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共通の敵

夜がシトロン・シティを包んでいた。

地上から見れば、街は高層ビル、交通、広告、歩行者、そして光り輝く店が果てしなく入り組んだ迷路だった。

だが上空から見れば――

ほとんど平和に見える。

ほとんど。

ザイラ・ラインハルトは、適当なビルの屋上の縁近くに座り、片脚を胸元へ引き寄せていた。

Blizzardがその隣に浮かんでいる。

ナオミは古びた換気設備の下を陣取り、DJ Kre8は頭上を気ままに漂っていた。

ウルトラヴァイオレットは屋上の縁に直接腰掛けていた。

その両脚は、何階分もの虚空の上でぶらぶらと揺れている。

誰もこの建物の名前を知らなかった。

そして誰も気にしていなかった。

高い。

静か。

そして何より――

ここなら誰も彼女たちを探していない。

たぶん。

ナオミは苛立たしそうに囚人服を引っ張った。

「服が必要」

ウルトラヴァイオレットが振り返る。

「今着てるので何が悪いの?」

ナオミは彼女を睨んだ。

「背中に**GATELOCK CORRECTIONAL FACILITY**ってデカデカと書いてある」

「ファッションじゃん」

「私は脱獄犯なの」

「だからこそ」

ナオミはため息をついた。

DJ Kre8が逆さまに浮かんだ。

「服なら作れるよ」

ナオミが見上げる。

「ソリッドライトの服?」

「そう」

「集中が切れたらどうなるの?」

DJ Kre8はゆっくりと身体を正位置へ戻した。

「……やっぱり何でもない」

ウルトラヴァイオレットが笑った。

ザイラでさえ少し笑った。

少しだけ。

その時――

彼女の腹が鳴った。

盛大に。

全員が彼女を見る。

ザイラは目を閉じた。

「やめろ」

ウルトラヴァイオレットがニヤリとする。

「誰かさん、ピザの日が恋しいみたい」

「このビルから投げ落とすぞ」

「寂しくなるくせに」

「ならない」

Blizzardが口を開いた。

「なると推測します」

ザイラが自分のVentを見る。

「お前はどっちの味方だ?」

「あなたです」

Blizzardは一拍置いた。

「残念ながら」

ザイラは彼女を見つめた。

そして――

ゲートロックを出てから初めて――

笑った。

長くは続かなかった。

だが本物の笑いだった。

ナオミは換気設備にもたれた。

「これ、どう考えてもおかしい」

「どの部分?」ウルトラヴァイオレットが聞いた。

ナオミは大きく手を広げた。

「これ全部」

「屋上?」

「全部よ」

彼女は指を折りながら数え始めた。

「シトロン・シティでも特に厳重な刑務所から脱獄した。Ventを取り戻した。警備責任者と戦った。そして今は食べ物も、お金も、寝る場所もないまま屋上に隠れてて、どうやら長期的な計画は……」

