第29話 多々良浜さんのたわわ
「お~い橘~。寝てるのか?」
コンッコンッ! と、子気味良いノック音が部屋の中に響く。
これはマズい。
クラス宿泊合宿で男子部屋に女子が入ると、下手したら退学になるといいう重い処分がある事を思いだした俺は青くなった。
出入口は、目の前にある、今エッちゃん先生がノックしているドアのみ。
部屋にバルコニーはなく、山中にあるという事で虫の侵入を防ぐために、窓は開閉不可だ。
脱出は不可能。
となると、多々良浜さんの事を隠すしかない!
そして、エッちゃん先生は合鍵を持っている。
迷っている時間はない。
「多々良浜さん、こっち!」
「え?」
俺は多々良浜さんの腕を掴むと、ベッドへ引きずり込む。
「ふぇ……⁉」
「は~い! エッちゃん先生、入ってきていいですよ~!」
ドア向こうにいるエッちゃん先生に向かって、入室OKな旨を声を張り上げて伝えながら、俺は多々良浜さんが隠れるように、掛け布団をかけて多々良浜さんの身体を抱き込む。
「──っ⁉」
「離れてるとベッドに膨らみが2つ出来て怪しまれるから、できるだけ身体くっつけて」
そう、ベッドの中の多々良浜さんにコソッと伝えると同時に、部屋のドアがオートロック解錠の電子音と共に開く。
「おお、橘。って、ベッドで寝てたのか?」
「え、ええ……。ちょっと疲れたんで」
布団の中から起き上がりもせずに、俺は顔だけ覗かせてエッちゃん先生に応答する。
前世的には、ベッドで寝ころんだまま教師に答えるなんて、お泊り学習で部屋に見回りに来た教師に向ける態度ではないが、この男女比1:99のハニ学の世界ならばセーフなのだ。
まぁ、あとエッちゃん先生と俺の仲だし。
「大丈夫か⁉ 栄養ドリンクとか持ってこようか⁉」
「ああ……。大丈夫、大丈夫……」
「だが、少し呼吸が乱れてるぞ」
ここは問題ない旨を伝えなきゃいけないのだが、俺の声は少し上ずっていたし、呼吸も荒かった。
その理由だが……。
──ぬぉぉぉぉおおっ! 多々良浜さんのたわわの感触がモロに……!
エッちゃん先生にベッドの膨らみを不審がられないよう、布団の中でできるだけ多々良浜さんには俺にくっついて貰ってるんだが、これは悪手だったか……。
ジャージ越しでもなお存在感を放っていた多々良浜さんの豊満なたわわの感触が、モロに伝わってくる!
そして、密着することで否応なく鼻に香ってくる、女の子特有の良い匂い。
これ、今の危機的状況じゃなかったら、完全に辛抱たまらなくなって多々良浜さんの事、襲っちゃってるぞ。
「だ……大丈夫だから。お仕事お疲れ様、エッちゃん先生」
「本当に大丈夫か?」
「う、うん……ただの男の子の日だから……」
男の子の日? 何だ男の子の日って⁉
苦し紛れに出て来たワードだが、心の中でつい自分で自分にツッコミを入れてしまう。
「そ……そっか……男の子の日なら仕方ないな」
俺の苦し紛れの言葉に、エッちゃん先生が顔を真っ赤にして視線を逸らす。
え?
この世界にはちゃんとあるんだ、男の子の日。
「じゃ、じゃあ、私はこの後、教職員同士の打合せがあるから。も、もし、何かあったら学級委員長の多々良浜に伝えておいてくれ。そ、それじゃあ……。あ、明日の夜は楽しみにしてるから!」
童貞丸出しならぬ、処女丸出しでキョドりまくりながらエッちゃん先生は、めっちゃ早口で口上を述べると、慌ただしく部屋を後にしていった。
ふーっ……。
取り敢えず、ベッドの中の多々良浜さんがバレなくて良かった。
「多々良浜さん。もうエッちゃん先生は部屋に居ないから、出てきていいよ。って、あれ? 多々良浜さん?」
返事がない布団の中を捲る。
「ぐはっ……橘君の胸の鼓動が聞こえて来て……。これは流石に、致死量です……」
多々良浜さんが譫言を言いながら、虫の息だった。
良かった……。
俺が、多々良浜さんの胸の柔らかさを堪能していた事はバレなかった様子。
──さて、伸びてしまった多々良浜さんを部屋に送り届けないと。
という訳で、俺は結局は自身も屍になった多々良浜さんを担ぎ、再び女子部屋へ向かうのであった。
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