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【BL】異世界でも、俺はメガネが大好きだ!<メガネ男子量産!  作者: 良音 夜代琴


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メガネ同士でも角度に気をつけりゃできる

 ***



 うわ、リオン様の唇って、思ったよりずっと柔らけーな……。


 今日はちょっと、触れるだけのつもりだったんだが……。


 俺は一度で止めきれずに、二度、三度とリオン様の唇に触れる。



 リオン様は抵抗する素振りもなく、ひたすらカチンコチンに固まっている。


 そんな様子が何だかおかしくて、でも健気で愛しくて、俺は結局八回も口付けてしまった。


 いや、ほんとはもうちょい続けたかったんだけどさ。



 リオン様どうも息止めてるっぽいから、そろそろ……な。




 顔をそっと離すと、思った通りリオン様は「ぷはっ」と息を吐き出した。




 真っ赤な顔に、まだたっぷりと潤んだ瞳がたまらなく可愛い。



 キスの最中息止めてたんじゃ、長いキスとかできねーじゃん。


 本当に……リオン様は、初めてだったんだなぁ……。


 その事実に、ジン……と俺の胸が熱くなる。





 あーーーっっ、早くリオン様の仕事落ち着かねーかなっっ!


 そしたら、ゆっくり色んなキスを教えてやりてぇぇぇぇぇぇぇっっっ!





 俺は心の叫びを呑み込むと、リオン様の頭をそうっと撫でて、それから言った。


「……じゃあ、俺の話はこんだけなんで、フラウレイドさんを呼んできますね」




 けどあれだよな、リオン様の復興関係が落ち着いたら、今度は俺の方がオープン準備でバタバタするよな……。


 いや、念願の眼鏡店が出来んのはめちゃくちゃ嬉しいんだけどさ、両想い早々に遠距離ってのは、辛いとこだよな……。




 そんな事を思いながら扉に向かいかけた俺の手を、リオン様が掴む。



「ま、待ってくれっ」


 ん?


 振り返る俺の前で、リオン様が膝を付く。




 えっ、なっなっなっ、……なんだ!?




 リオン様は俺の手を下からすくい上げると、俺を潤んだラベンダー色の瞳でひたと見つめた。


「ショウ、私と結婚してくれないだろうか」




 うええええ!?



 いや、流石に早過ぎないか!?


 つーか、付き合おうみたいな話もまだ出てねーんだが……?




 え、いや、貴族の場合は結婚を前提として婚約する……のか……?


 じゃあこれは、プロポーズというよりも、婚約のお願い……になるのか?



 俺が予想の斜め上の事態に動揺していると、リオン様がしゅんと眉を下げた。



「……す、すまない、その……。急ぎ過ぎた、だろうか……」



 ちょっ、そのしょんぼり顔は可愛過ぎるんだよっっ!!



 まー、確かに急だなとは思ったけど……、俺に言いたいことはなんでも言えって言ったのは俺だしな。


 んー……。


 どうする? 返事を待ってもらうか?


