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接敵

「リニっ!」


 俺は裏ボスさんの名を叫びながら、森から飛び出す。


 裏ボスさんのいたのは、森の中でも開けた広場のような所、というのは俺のパラメータ閲覧で事前に見えていた。

 そして、裏ボスさんが一応、無事だと言うことも。


「シド、きたの」


 俺が目の当たりにした裏ボスさんの体は、かなりの部分が鉱石化していた。

 この前見たときより、ひどい。


 腰から下は完全に鉱石と化していて、あれではろくに動けないだろう。


 そして上半身も体の半分は鉱石化してしまっている。


 無事なのは顔と右腕ぐらいだった。

 そんな裏ボスさんの正面、目の前には、林檎を手にした片腕のスケルトンのようなものがいた。


 俺のパラメータ閲覧はそいつに全く反応しない。アンデッドが、たとえモンスターであってもパラメータ閲覧が出来ないのは盲点だった。


「シド、お願い。できる?」


 裏ボスさんが珍しくそんな助けを求めるようなことを口にする。俺の中の冷静な部分が驚愕する。

 しかし同時に、それだけで、どれだけ裏ボスさんが苦戦しているか伝わってくる。


 鉱石化した裏ボスさんの左手は、そのスケルトンのようなモンスターの喉を掴み、締め上げている状態だ。

 そしてそのスケルトンは、よく見ると単なる人体の骨格、というには少し違和感があった。


 ──そうか、複数人の骨、それに一部は動物の骨もある。


 どうやら、そのスケルトンの骨は滝壺で釣りをしたあとに消えた村人、複数人のもの。そして森の動物の骨も混じって出来ているようだ。


 喉を締め上げられているスケルトンだが、足をばたつかせ、裏ボスさんの足や腰を蹴りつける。

 蹴りつけられる部分が、どうも鉱石化しているようだ。


 ただ、俺のパラメータ閲覧で見ると、体をスケルトンの攻撃から守るために裏ボスさんがあえて自分でその部分を鉱石化しているように見えた。


 とはいえ、裏ボスさんが蹴られているのを見るのは、それだけで気分が良くない。


 俺はイオタを構えると一気に加速する。


 狙いはスケルトンの持つ林檎。たぶん、魔素暴走の起点──歪みと裏ボスさんが呼ぶものだろう。


 裏ボスさんでさえ生身で触れないように気をつけているスケルトンの体だ。俺も絶対に触れないように、しかし、勢いを殺すことなく跳躍する。


 ──高い。だけどっ!


 スケルトンの腕は異常なほどに長い。俺の跳躍では歪みに届くか、微妙だ。

 しかし、俺は躊躇うことなく、イオタを投擲する。


 これも十分にイオタと訓練した動きだった。

 俺の思ったとおり、一直線の軌跡を描くイオタが、歪みたる林檎の形をした何かへとすっと吸い込まれていった。

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