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【BL】異世界でも、俺はメガネが大好きだ!<メガネ男子量産!  作者: 良音 夜代琴


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メガネがきっと似合うはず

 海の城から戻った俺は、すぐさま木鈴でソスさんに呼び出された。


 どうやら、海の城へは電波……というか何だろうなこれは、とにかく木鈴が鳴らせなかったらしく、コルトが先行してこちらに迎えに来てくれているらしい。


 ソスさんとの会話を終えると、すぐにコルトから連絡が入った。


 コルトの案内で、馬車に乗って森の入り口まで向かう。

 コルトは空き地に来る前にリオン様のお屋敷に寄って、森に向かうという伝言を残してきてくれていた。


 コルトは天真爛漫って感じの子ではあるが、こういうとこはしっかりしてるよなぁ。


 森の民の住む町は思ったよりも大きくて、高低差もあって、人も多くて……、なんかこう、森林都市って感じだった。


 これだけ人が多ければ確かに、メガネ需要も望めそうだなぁ……。


「師匠にお店を出していただくなら、ここかなってボクは思ってるんですよねー」

 コルトはちゃっかり、2号店の建設予定地まで案内してくれた。


 なるほど、中心地にほど近いが一本奥まった閑静な区画で、コルトの話を聞く限り、森の民の上位種居住区……こっちで言うところの貴族街に隣接してるらしく、客層も良さそうだな。


 ふんふんとコルトの話を聞きながらしばらく歩くと、大きな大きな木をそのまま使ったみたいなでっかい建物が見えてきた。


 うわぁ……大迫力だな……。


 その上空に大きく広がる遠い枝葉を見ていると、なんだか絵本の中に迷い込んだというか、自分が小人になったような錯覚を覚えるな。



「よう来たトーチカ、息災じゃったか」


 俺達が通されたのは、畳敷きのような靴を脱いで上がる作りの広間だった。


 大きな座布団にちょんと座って肘置きに肘を乗せているソスさんは、王様というよりもお殿様みたいな雰囲気だ。


「はい、おかげさまで元気です。ソスさんもお変わりありませんか? この度は多大なお力添え、本当にありがとうざいました。コルト君にも本当に助けられましたよ」


「うむうむ、苦しゅうない」

 そう言って目を細めたソスさんの顔には俺の作ったリムレスメガネがかかっている。

 フレームのない繊細な作りのメガネは、レンズもきちんと磨かれていて、とても美しい。


 ソスさんが言うには、今年の災害は事前情報と俺達の誤差修正により、森全体でも木々を焼かれることがほぼなく、これまでよりずっと被害が抑えられたらしい。


 そんなわけで、王様達との国間の条件とは別に、俺とリオン様へ謝礼をという話だった。


 ちょうどさっきもそれでオンブロンド王に呼び出されてたんですよ。とさっきの事を話すと、俺が喜ぶならと森の聖域に生えている『生命の樹』に年に1つしか実らないという『生命の実』をくれた。


 なるほど、森にもあるのか、ファンタジー子宝アイテムが。


 ソスさんは大きめのスモモのようなそれを2つ持ってくるようにと侍従さんに指示していたんだけど、グラ兄がコルトにオンブロンド王は3つくれたとヒソヒソ話していると、白い大きな耳をピクピクさせて「いや、4つ持ってまいるのじゃ」と訂正していた。


 ……もしかして、海の王と森の主って、互いにライバル視してるのか……?



 つーか、7つとか多すぎねーか?


 俺今日一日でいきなり7人の子の親になれちゃうんだが?



「本当に、こんなにいただいて良いんですか?」


 尋ねた俺に、ソスさんは鷹揚に頷きながらも、2号店の出店をできる限り早急にとしっかり釘を刺されてしまった。


 もう予定地まで決めてあるんじゃ、こっちもモタモタしてらんねーよな。


 それに森の民の人口を考えると、メガネがなくて困ってる人も相当な人数いそうだからな……。


 俺はソスさんとコルトに心からの礼を伝えて、森を後にした。




 ***




「あーーーーーっ、早く着かねーかなーっっ」


 俺が馬車の外を繰り返し眺めながら、何度目になるかわからない言葉を繰り返すと、グラ兄がゲラゲラ笑い出した。


「トーチカ、はやる気持ちはわかるが、まー落ち着けって」



 俺はグラ兄の言葉に「けどさぁ……」とつい答えてから、大きく深呼吸した。


 そうなんだよな、焦ったってしょうがねーんだけどさ、早くリオン様に知らせてやりたくてさ!!



