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お出かけの朝

「ほう、インテリジェンスウェポンか」

「そ、そうなんだ」


 出掛ける準備を終えたところで、当然のようにカノンにイオタの事を見咎められる。

 学園支給のナイフと形状が異なっているので、イオタの鞘も特注になってしまったのだ。当然目立つ。

 さらには、カノンに見とがめられたイオタが不用意に話してしまうという決定打つきだった。


「それを、シドは今日、携帯していくと」

「はい」

「その理由が、放って置くとそのインテリジェンスウェポンがリニアスタ=サーベンタスの声で騒ぐから?」

「おっしゃる通りです」


 俺のした説明をそっくりそのまま繰り返すカノン。いたたまれない。


『本機は騒ぐことはいたしません。ただ非常時に呼び掛けを行うだけとなります』


 イオタも、余計なところで口を挟んでくる。


「イオタは少し、黙ってよっか」

『是』

「はぁ。シドは今後、ずっとそのリニアスタ=サーベンタスの声でしゃべるインテリジェンスウェポンを携帯していくつもりなのか」

「あー」


 俺は思わず目が泳いでしまう。先日、一瞬だけだが、イオタの借り受ける姿がカノンに変わったのを思い出してしまったのだ。


 ──もしかするとカノンの声に変わる可能性もあるって、さすがに今のこのタイミングでは言わない方がいいよな ?


 とはいえ、これ以上の波乱は遠慮したい。その時はその時だと、俺は問題を先送りにすることを決める。


「──たぶん、そうです」

「はぁ。わかった」

「えっ! さすが、カノン。わかってくれるか!」


 俺は意外なカノンの返事に驚く。てっきり、いつものように、こんこんと説教が始まるのかと身構えていたのだ。


「……シドが、実は相当頑固なのは知ってるしな」

「そう、かな」

「そうだ。それよりさっさと行くぞ。遅くなる」

「ああ」

「あと、そのインテリジェンスウェポンは出来るだけ黙らせておけよ。貴重なインテリジェンスウェポンを持っているとばれると、面倒なことになる場合だってあるんだ」


 なぜか今度は抗弁しないイオタ。もしかして貴重な存在と呼ばれて喜んでいるのではと、俺は腰に下げたイオタに疑いの目を向けるのだった。


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