彼女は止まった。

ウルトラヴァイオレットは待った。

ナオミはため息をついた。

「何もない」

「正解」

「認識が一致してて何より」

DJ Kre8は街を見渡した。

「シトロンを出る?」

ザイラは即座に首を振った。

「検問」

Blizzardも頷いた。

「ゲートロックはすでに、この地域全域へ私たちの身元情報を配布しているはずです」

「交通ターミナルも監視されてるはず」ナオミが付け加えた。

「ホテルもね」ウルトラヴァイオレットが言った。

ナオミは彼女を見る。

「じゃあ、どうするの?」

ウルトラヴァイオレットは肩をすくめた。

「姿を消す」

ナオミは彼女を見つめた。

「女五人で屋上に座ってるんだけど」

「厳密には、女三人とVent二体」

DJ Kre8が手を挙げた。

「ありがとう」

ナオミは額を揉んだ。

「全員のせいで頭痛くなってきた」

しばらく――

誰も話さなかった。

遠くの高層ビルの間を、一台の警察車両が飛んでいった。

五人全員が反射的に目で追った。

そのまま通り過ぎる。

警光灯が見えなくなるまで、誰一人として緊張を解かなかった。

自由というものは奇妙だった。

ゲートロックの中で、彼女たちは長い間それを想像していた。

自由とは、開いた扉。

自由とは、空。

自由とは、看守がいないこと。

決められた予定もない。

フォースフィールドもない。

いつ食べるかを命令する者もいない。

いつ眠るか。

いつ動くか。

だが――

誰ももう一つの側面については語らなかった。

逃亡者としての自由とは――

どこにも安全な場所がないということだった。

サイレンが鳴るたびに意味がある。

警察車両を見るたびに意味がある。

見知らぬ人間がほんの少し長くこちらを見ただけでも意味がある。

ザイラはBlizzardを見た。

それでも――

価値はあった。

Blizzardが気づいた。

「何です?」

「何でもない」

「脱走してから、あなたは私を十七回見ています」

ザイラは眉をひそめた。

「数えてたのか?」

「Vent秘庫の中では、することがほとんどありませんでしたので」

ザイラは小さく笑った。

「ただ……」

言葉が止まる。

Blizzardは待った。

ザイラの声が静かになる。

「戻ってきてくれてよかった」

Blizzardは冗談を言わなかった。

「私もです」

ナオミはDJ Kre8を見る。

DJ Kre8が気づいた。

「何?」

「別に」

「あの二人の真似しないで」

「してない」

「絶対ちょっと感傷的になろうとしてた」

ナオミは目を転がした。

「もういい」

「私も会いたかったよ」

ナオミが顔を上げる。

DJ Kre8は笑った。

ナオミも思わず笑い返した。

ウルトラヴァイオレットは二組を眺めていた。

「はい」

彼女は立ち上がった。

「そこまで」

ザイラが振り向く。

「何が?」

「再会。感傷。存在しない食べ物の話」

ウルトラヴァイオレットは囚人服のズボンについた埃を払った。

「これから本当に何をするのか決めないと」

その一言で笑いは消えた。

ナオミが姿勢を正す。

ザイラは街を見る。

ウルトラヴァイオレットのポケットには、あの使い捨て携帯がまだ入っていた。

謎の協力者は、すでに一つの提案をしていた。

キラン・キリアン。

ウルトラヴァイオレットは携帯を取り出した。

画面は暗いままだった。

手の中で裏返す。

「私たちを脱獄させた奴は、キランを狙わせたいみたいね」

ナオミは眉をひそめた。

「つまり、私たちは利用されてる」

「当然」

ザイラは街並みを見たままだった。

「それが何だ?」

ナオミが彼女を見る。

「気にするべきでしょ」

「なぜ?」

「相手が誰なのか分からない」

「知る必要はない」

ザイラが振り返った。

「私たちを出してくれた」

「だから?」

「そして、もともと私が狙いたかった相手を教えてくれた」

ナオミは黙った。

ウルトラヴァイオレットは二人を見比べる。

「よし」

携帯をポケットへ戻した。

「一つ、はっきりさせておいたほうがいいかもね」

ザイラが眉を上げる。

「何を?」

「キラン」