 俺は膝の上に抱えた2つの箱をギュッと抱きしめる。


 俺が、これをリオン様に使ってくださいって渡したら、リオン様はなんて言うだろうか。



 喜んでくれるだろうか、それとも……悲しい顔を、するんだろうか……。



 多分、貴族の結婚ってやつは子どもだけじゃダメなんだよな。


 ローゼシリア様がちゃんと領地の管理ができるように。

 リオン様の場合も、子どもを産んで、ちゃんと育てて、さらには領主を支えられる伴侶が必要なんだ。



 俺がそれに名乗りを上げることはできるんだろうか。


 家柄みたいなのがないと、やっぱダメなのかな……。


 俺には身分みたいなもん、何にもねーしな……。



「ブッハハハッ! おもしれーなトーチカ、百面相かよっ!?」


 俺の前でグラ兄が爆笑した。


「うるっせーなっ、俺はもういっぱいいっぱいなんだよ!!」


「そんなん見りゃ分かるって」


 くそう、面白そう笑いやがって……。



「……なあ、リオン様はこれを見せたら喜んでくれると思うか?」


「そーだなぁ……。リーフェなら喜ぶんじゃねーの?」


「そ……、そう……なのか……?」


「おうよ。だってこれまでにもけっこー前例あるぜ? 城の上層部でも同性の結婚って」





「けっこん………………。………………?」




「結婚!? いいのか!? つーかできるのか!? 同性で結婚がっ!?」



「ん? トーチカんとこでは出来なかったのか?」



 聞き返されて、俺は頭を抱えた。


 なんてことだ……。


 そもそもこの国って同性婚OKだったのかよ……。


 そりゃリオン様のお父さんとグラ兄のお父さんも未練残るって……。



「俺のとこは……俺の国はダメだったけど、確かに他の国だとセーフなとこもあったな……」


 ぼんやりと答える俺に、グラ兄が言う。


「つっても同性では子ができねーから、貴族の場合は親族や他家から養子を取るか、側室を作るってのが多いんだけどな。まー、俺んとことかリーフェんとこみたいに代々続く家だと、その血を絶やさず繋ぐってのが大事っぽいからなー……」


 そこまでで、グラ兄がめちゃくちゃ真剣な顔をして俺を見てきた。


「頼む、トーチカ。俺の一生のお願いだ」


 俺は何となく、これからグラ兄に何を言われるのかが想像できた。


「オレの立場じゃ、こんな事言えねーってのはわかってんだけどさ……、この宝具を……、1つだけでいいんだ。俺の兄貴達に譲ってくれないか?」


「いいよ。というか森の2つはグラ兄が増やしてくれたようなもんだし、2つでも」


 俺があっさり頷くと、グラ兄は「ほ……本当か!?」と破顔した。


「礼は、オレにできる事なら何でも言ってくれ!!」


「お? 何でも……? 何でもって言ったよな?」


 俺がニヤリと意地悪く笑って言うと、グラ兄が一瞬「しまった」みたいな顔をした。

 けれど、グラ兄はすぐに覚悟を決めるかのようにして、頷く。


「お、おう……言った……。っ、き、騎士に二言はないぞっ!? 何でもトーチカの好きにしろよ!」


「ヤケクソじゃねーか!」


 俺のツッコミに、グラ兄が「勢いが大事なんだよ!」と返す。



 一人っ子の俺としては兄弟は2人もいれば良いんじゃねーかと思うんだけどさ、リオン様は3兄弟で一人になってしまった人だから、兄弟は多分最低でも3人……できれば4人くらいは欲しいだろうな。


 そう思うとグラ兄のお兄さん達にそれ以上は譲れそうにないのが申し訳ないな。



 ……けどさ……。



 俺は一番の懸念を、迷いながらもグラ兄に尋ねる。

「そもそも、こーゆー人外っぽい生まれの子って、正統な後継者として認められんのか……?」


 なんか、こういうのって、普通の人間達から差別とか迫害とか受けたりしねーのかよ……。



「はぁ!? トーチカはそんな心配してたのかよ」


 えっ!? いや、するだろ!?

 ふつー……するよなぁ……?


 え、しないもんか……?



「あんな、トーチカのとこではどーだか知らねーけど、こっちでは宝具で生まれるってのは、それだけですげー箔が付くんだぜ!?」


「箔ときたか……」


 正直、カルチャーショックだが……?


「今までにも宝具から生まれた人間はいるけどさ、そういう人達って、皆、伝説として残るくらいすげー活躍をして、偉人として語り継がれたり、歌になったり銅像が残ったりしてんだって」


「……マジか……」


 じゃあ何か、俺が今抱いてる7つの宝具は、偉人の卵って事なのか……?


「そもそも、宝具を授けられるって時点で親は異種族に認められるほどの偉業を達成してるって事だしな、まあ良い親が育てりゃ立派に育つって話なんじゃねぇの?」


 ……それって、俺の育て方次第では凡人にしかならねーって事か?


 いやでも、もしリオン様がこれを受け取ってくれたら……。

 リオン様の子なら絶対優秀だよな。


 そんで、絶対顔がいいだろ!?


 っあーーーーーーーっ!!


 リオン様似の美少年とか美少女が生まれてくんのかと思ったら、もう現時点で愛しいなこの宝具達っ!!!


 膝の上の箱達を、思わずギュッと抱きしめて頬擦りすると、グラ兄がまたふき出した。


「ブッハハハッ! だーから顔芸やめろって! オレの腹筋試してんのかよ!?」


「グラ兄の腹筋なんか、試すまでもなくバッキバキじゃねーか、洗濯板かよ!」


「……じゃあ、洗ってみるか? ……俺の腹で」


 グラ兄が、服の裾をヒョイと捲って見事に割れた腹筋を見せてくる。


「腹を出すんじゃない! よく分からん事を誘うんじゃねーよっ!」


 俺は、グラ兄のおかげでずいぶんと軽くなった胸で、いつものようにくだらない話をしつつリオン様の待つお屋敷に戻った。





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