 つっても、時間かけて考えたとして、俺に断る気なんてないだろ。


 そんならここは頷けばいいんだろうが……。




 ――俺も一生に一度くらい、プロポーズってやつをしてみてーんだよな。




「返事の前に、俺も言ってもいいですか?」



 俺の言葉に、リオン様が瞬く。

 それから、真摯な瞳で頷いてくれた。


「何だろうか。何でも言ってくれ」


 俺はリオン様の手を引いて立ってもらう。


「俺、いつも優しくて頑張り屋のリオン様を、できればずっと、近くで支えたいと思ってます」


「ショウ……」


 俺の言葉に素直に瞳を揺らす愛しいリオン様の両手を取って、俺の両手でしっかり握りしめる。


「この手をずっと、離したくないです。俺以外の人に触られたくないって思うくらい、俺、リオン様を独り占めしたいです」


 リオン様が俺の言葉にみるみるその顔を赤くしてゆく。


 ああ、響いてる。


 俺の言葉は、この人にまっすぐ届いてる。


 俺は言い知れない充足感に満たされながら、メガネの向こうで涙を溜める愛しい人を見つめて言った。


「リオン様、俺と結婚してください」


「ああ……とても光栄だよ。是非とも私をショウの伴侶にしてほしい」


 そう言って瞬いたリオン様のラベンダー色の瞳から、キラリと光る雫が落ちる。



 綺麗だな……。



 リオン様の涙を視線で追う俺のメガネに、ふと、初めてリオン様にメガネをかけた時に見た、あの一粒の涙が蘇る。





 ……あんなに綺麗な涙は、今まで見た事がないと思ったんだよな……。







 もしかしたら俺は、もうあの時にはリオン様に惹かれていたのかもしれない。








 ***




 それからの2か月はあっという間だった。


 リオン様は災害復興に、俺は開店準備にひたすら駆け回る日々で、それでも何とか毎日お屋敷に戻っていたんだが……。



「明日からは店に泊まり込みになるんだね……」


 俺の横でポツリと呟いたリオン様の声からは、寂しさが隠しきれていなかった。


 俺とリオン様は今、リオン様の寝室の応接セットに並んで腰掛けていた。


 俺はまだ書類を手に在庫数の最終調整をしているが、夜は更けつつある。


「リオン様のとこに帰れなくて、すみません……」


「いいんだ。私こそショウに付き添えずすまない」


 そう言うリオン様は既に仕事を終えたのだろう。

 両手を足の間で組んでいた。


「それはしょうがないですよ、リオン様はこっちでやる事がいっぱいあるんですから」


 俺はそう答えて片手でリオン様の頭を撫でると「ほら、もう遅いので先に寝ててください」と俺はベッドを勧める。


 リオン様は小さく首を振ると「……まだ眠くない」と言って俺の横にそうっとくっついてきた。


 くっっ、俺と離れがたいのか……っ、可愛過ぎるんだが……っ!?


 それでも仕事をしている俺の腕を取ろうとしないところが、リオン様らしいな。

 そんな我慢しねーでいーのにな。


「リオン様、俺がいない間は戸締りに気をつけてくださいね、あ、一人で夜に外に出ちゃダメですよ? バルコニーでも、です」


 俺のおせっかいな小言にも、リオン様は嬉しそうに口元を綻ばせてくれる。


「ふふ、ありがとう、気をつけるよ」


 あーっ、ほんとに可愛い顔して笑うよなぁ……っ。


 俺は何とか強引に在庫調整を終わらせて、書類の束をトントンとまとめてテーブルに置くと、既に眠そうなリオン様をベッドへとエスコートする。


 二人でベッドに潜り込むと、ヘッドボードに金と銀のメガネが並んだ。


 俺はこの光景を眺めるのが好きだ。

 なんかお揃い感があって、お似合いっぽくて、すげー良いんだよな……。


「だが、もし私に何かあったとしても、いざという時はショウのメガネがきっと助けてくれるんだろう?」


「……メガネが……?」


「そういえば、ショウには話しそびれたままだったろうか……」


 あー、光雨災害の時の件か。


「そういや聞いてないままだったな」


 リオン様のラベンダー色の瞳は、天井よりもずっと向こうを見ていて、まるで光雨災害の日の景色を映しているかのようだ。


 俺は仰向けで横たわるリオン様の顔を、よく見えない裸眼でぼんやり眺めながら話を聞いた。


 なんでも、俺の作ったリオン様のメガネは、リオン様へと降ってきた光雨を止めた上で跡形もなく消し去ったらしい。


「……そんな事が……、俺の生み出したメガネには、できるのか……?」


 俺は体を捻って頭上に並ぶメガネを見つめる。


 リオン様の銀色のメガネは、いつもと同じように静かな佇まいでそこにある。


「ショウに心当たりはないのかい? ならば、意図的な作用ではないということか……」




 心当たり……?




