【閑話】 side セシリア2
──嘘……あんな、破廉恥……
リニアスタの部屋で見た光景。
セシリアは、衝撃を受けるのと同じくらい、興奮していた。
──ベッドで。裸で。じゃあ、もしかして。シドさんが昨日、宴からいなくなって一晩中、二人で……
教会で禁欲的に生活を送ってきたシスター・セシリアにとっては、それは初めての光景だったのだ。
もちろん、知識としてはある。
妊婦への治癒魔法を行ったこともあるし、洗礼巡礼でまわる家庭は若い夫婦の場合だって多い。
とはいえ、シスターたるセシリアが近くにいれば、これまでの人々はみな、そういった行為については、遠慮をしたものだった。
そんなシスター・セシリアが初めて、生で実感した、命の営み。
それもほぼ同世代で、親しいと、セシリアの方からは思っている男女二人。
興奮するな、と言うのが無理だった。
──それにしてもシドさんが、よりにもよってリニアスタさんと、つがうなんて……。あの、不可触のリニアスタさんと。
セシリアのなかで渦巻くのは、言い知れぬ興奮だった。
──リニアスタさんの近くにいると、シドさんは絶対に、怪我が絶えないはず。なんたって、あのリニアスタさんなんだから。そして、いま、二人の最も近くにいる、一定水準以上の技量のある治癒魔法使いは、私だけ。
そこまで考えたところで、ぞくぞくとした興奮がセシリアの背中を走りぬけ、身体中を満たしていく。
──シドのあの特別な体。忘れられない、あの感覚。このまま、二人と親しくし続ければ、いくらでもあれを、私は味わえる。
無意識のうちにセシリアの顔は緩みきっていて、半開きの口から長めの舌がのびると、自らの唇をねぶるように舐めていた。
──二人と、もっともっと、仲良くしておかなくちゃ。他の治癒魔法使いが割り込んでこないように。それには……
セシリアはこれまでシドと交わした会話を思い返し、対策を練り始める。
──幸いなことに、リニアスタさんは治癒魔法が使えない。だから、大事な大事なシドさんが怪我をしたら、リニアスタさんは私のことを頼るしかないもの。だから、シドさん、いやシドと仲良くなるだけで、大丈夫。
思わず一人、部屋で笑い声を漏らすセシリア。
セシリアは待ち受ける薔薇色の未来を妄想し、喜びに身をうち震わせるのだった。




