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【書籍化】貞操逆転学園で男友達が近すぎる  作者: マイヨ@貞操逆転男友達2【8/31発売】
第3章 お前……女の子だったの⁉

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第18話 それが都会モンのやり方かぁ!

「お~オツカレ~」


「なんでカレー食べてるの? 知己くん」

「ちゃんと昼食をとるレストランを予約してたのに……」


 お化け屋敷を出た所にあるフードコートから晴飛と多々良浜さんに声をかけたら、秒で呆れられる俺。


「いや、お化け屋敷の出口にフードコートがあって、ついな」


 そろそろ昼食な頃合いの時間に、カレーの匂いはもはや暴力なんだよな。

 これくらいの量のカレーならオヤツだから、ランチには差し障りないだろう。


「久留和さんは大丈夫ですか?」

「お化け屋敷出るまでは何とか意識あったんだけどね~」


 そう言いながら、俺の膝の上で目を回している多々良浜さんの頭をなでる。

 軽い熱中症っぽくてしんどそうにしていたので、濡らしたハンドタオルを顔にかけてあげている。


「ん? どうした、2人とも?」


 何やら物欲しそうな顔で、晴飛と多々良浜さんが膝枕されている久留和さんを見下ろしている。


 なお久留和さんだが、おでこと目を覆うように濡れタオルをかけてあげて視界がゼロなので、膝枕をしてあげていても白目を剥いたりはしないのだ。


「あ……ちょっと私も眩暈(めまい)が……」


 フラフラっと足元がおぼつかない多々良浜さんは、ヨレヨレっと俺のベンチの隣に座り、俺の肩にしなだれかかってくる。


「あ、あれ? 多々良浜さんもお化け屋敷は苦手な感じだった?」

「はい」


 なんだかいつもと違って甘えるようにしなだれかかってくる多々良浜さんにドキッとする。


 あと……。


 ──おおふ……。さっきまでのたわわとは違う感触が……。


 お化け屋敷では久留和さんのたわわを堪能しまくった俺だから分かる。

 多々良浜さんのたわわも同じ大きくても、やっぱり居心地が違う。


 どちらが優れているとかではなく、全てのたわわはやはり良いものだという男としての真理に到達する。


「あ、多々良浜さんズルい! ボクも怖かったんだからね!」


 そう言って、晴飛がフードコートのベンチに座る俺の後ろから首に腕をねっとりっと絡めてくる。

 俺の左側は久留和さんが膝枕されて寝ていて、右腕は多々良浜さんが抱えこんでいるので空いているのが後ろだけだからだろう。


 それにしても、お化け屋敷が怖かった事を元気に報告してくるな~。


「良かったね~知己くん」

「な、何が?」


 後ろから晴飛から(ささや)かれ、甘い吐息が耳をくすぐる。


「どうせお化け屋敷で久留和さんに抱き着かれて鼻の下伸ばしてたんでしょ? で、今は多々良浜さんが胸を押し付けてる右腕に全神経を集中させてる」

「いや……そこは男だから仕方ないだろ!」


 相変わらず、俺の心の中をバシバシ読んでくる晴飛だが、それなら男とはこういうもんだと触れないでおくのが武士の情けってもんじゃない?


「気をつけなきゃダメだよ知己くん。女の人は平気でウソつくからね。例えば、お化け屋敷の中では全然平気だったのに、男の前ではカワイイコぶりっこしたり」

「あ~、居ますよね。自分がカワイイ事を自覚しちゃってる人ほど始末に負えないですね」


「「ねぇ~♪」」


 おお!


 なんか、晴飛と多々良浜さんがいい感じになってる。

 お化け屋敷での肝試しを通して、仲が縮まったのかな?


