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解きほぐし

「きたっ!」

「え──あっ──、シド? んんっ……」


首もとで大声をあげてしまったので、リニを驚かせてしまったのか、変な声をあげるリニ。しかし俺はパラメータ閲覧に夢中だった。


 ──これは、凄い。この鉱石の正体自体は相変わらず不明。だけど、ゲームの時の血魔術の亜種に近い現象に見える。


 俺の転生特典のパラメータ閲覧は、鉱石がリニの肉へと戻る際の、数値が生じる瞬間を捉える事に成功していた。そしてそれは、とても不思議な光景だった。

 まさに、他に見たことがない光景。


 もし、出産の様子を見ることがあったなら、もしかしたら近い光景が見られるのかもしれない。

 それぐらい不思議で、なにか神聖にすら感じられる情景だった。


「リニ。背中、少しだけ魔素を流すね」

「し、シド? 何を?」


 慌てる姿を一度も見せたことのなかった裏ボスさんが、俺の声に驚いたように声をあげる。


 しかし、俺は自身の発見と、今のリニの辛そうな状態を少しでも緩和出来そうだという事に集中していて、それに気がつかなった。


 そのまま、優しく背中をマッサージするようにしながら、触れている手のひらを通してごくごく細い流れで魔素を流していく。


 スキルや魔法を使用する授業で最初に習う魔素の流れの操作。シド=アニキスも当然、学園の授業でやっていたことなので、その知識と経験を継承している俺も出来る。


 その体感的に身についたままに、俺は自身の転生特典のパラメータ閲覧を最大限駆使しながら細く細く、魔素をリニの肉と鉱石の狭間の部分へと流し込んでいく。


 俺の細く細く絞った魔素がリニの鉱石部分の末端に触れると、それを優しく解きほぐすように渦巻かせていく。


 ──いける! 原理はよくわからないけど、この鉱石部分をリニの肉体へと戻せる。


 俺の魔素がゆっくりと鉱石部分をリニの肉体へと戻していく。


「あ──あ──、なに、これ……。知らない、感覚……あっ」


 リニの声が、俺の魔素の流れる度に、徐々に大きくなっていく。ただ、それは決して不快では無さそうだった。

 そして確認しているリニのステータスを見ても、いったん止まりかけていたリニの人の肉体への復元が、再度始まっているのを確認出来ていた。


 ──あ、ここから特に硬い……


「リニ、少し強くするよ」

「あ、え、まっ──んっ」


 返事を待とうとするも、ここで魔素の流れをやめてしまうとまた再び鉱石化が進みそうな数値変化が現れてしまう。

 俺は慌ててこれまでの数倍程度の魔素を鉱石部分の縁へと解すように注ぎ込む。

 鉱石が崩れるように肉へと復元されていく。


「あぁぁぁ……」

「あと、少しだから。頑張って」

「そん、なぁ……もぅ……ぅっ」


 俺は仕上げとばかりに何度も何度も力強く、魔素をリニへと注ぎ込むのだった。






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