じてかもしれない。
あるいは、もっと近い場所から。
キランの本能すべてが、授業を中断しろと叫んでいた。
警備を呼べ。
その生徒をここから出せ。
質問を始めろ。
だが代わりに、キランはマーカーを手に取った。
マッハはすぐに理解した。
「授業を続けるつもりですね」
「そうだ」
「なぜです?」
「誰かが見てるから」
キランはホワイトボードにもう一行書いた。
「そして今のところ、僕が気づいたことを向こうは知らない」
少し間があった。
「驚くほど自制的です」
「そんなに驚くなよ」
「複数の行動予測モデルを更新しています」
「消せ」
「嫌です」
キランは再び生徒たちへ向き直った。
「さて。マクベスにとって最大の敵が、必ずしも他人ではないのはなぜだと思う?」
手が上がる。
キランはその生徒を指した。
「自分自身だから?」
キランは頷いた。
「そのとおり」
彼は笑った。
教えた。
冗談を言った。
課題を出した。
いつものキリアン先生とまったく同じように振る舞った。
だが、その普通の授業の裏側では、マッハが静かに校内ネットワークを捜索していた。
そしてキランは見ていた。
ドアではない。
窓でもない。
自分の生徒たちを。
特に、教室の後ろで怯えている一人を。
なぜなら、誰かが警告していたからだ。
彼らのうち一人が危険にさらされている、と。
そして今、キランにはもう一つ分かったことがある。
その生徒自身も、それを知っている。