今度は誰も冗談を言わなかった。

「そしてMach」Blizzardが付け加えた。

ウルトラヴァイオレットは頷いた。

「そしてMach」

ザイラを見る。

「あんたから」

「なぜ私?」

「誰かがキランの名前を言うたび、何か凍らせたそうな顔するから」

ザイラは彼女を見つめた。

Blizzardがザイラを見る。

「間違ってはいません」

「ありがとう、Blizzard」

ザイラは立ち上がった。

建物の縁へ歩いていく。

遥か下では――

シトロンの街が生き続けていた。

何も知らずに。

「私がキランを嫌っている理由を知りたいのか?」

ウルトラヴァイオレットは頷いた。

ザイラの表情が硬くなる。

「あいつは邪魔をした」

「それだけ?」

「違う」

両手に力が入った。

「何度も邪魔をした」

キランは最初、単なる鬱陶しい存在として彼女の人生に現れた。

それが問題になった。

そして――

もっと悪いものになった。

あらゆる計画。

あらゆる作戦。

彼女とジャリックが、ようやくすべてを掌握したと思うたび――

キランが現れた。

たいていMachと一緒に。

たいてい、成功するはずのない馬鹿げたアイデアを持って。

そしてなぜか――

成功した。

「あいつは、まるで自分には何にでも首を突っ込む権利があるみたいに振る舞ってた」

ザイラの声が冷たくなる。

「自分がヒーローだとでも思ってるみたいに」

Blizzardは隣で黙っていた。

「あいつは、私とジャリックが築いたものを壊した」

一拍。

「ジャリックを殺した」

屋上が静まり返った。

ウルトラヴァイオレットでさえ冗談を言わなかった。

ザイラは遠くを見つめていた。

弟はもういない。

その事実は変わらない。

何をしても戻ってこない。

「その後、キランは私をゲートロックへ送るのにも手を貸した」

Blizzardが静かに言った。

「そこで私たちは引き離されました」

ザイラが彼女を見る。

その部分だけは――

今でも違う痛みを伴っていた。

Blizzardはいつだってそこにいた。

それが突然――

何もなくなった。

独房。

沈黙。

日々が何週間にもなった。

何週間もの時間が、まずいピザを基準に数える人生へと変わった。

ザイラはウルトラヴァイオレットへ視線を戻した。

「だから、そうだ」

目が鋭くなる。

「私はあいつが嫌いだ」

ウルトラヴァイオレットは頷いた。

「納得」

ザイラはナオミを見る。

「次はお前」

ナオミはため息をついた。

「私のはそこまで劇的じゃない」

DJ Kre8が隣へ浮かんだ。

「自分だけの話にして」

ナオミは彼女を見る。

そして他の者たちへ。

「キランには、ものすごく鬱陶しい癖がある」

ウルトラヴァイオレットが笑う。

「なんか共通点が見えてきたね」

「首を突っ込むの」

ザイラが笑いそうになった。

「確かに共通点だな」

ナオミは続ける。

「何もかも順調に進んでる。そこへ突然キランとMachが現れる」

DJ Kre8は腕を組んだ。

「特にMach」

ナオミは頷いた。

「いつも何かスキャンしてる」

「何か分析してる」

「何かを突き止めてる」

「しかも腹立つくらい正しい」

Machは単なるキランの相棒ではなかった。

キランをこれほど厄介な相手にしている理由の一部だった。

あらゆる弱点を見抜く。

あらゆる危険を計算する。

あらゆるミスを発見する。

キラン自身は衝動的かもしれない。

だがMachは――

その衝動を遥かに効果的なものへ変えていた。

「そして最後には」ナオミは続けた。「負ける」

DJ Kre8の表情が暗くなる。

「そして全部奪われる」

ナオミは彼女を見る。

「私たちはゲートロックに送られた」

DJ Kre8は頷いた。

「そして私はあの秘庫に閉じ込められた」

ナオミの顎に力が入る。

それが一番つらかった。

独房ではない。

食事でもない。

看守ですらない。

DJ Kre8を失ったこと。

「キランとMachは、私たちの人生をバラバラにした」

DJ Kre8が彼女へ近づく。

「だから、ぜひ同じことをお返ししたいね」

