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洗礼式

 無事に次の村へと着いた俺たち。


 今回はテトラホーンに乗る前にカノン特製の薬臭くない魔法薬を飲んでいた。お陰で、俺は乗り物酔いせずにこの村に到着することができていた。


 村と村の間の距離もさほど離れていなかったのもよかったと言える。


 とても清々しい。


 そして俺はようやく、護衛としての仕事を全う出来そうだった。

 ただ、今のところ、旅程の間には、モンスターは一切出ていないのだ。


 裏ボスさんの連れてきたテトラホーンが、パラメータ的にかなり高位のモンスターなので、並みのモンスターであれば怖がって近づいてこないのだろう。


 ──だとしても。あのままだったら、到底、単位認定の書類にサインしてくれなんて、セスに言えないもんな。


 当のシスター・セシリアはこの村の村長を供に、村の家々を一軒一軒、対象の赤子への洗礼を施しに出向いている所だった。


 裏ボスさんは着いてきていない。


 村についたところでフラッとどこかへ消えてしまっていた。


 前を歩くセスの後ろ姿をみて思い出すのは、昨日の裏ボスさんを引っ張り去っていく光景だ。

 その際の、天使のような微笑みと相まって、本当にセスのことが俺には天使のように見えた。


「こちらが最初の家となります」

「御案内、ありがとうございます」


 どうやらここに、洗礼対象がいるらしい。


 俺は初めて見ることになる洗礼がどんなものなのか、少しだけ好奇心をもって、シスター・セシリアに続き、その家へと入っていく。


 この家は農家のようだった。とはいっても、それなりに裕福なのが伺える。

 しかし、洗礼という言葉からてっきり誕生を祝福するような朗らかなお祝い的な雰囲気を想像していた俺は、一歩足を踏み入れて首を傾げるのだった。


 ──なんだか、変な緊張感があるな……あの二人が両親だろうけど、顔が強ばっているし。あっちの子供たちは兄弟かな。ひとかたまりになってる。


 小さい子供を大きい子供たちがまるで守るような形で、部屋の片隅に固まっているのだ。


 部屋の中央には、今回の洗礼対象らしき赤子だ。二人いるから、双子だろう。

 篭のようなものの中にそれぞれ寝かされ、隣には、洗面桶のようなものに水がいっぱい入っている。

 洗礼用の水だろうか。


 顔を強ばらせた両親に、村長が何か囁きかける。

 そのまま頭を下げる両親。


 シスター・セシリアはその二人の方へいくと、頭に軽く触れ、何か告げる。そして、部屋の中央の双子の赤子へと進んでいく。


 いよいよ、洗礼が始まるようだった。





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