燃えるように
俺は真剣に裏ボスさんを見つめる。
ゆっくりと寝返りをうって、こちらを向き直る裏ボスさん。
顔がようやく見える。
真っ赤なのは、耳だけではなかった。
元々が白銀の髪に肌も色白なので、ほほから目元にかけて、真っ赤に染まっているのがいっそう際立つ。
そして熱で少し潤んだ瞳が、伏し目がちにこちらを伺っている。
いつものちょっと不思議ちゃんだが、物怖じしない裏ボスさんとは思えないような、どこか弱々しくすら見える表情。
それはとても女の子らしくて。
裏ボスさんはいま、こんな辛そうなのに、俺はそんな裏ボスさんが可愛いと、思ってしまった。
裏ボスさんの口が僅かに開く。
ちらりと覗く口内。
しかし、その口は何の言葉も発することなく再び閉じられてしまう。
俺は、何も言わずにそんな裏ボスさんが話し出すのをじっと、待つ。
いや、それは正確ではなかった。
正直に言えば、伏し目がちに話そうかどうしようか迷っている裏ボスさんに、俺はただただ、見とれていたのだ。
いくら見ていても、見飽きることはないのだ。
僅かに揺れる睫毛。
言葉を紡ごうか迷うように上下する、湿った唇。
その僅かな動きに、目が離せない。
そんな幸せともいっても過言ではない時間が過ぎていく。
そしてついにこの時間が終わる。
布団の中から、裏ボスさんの手が伸ばされる。
まっすぐに俺に向けられたその手。
そして熱く熱く湿った瞳を俺に向け、裏ボスさんの躊躇いがちだった唇が、小さく、恥ずかしそうに告げる。
「きて」
俺は一瞬、意味がわからなくて、きょとんとしてしまう。
裏ボスさんは、そんな俺をみて、優しく笑うと、伸ばした腕が俺の頬へと触れる。
その手のひらも、燃えるように熱い。
俺の頬に触れたその手がゆっくりと裏ボスさんの方へとひかれていく。
穏やかに。しかし、その動きに逆らうなんて思うことは、俺には全く出来ない。
リニの獣のように貪欲に輝く瞳に、俺は引き込まれていった。




