第25話 欲望丸出しのシチュエーション
お泊りクラス合宿1日目は移動がメイン。
到着したら、まずは各部屋に荷物を置き、制服から体操服姿に着替える。
だが、そこは男女比が1:99の世界である。
当然ながら、前世みたいに5、6人の共同部屋でワイワイとは行かない。
男子には当然のように1人1部屋の個室があてがわれている。
──やだ、これ寂しい……。
寮暮らしとかで四六時中、共同部屋ってのはキツイだろうけど、こういうクラス合宿で二泊三日程度なら、むしろ皆でワイワイやれる方が楽しいのに……。
まぁ高校生の歳で、男女で同じ部屋なんてのは前世的な感覚でも無理だから、これは仕方ない。
でも、それだったら男子の複数人部屋にすればいいのにとも思って、道中のバス内でエッちゃん先生に何故なのか訊ねてみた。
理由としては、まず男子というのは繊細な生き物なので、如何に同性と言えども共同生活にストレスを感じてしまうかららしい。
あと、逆に男子同士が仲が良いと、クラス合宿中にずっと男子部屋に閉じ込もっていたりするケースもあったとか。
どう転んでも、学校的にはマイナスなので、このような措置になったらしい。
ちなみに、男子の一人部屋も連なっている訳ではなく、クラス単位でホテルの別フロアだ。
それにしても……。
「大自然の中なのに、いやに立派なホテルだよな」
このクラス宿泊合宿は、大自然の中でのアウトドア活動が主のイベントだ。
なのに、宿泊場所となる宿はホテルタイプで、かなり綺麗で新しい。
俺が前世で行ってたクラス合宿の部屋なんて、2段ベッドでぎゅうぎゅうで、カメムシが出まくりだったのに。
部屋が、スイートルーム並みに広いのは、この男が大切にされる世界なら最早、いちいち驚かない。
「説明しよう、橘。ここはハニ学がスポンサー様からの寄付で建造した専用合宿施設なのだ」
「わっ! エッちゃん先生⁉」
いつの間にか、部屋の中に侵入していたエッちゃん先生から話しかけられて驚く俺。
あれ? キレイなホテルだから、当然のようにオートロックだと思ったのだが。
「担任だからな。見回り用に、クラス全部の部屋のスペアキーを預かっているんだ」
あ、そういう事か。
そういや前世の宿泊合宿でも、消灯時間が過ぎても部屋でワイワイふざけあってたら、担任にいきなりドア開けられて説教されたっけ。
「なるほど。エッちゃん先生がね~。じゃあ、俺の部屋に忍び込み放題じゃん」
「ちょ……橘……。これは、あくまで、担任教諭として業務のために持たされている訳で……」
「え~。本当かな~? 俺の湯上りバスローブ姿とか見て我慢できるかな~?」
「そ、それは……だ、ダメだダメだ! それは幾らなんでも」
担当教諭の職責と欲望の狭間で揺れるエッちゃん先生。
本当、エッちゃん先生を揶揄うのは楽しい。
「じゃあさ。俺がエッちゃん先生の部屋に行くのはいいんだよね?」
「え……」
「クラス合宿の最終日の夜にはちゃんと期待して、赤ちゃんになって待っててね。こっそり扉をノックするから」
ホテルのこの階のフロアは2組で固まっていて、俺の1人部屋はフロアの一番端。
で、隣は担任のエッちゃん先生の部屋となっている。
要は、クラスの女子が俺の部屋に近づかないようにするための警備役という訳だ。
これなら、こっそり部屋を行き来することは容易なはず。
エッちゃん先生には、何回もお預けを喰らわせちゃってるし、こういう宿泊合宿は普段と違って疲れて大変だろうからな。
ちょっとくらい、担任の先生にも御褒美があっても良いと思うのだ。
「ば……ばぶぅ……」
「ほらほら。これから室内レクリエーションでしょ? 今は赤ちゃんから戻って、ちゃんと先生してね」
早速、赤ちゃん化しかけた担任のエッちゃん先生を、俺は慌てて引き戻し、背中を押しながらレクリエーション会場へ向かった。
◇◇◇◆◇◇◇
「それでは、夕食のバーベキューの準備をするまでは、この体育館でレクリエーションだ。各クラス、倉庫に入っている道具を使って楽しんでくれ」
先生の号令によりザワザワと人が集まる。
このホテルは合宿所よろしく体育館がいくつもある。
これなら、天候が悪い日でも問題ないな。
しかし、こんな立派な体育館をいくつも造るとは、ハニ学ってお金持ってるんっすね。
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この体育館は半分を1組と2組で使用している。
片面の1組の方を見やると、人垣の中に晴飛の姿がチラっと見えるが、話しかけられる様子じゃないな。
「さて、橘君。こちらがレクリエーションでのタイムスケジュールです」
「あ、うん。ありがと」
ちょっと鼻息が荒い多々良浜さんからプリントを受け取ると、そこには事前に作り込まれた、このレクリエーションで行う事がびっしり書かれていた。
なにしろ、2組の皆はこの日のために頑張って来たのだ。
晴飛や、かぐや姫のことも気になる所だが、ここはクラスの子たちを優先だ。
何しろ、前回の3組とのクラス入替え戦で、『何でもするよ』って言っちゃったしな。
「ふへへ……今日は体操服姿の橘君を嘗めまわすように眺めれれる……」
「写真撮りたい……」
「スマホ撮影はNGで、帯同してるスチールカメラマンさんだけが撮影できるんだって」
「うぐ……。折角、夜のオカズにしようと思ってたのに……」
「でも、プロカメラマンさんが撮ってくれた写真の方が画質いいし、結果的には捗るでしょ」
「何せ、合法で男の子の写真をリーズナブルな価格で買えるしね」
「橘君の映った写真は全部買う所存」
早速、興奮が抑えられない様子の2組の女子達。
まぁ、ダイエット中に久しぶりにチートデイで好きな物が食べられる時は、めちゃくちゃ楽しみで、早朝4時とかに起きちゃうからな。
気持ちは分かる。
「じゃあ、まずは一つ目のシチュエーション。一緒に卓球デートをしたい! 希望者、前へ!」
「はい!」
すかさず俺に卓球のラケットが渡され、既に準備されていた卓球台へ移動する。
「上手じょうず。ラリー続いてるよ橘君」
「え~、ほんと……って、うわっ! スマッシュ強いよ! あんなの取れないって。次は優しくして?」
「ぐはっ! 卓球部私。夢シチュの実現に、一片の悔いなし……」
ただ卓球をしていただけなのに、女の子が倒れた。
俺なんかしちゃいました!?
「はい、終了! 次は一緒にバレーのトス練習!」
「そうそう。ボールは包み込むように優しく」
「ありがと。女の子の大事な所を包むようにだね」
「ふぁ⁉ 私のバレーが橘君の手に!」
体育館では、主に室内競技の部活をやっている子が、自分の競技で憧れるシチュエーションを実現させていた。
事前に、自分の欲望丸出しのシチュエーションを提出したのも凄いが、それを正確に汲み取り、実施するためのタイムテーブルを作るなんて。
やっぱり優秀だなと、俺は司会進行をしている多々良浜さんを見つつ、その後も様々な性癖と相対することになるのであった。
欲望渦巻くお泊り合宿の今後は如何に?
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