教会にて
「ふぁ……」
食堂で朝食をとりながら、あくびを噛み殺すようにしているカノン。
「珍しいな、カノンが眠そうなの」
「……そうだな」
俺の指摘に、何故かじとっとした視線を送ってくるカノン。
男装してイケメン風の見た目でそんなことをされると、なかなか迫力がある。とはいえ、俺にはカノンにそんな顔をされる心当たりがなかった。
ただ、そういえば確かに昨晩はカノンの寝息を聞かなかった気がする。俺の方が先に寝てしまったのだろう。
そんな原因がわからない事態に、俺がどうしたものかと悩んでいると、大きくため息をつくカノン。
「はぁ……」
「あー。何か悩みがあるなら、聞こうか」
「結構」
ぴしゃりと拒絶するように告げるカノン。どうやら悩みはなかなか繊細なもののようだ。
俺はおとなしく引き下がる。話題を変えてみる。
「そういや、今日は授業はどうなるんだっけ」
「……昨日聞いただろう? 復旧作業の応援だ」
「ああ、そう言えば確かに……」
カノンに言われて思い出す。確かにそんなことを教師に言われた。
「俺たちは、被害を受けた教会の片付け応援になるはずだ」
それは聞いてなかったはず。
ただ、何か引っ掛かる。
──ここ学園のある街の教会……なんだっけ?
俺は首を傾げるもあと一歩のところで思い出せなかった。
◆◇
「失礼します、片付けの応援に来ました」
「あら、初めまして。私はここのシスターをしております、カマラです。学園の生徒さんですね。お話はうかがっています。この度はお手伝いに来ていただきましてありがとうございます」
「シド=アニキスです」「カノン=ルールルーです。俺たちはどこをやりましょう?」
「それではあちらを。セシリアっ! シドさんとカノンさんです。お二人をお願いいたします」
「はーい!」
元気な声をあげて近づいてくる見習いシスター服を着た少女。
俺たちより少し年下に見える。
──セシリアっ! そうか、ここはゲーム本編のヒロインの一人、シスター・セシリアの所属する教会かっ!
シスター・セシリアは、ゲームの主人公と同級生で、シスター修行の傍ら学園にも通うヒロインの一人だった。
──すっかり失念していた。まだ学園入学前だから、当然、教会にいるよな……あれこれってまたメインシナリオに干渉しちゃうことになるんじゃ……
ニコニコと天使のような笑みを浮かべるシスター・セシリアを見ながら、俺はこっそりと頭を抱えるのだった。