ウルトラヴァイオレットが二人を見る。

「なるほど」

するとザイラが尋ねた。

「お前は?」

ウルトラヴァイオレットは自分を指差した。

「私?」

「自分の理由だけ、妙に黙ってるじゃないか」

ウルトラヴァイオレットは笑った。

「私の理由は単純」

彼女は屋上の縁へ歩いた。

「キランとMachが邪魔をした」

下を見る。

「私は負けた」

そして彼女たちへ向き直る。

「ゲートロック送りになった」

ナオミは待った。

「それだけ?」

「それで十分」

ウルトラヴァイオレットは肩をすくめた。

「悲劇的な理由なんていらない」

自分のこめかみを指で叩く。

「誰が私をあのフォースフィールドの向こうへ送るのに手を貸したか、ちゃんと覚えてる」

一拍。

「それに私は根に持つタイプだから」

ザイラが笑った。

「いいな」

Blizzardが前へ出た。

「ですが、まだ現実的な問題があります」

全員が彼女を見る。

「キランとMachは、以前あなたたち全員に勝っています」

ウルトラヴァイオレットの笑顔が消えた。

DJ Kre8がBlizzardを見る。

「士気を上げるの上手だね」

「事実を述べています」

ザイラは理解した。

「一人ずつ、だ」

Blizzardは頷いた。

「その通りです」

その一言で状況が変わった。

ウルトラヴァイオレットはナオミを見る。

次にザイラ。

三人の脱獄囚。

二体のVent。

全員が、それぞれ違う意味で危険だった。

全員が、違う方法でキランと戦ったことがある。

そして――

全員が同じ間違いをしていた。

別々に戦った。

ナオミがゆっくり立ち上がった。

「じゃあ、同じことはしない」

「ああ」ザイラが言った。

ウルトラヴァイオレットは笑った。

「しない」

DJ Kre8がナオミの隣へ降りる。

Blizzardはザイラの隣にいた。

ウルトラヴァイオレットは全員を見回した。

「自分勝手な行動は禁止」

ザイラが眉を上げる。

「ずいぶん高い目標だな」

「自分一人で片づけられると思って勝手に突っ走るのも禁止」

ナオミは頷いた。

「別行動もしない」

「その通り」

ザイラはBlizzardを見る。

Blizzardも彼女を見る。

そしてザイラは他の者たちへ向き直った。

「全員で仕掛ける」

ナオミは腕を組んだ。

「キランとMachに」

「両方だ」

DJ Kre8の表情が鋭くなる。

「いいね」

ウルトラヴァイオレットは手を差し出した。

「じゃあ、決まり」

ナオミはその手を見る。

「本気でこれやるの?」

ウルトラヴァイオレットは肩をすくめた。

「他に予定ある?」

ナオミはため息をついた。

そしてウルトラヴァイオレットの手に自分の手を重ねた。

ザイラは二人を見つめた。

ウルトラヴァイオレットが彼女を見る。

「で?」

ザイラは一歩前へ出た。

自分の手を二人の手の上に重ねる。

そこに友情はなかった。

信頼も。

忠誠心も。

あるのは――

ただの合意。

共通の恨み。

**共通の敵。**

キラン。

Mach。

ザイラが低い声で言った。

「見つけたら……」

ナオミが彼女を見る。

ザイラは続けた。

「絶対に甘く見るな」

ウルトラヴァイオレットが頷く。

「ためらわない」

DJ Kre8が笑った。

「手加減もしない」

Blizzardの瞳が光る。

「全員で」

夜風が屋上を吹き抜けた。

ウルトラヴァイオレットがザイラを見る。

ザイラがナオミを見る。

ナオミが二体のVentを見る。

この時だけは――

全員の意見が一致していた。

キランとMachは、彼女たちを一人ずつ倒した。

ならば――

二度と同じ機会は与えない。

全員で追う。

全員で戦う。

そして機会が訪れた時――

徹底的に叩き潰す。

ためらわず。

容赦なく。

誰であろうと関係なく。

遥か下では――

シトロン・シティが夜空の下で輝き続けていた。

その何百万もの光のどこかに――

キランとMachがいる。

ただ二人は――

まだそれを知らなかった。

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