 単に俺が久留和さんと回りたかったがための組み合わせだったけど、思わぬ副産物が生まれたようだ。


 やはり人間関係は化学反応だ。

 こりゃ、成果として母さんに送る報告書のいいネタになるぞ。


(ブルッ)


 何故か膝枕されている久留和さんが身震いをした。

 どうやら熱中症の症状は治まったようだ。




 ◇◇◇◆◇◇◇



「久留和っち、もう歩いて大丈夫?」

「あ、ああ。昼食も問題なく摂れたし大丈夫だ。お化け屋敷から出た直後はしんどかったが、途中で何事か凄まじい冷気を感じて、体温が急激に下がったんだ」


 多々良浜さんが事前に予約してくれた園内のレストランでランチをした後に、また一団で繰り出している。


 久留和さんも回復したようで何よりだ。


「さて、昼食後ですからね。午後はさすがに絶叫系アトラクションは止めて穏やかなのに」


「お兄ぃちゃああぁぁぁあああん!」


 午後のコースを多々良浜さんが説明し始めたのを、お構いなしに幼い声が遮り乱入したと思ったら。


「わぶっ!? 四葉ちゃん!」


 小さな塊がミサイルみたいに真っすぐに突っ込んできたので受け止めてみたら、昨日ぶりの四葉ちゃんだった。


「お兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃん♪」

「四葉ちゃんも遊園地に来てたのか~。お姉ちゃんと一緒なのかい?」


「うへへ……。お兄ちゃん、お兄ちゃん。ウヘヘヘッ」

「アハハッ。そんな、胸の中で顔ぐりぐりしてたら、くすぐったいぞ」


 まだ会うのは2回目なのに、すっかり懐かれちまったな。


「なんだ、あのエロガキは」

「あれは、完全に自分の立ち位置を分かった上でやってるパターンだ」

「いたよな、ああいうガキの立場を利用して男にむしゃぶりついてた奴。はい、子供の頃の私です」

「でも、大概は男の人に蹴り転がされるよね」


 四葉ちゃんの所業に、俄かに殺気立つ御一行。


 ああ、前世でも子供なのにませてるガキンチョが、キレイなお姉さんや巨乳のお姉さんに抱きついたりして嫉妬を買ってたりしてたけど、その図式と一緒か。


 はぇぇぇ……。貞操逆転の世界では、俺は巨乳な美人お姉さんとほぼイコールなんだなぁ。


「こら、四葉! 一人で走ってると迷子に……って、橘くん!?」

「お、カモちゃん昨日ぶり」


 追いかけて来たのは、保護者代りに同行してきているカモちゃんだった。


「あ……ひょっとして2組の方たちとの集まり……ですか?」


 たじろぐカモちゃん。

 というのも……。


「そういう貴女は、5組の学級委員の鴨居さんですか」

「ゴールデンウィークにまでクラス入れ替え戦の偵察とは、随分と仕事熱心だねー」

「妹まで連れて親子連れに変装して尾行してくるとはな」


 周りを殺気立った2組女子の面々に完全に囲まれてしまっているからだ。


「あ、いや、その今日は、本当にたまたま妹と一緒に来ただけで……。っしゅ、すみませ」


 ゴールデンウィークの遊園地という平和な場所で、突如として絶望の四面楚歌状態に陥ってしまったカモちゃんは、さながらハンター協会の宴会にノコノコ無防備で現れたカモだ。


 だが、そんな状況に対し。


「お姉ちゃんを虐めるな~!」


 一触即発の空気の中で、謝り倒して退散しようとするカモちゃんをよそに、四葉ちゃんが真っ向から立ち向かう。


「大勢で囲って恥ずかしないんかぁ!? それが都会モンのやり方かぁ!」


 おお……。周りを高校生のお姉さんに囲まれてるのに、素晴らしい啖呵の切り方だ。

 これは、将来は大物になりそう。


 だが、四葉ちゃん。

 お姉ちゃんのカモちゃんを後ろに庇って啖呵を切りつつも、チラチラと俺と目が合うんだよね。


「く……あのガキ……。これじゃあ、うちらが幼児相手にムキになってる悪者じゃねぇか」

「スケベだったり、あえて矢面に立って弱者の盾になるは、ガキの使いどころを分かってやがる……」

「ここぞとばかりに橘君へ健気なお姉ちゃん想いな妹キャラをアピールまで……。これじゃあ、私らがあの子の引き立て役だ」

「恐ろしい子……」


 こうして遊園地団体デート午後の部は開始早々、波乱の展開となった。

四葉ちゃんカッケェ。


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