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 顔に落ちた日の光に、俺は目を覚ます。


 暖かい。


 俺の素肌に直接伝わってくるリニの体温は、昨晩の燃えるような温度から、温かい人肌程度まで下がり、すっかり落ち着いていた。


 俺は体を起こそうとして、やめる。

 下手に動くと、リニを起こしてしまいそうだったのだ。


 それより間近で寝息をたてるリニの顔を眺めることを選択する。


 昨晩の獣のような表情から一転して、それはとても静謐は彫刻のような美しさだった。


 ──昨日のリニも可愛かったけど、やっぱり俺は今のリニの方がいいな。見ていて落ち着くというか……


 そんな朝の穏やかな時間は、しかし、長くは続かなかった。


 ノックの音。


「リニアスタさん、よろしいですか?」


 シスターの声だ。


 ──全然、全くよろしくないよっ。


 俺は慌てて制止の声を出そうとして、しかし思い直す。そもそもが、俺がリニの部屋にいるのが不自然なのだ。俺が声を出して制止したら、意味がない。


 慌ててリニを起こそうとして手を伸ばし、その温かな肩をゆする。


「リニアスタさん?」


 再度のシスターの問いかけ。

 いくらゆすってもリニは全く起きる気配がない。それどころか、肩へと置いた俺の手を抱き込むように、リニの腕が絡み付いてくる。


 そのまま引きずり込まれるようにリニの方へと引っ張られてしまう。

 流石の膂力だ。


 俺の腕全体を包むような柔らかで温かく、幸せな感触。


「リニアスタさん? 開けますね。実は、昨晩からシドさんの姿が見えなくて。もしかして失踪事件がまだ継続してしまっているのではと──」


 がちゃりとドアが開く。

 シスターが部屋に入ってくる。


 目が合う。


「うるさい」


 そこでようやく、リニが目を覚ますと、シスターに言い捨てる。


「あ、その、これは……」


 俺は腕に絡み付くリニと、こちらを凝視するシスターを交互に見る。


「──失礼しました」


 驚きと、何かよくわからない表情を浮かべて、ばっと後ろを向くと駆けるように部屋から出ていくシスター。

 それは、これまでに見たことのない、焦りっぷりだった。


「静かになった。また、寝る」


 それを見届けて、そう宣言するリニ。


「はい」


 俺は大人しくリニの望みを叶えるのだった。

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