 俺は記憶を辿る。




 そういや、前にもこんな風に二つ並んだメガネを眺めて……。




 俺は……。




 ふっと思い出したその願いに、俺は口を開く。



「心当たり……が……、あるような、無いような……」



「どういう事だい?」



「いや、俺……、前にメガネに、リオン様を守ってほしいって頼んだことがあります」


「頼んだ……」


 俺の言葉に、リオン様もどこか呆然と呟きを返す。



 そうなんだよな、俺は何か能力を使ったわけでもなく、それどころか願いを口にしたわけでもなく、ただ、心で願った。


 リオン様を守ってやってほしいって……。


「そうだったのか……、では私のメガネは、生みの親の頼みに応えてくれたんだね……」


 リオン様は体を少し起こすと、腕を伸ばしてシルバーフレームのメガネの縁を愛しげに撫でた。


「ありがとう、私を守ってくれて……」


 生みの親……。

 確かに、俺の作ったメガネはどれも俺が生み出したんだから、そうか。


「ん? じゃあリオン様のメガネが俺の長男で、グラ兄のメガネが次男ってことか?」


「ふふっ、そうなるね」


 あー……、クスクス笑うリオン様が可愛すぎてダメだ。


 俺は思わず、リオン様を引き寄せて口付ける。


 そっと触れるキスだけで、幸せでたまらないみたいな顔をするリオン様が、もうたまらなく愛しい。


 はー……。明日からこの最高に可愛い人に会えなくなるとか……、マジで辛いんだが……?



 宰相様のありがたい采配で、店舗の準備が整うより早く俺のところには人材が派遣され、俺はこの2か月でまずは従業員となる人達にしっかりみっちりメガネの知識を詰め込んだ。

 あとメガネへの愛も、たっぷり説いた。


 ちなみに従業員は全員メガネだ。

 宰相様の話によると、その全員が家柄、人柄、能力、共に文句なしの人材らしい。


 そ、そんなすごい人材を預けてもらっても良いのか……? と思わず怯みはしたものの、こん中から森の都市や海の街を担当する支店長を育て上げる事になるんだもんな。

 他種族間の問題を起こさないためにも、優秀な人材を選んでくれた宰相様と王様達の期待に応えるためにも、しっかり育てるぞーっ。と思ったが最後、2か月は一瞬だった。


 そうこうする内に建物も飛来人の能力をフル活用してサクッと建ったので、明日からは最後の約1か月を店舗に泊まり込みつつ内装やらレイアウトを整えつつ、スタッフの接客の通し練習とかもしないとな。


 店舗にずらりとフレームが並ぶ様を想像すると、それだけで口元が緩んでしまう。



「嬉しそうだね」


 隣から囁いたリオン様の声は、俺に負けないくらい嬉しそうに聞こえた。


 この人は、俺の幸せを自分の事のように喜んでくれるんだよな。


「これもリオン様のおかげですよ。……でも、リオン様と離れるのは、すごく寂しいです……」


 俺は布団の中でリオン様の手を探すと、しっかり掴む。


「ショウ……。君も……、私と同じように思ってくれるのかい……?」


 リオン様の手が、俺の手をきゅっと握り返してくる。


「あったり前じゃないですか! 好きな人と離れ離れになるのが平気な人なんていませんよ!?」


「ふふ、そうか。……そうだね」


 そう言って笑うリオン様の横顔には、寂しさが浮かんでいる。


 あー……、やっぱどうしても、寂しそうな顔させちゃうよなぁ……。


 オープンから、俺が店に出なくても店が回るようになるまでって……やっぱ一年くらいはかかるよなぁ……。


 スタッフはめちゃくちゃ優秀だから、オープンから4か月もすれば定型業務はスタッフだけでも回せるようになるだろうけど、イレギュラー対応は俺がやるしかねーしなぁ……。


 とにかく、最初の半年さえ乗り切れば、その後は俺はリオン様のお屋敷から週に数日顔を出してイレギュラー案件をこなしてくってポジションに落ち着け……落ち着け………………る、頃には、2号店とか3号店の準備にも取り掛かんねーとかぁ……。


 だよなぁ……。




 そもそも、お屋敷から王都までが馬車で片道5時間だからなぁ。夜はモンスターが出やすいとかで、日帰りが難しいんだよな……。



 もーちょい近けりゃ良かったのになぁ……。







 あーーーーー、俺にもサーティラみたいな転移魔法が使えたらなぁ……。





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