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追憶
「乗れ」
無意識だった。
気づけば俺は、女の子を誘拐していた。
始めて人に拳銃を突き付ける感覚。まあ、モデルガンではあるが。
それでも、立派な犯罪には変わりない。
それに、俺はこの前にもすでに罪を犯していた。
人を本気で殴ったのだ。
硬い骨の感触、そしてその時の光景が、脳裏とこの拳にまだ残っている。
でも後悔はなかった。
あいつは俺の親父や、子供をバカにしやがった。なんなら殺してもよかったくらいだ。
だから、そいつを連れて親父のもとに逝くのも悪くないかなとも思った。
だけど、親父の笑顔が頭の中で浮かんだ。
その時いつも口にしていた言葉も。
行ってみるか。
俺はそう決めると、オンボロな車を走らせた。




