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ゲーム風

 俺の思考はぐるぐると同じところをまわり続けていた。


 言いたいことだけ言って、あのあと、またふらっと消えてしまった裏ボスさんの残した言葉。


 何を言っているんだこいつはという、常識を疑う視線を向けてくるシスター・セシリアと村長。


 俺は沈黙のまま、ただただその後の洗礼にも同行し続けた。


 幸いなのか、最初の家庭以降、今回の対象のなかで洗礼を受けれなかった子供はいなかった。


 俺はただただ黙って、その様子を見守り続けた。


 緊張に強ばる両親の顔。

 ぬるま湯に漬かり泣きながら洗礼をうける赤子たち。

 終わって安堵に緩む家族の雰囲気。

 濡れた手を拭うシスター。


 何度も繰り返される、その一連の流れ。

 当たり前のように繰り返されるそれは、確かにこの世界に生きる人々にとっては何らおかしさを感じない慣習なのだろう。


 そして、シスター・セシリアが告げた、洗礼を授けられることで、厄災へと変化することを防げるという趣旨の発言。


 俺のパラメータ閲覧は確かにその言葉を裏付けていた。


 ただ、どうしても一点だけ、疑問が残る。

 洗礼式を見続けている間にぐるぐると回っていた俺の思考は、その疑問へと収斂していた。


 この転生してきた世界は、本当に俺がプレイしたゲーム風の異世界なのか、という疑問。


 ゲームではこんな設定は全く目につかなかったのだ。


 俺は何が正解で、何が間違っているのか、もうすっかりわからなくなっていた。


 ◇◆


 そのあとも、いくつかの村々をまわり、洗礼を施していくシスターに同行しつつげた。

 裏ボスさんは必ず洗礼を施す段になると、どこかへと消えてしまった。


 その気持ちが、俺にはなんとなくわかった。

 洗礼を歪みの一つと言っていた彼女は、たぶん俺と似た感覚を持っているのだろう。


 だから、彼女は見たくないのだろう。


 ──それなのに、どうして裏ボスさんは洗礼巡礼に着いてきてくれたんだろう? もしかして、事実を知った俺が動揺すると思って……?


 まさか、俺みたいなモブ生徒Aを、裏ボスさんがそんな風に心配してくれているなんて、到底、信じがたい。


 しかし、裏ボスさんの行動を見ているとそうとしか思えない部分が多々あるのだ。

 そんな裏ボスさんの優しさを感じながら、俺たちはついにシスターの生まれたという村へと近づいていた。






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