第34話 君のせいで今大変なんだから……
※本日は2話更新です(本話は1話目)
「え、このショップ?」
「うん。そうだけど、何か?」
朝食を摂ったカフェを後にして、真っすぐに晴飛が向かったショップは、所謂、地雷系ファッションの女の子御用達のお店だというのが店頭のラインナップから丸わかりだった。
「そんな、あからさまにカモちゃんに対抗しなくても……」
「ボクだって小柄な体型だから似合うし! お姉さん。これとこれ試着させてください」
「ひゃ! 男……の子が⁉ なんで、このショップに⁉」
本来は、高級百貨店の外商か高級ブランドショップにしか出入りしない男が突然入店してきて、おまけに試着すると言い出し、ドギマギするショップの店員さんをよそに晴飛はショップの奥へと進んでいく。
どうやら、これからファッションショーのようである。
こういう時、男は所在なさげに試着室の付近でつっ立っている事しかできない。
そこは前世と変わらないんだよな。
そうこうしている間に、試着室のカーテンが開く。
「おお……これは……」
さっさと服を選んで試着室に籠ったので、晴飛がどんな服を選んだのか見ていなかったが。
「どう? カワイイ?」
「正直、似合い過ぎる……。まるでどこぞのお嬢様だな」
晴飛が選んだのは白のブラウスにネイビーのリボンと、リボンの色に合わせたロングスカート。
地雷系ファッションは小悪魔系なイメージだが、実は地雷系ファッションはフリルやレースやリボンなどの甘いパーツが多い。
そこにダークな生地の色合いや金属チェーンなどのアイテムで飾る事で小悪魔感が出るわけだが。
上下の組み合わせによっては、ダークな感じは鳴りを潜めた甘い系コーデも出来るのだ。
「じゃあ、これ頂きます。ついでにこの服に合うカットブーツも。このまま着て行きます」
「は、はい。早速、装備していかれるのですね。今、着ている装備は買い取りますか?」
「いや、これ知己くんから借り物の服なので持ち帰ります。ショップの紙袋ください」
テンパりっぱなしのショップ店員さんが、RPGの道具屋みたいな事を口走るが、晴飛は冷静に対応している。
「カワイイ男の子が可愛い甘め女子に早変わりした……」
「脳内の私の性癖スイッチがガコンッて言った」
「君のせいで……私は……ハアッ。私は普通だったのに……君のせいで今大変なんだから……ハァハァ……」
ショップ店員さんや、たまたま居合わせたお客さんのお姉さん達の性癖が次々に破壊されていく。
──男だろうが女だろうが、結局は主人公パワーで世界に影響を与えていくんだな……。
そんな事を思いながら、今日この場に居合わせた事で性癖がネジ曲がってしまった女の子たちに心の中で合掌するのであった。




