49話 クレアちゃんの才
ー24日後ー
トルーヤさんの不器用さは本当のようで、ジークが魔法を使えるようになってから、トルーヤさんが魔力を手に集められるようになるまで、24日もかかってしまい、クレアちゃんも丁度手に魔力を集められるようになっていた。
この頃には、本格的にジーク達の家に住むようになり、夕焼けの宿は泣く泣く解約した。その時女将のマリさんやユリには惜しまれたが、ジーク達の家に泊まることがほとんどだった為、夕暮れの宿に止まることはやめにしたのだ。今後はご飯を食べに訪れることになりそうだ。
24日経ったので、ジークの魔力操作の腕前はどうなっているかというか、順調に伸びている。魔力で大剣を覆うことが出来てから、俺の雷纏にすっかり憧れたらしく真似しようとしていた。しかし真似自体はできたものの、炎纏は熱くて汗をかくだけ、風纏は涼しくなるだけとあまり実利はなく、ー纏は諦めていた。
実戦で使えないと分かった後のジークの落ち込み具合が凄くて、見ていられないぐらいだったので、俺は足の裏に魔力を集め、風魔法を発動し機動力を上げるという提案をしてあげた。この提案はジークからしたらとてもかっこいいらしく、毎日毎日飽きることなく、使いこなせるように練習をこなしていた。しかし、風魔法の威力や体の向き、体勢によって進む向きが全く異なり、思い通りに動くことが出来ず、良く地面や壁に衝突する場面を見たものだ。その内体を保護するために、風纏も同時に発動するようになり、本人いわく「これはめちゃくちゃかっこいい!」らしく、更に練習に磨きをかけていた。
24日経った今でも完成には遠いが、地面や壁にぶつかる回数は減ってきているので上達しているのだろう。楽しそうに練習をしているジークを見ていると、俺達もやらなくちゃと思うようになり、ジークは着実に俺たちのムードメーカーとなっている。
模擬戦での効果としては、ジークも今では、持ち前の獣人としての身体能力を用いて、トルーヤさんと五分五分とまでは行かないが、10回やったら4回は勝てるようになってるので、実力もかなり上がってきている。トルーヤさんは俺達と模擬戦をしていく中で、とてもCランクには見えない実力と体力になっているので、そんなトルーヤさんに勝てるようになってきたジークも、十分すごいと言えるだろう。クレアちゃんに関しては、走るなどの基礎練習からは卒業し、トルーヤさんに杖術と短剣術を学んでいる。なぜならクレアちゃんは魔法使いになることを望んでいるからだ。魔法使いは主に魔法の威力を強める杖を持つので、敵に近づかれた時に杖を持って戦うので杖術を習っている。それと同じような理由で接近戦のために短剣術も習っている。これに関しては俺も短剣術を使うので、最近はクレアちゃんと模擬戦をすることも増えたりもした。
そんな充実した時間を過ごしていると、ジークやクレアちゃんの実力が伸びていくと共に俺の実力も伸びている。今現在のステータスはこれだ。
ーステータスー
名前 木下 圭
年齢 16
職業 冒険者
レベル 14
HP 750 MP 530→630
STR 62→72(+18) VIT 77→87(+16)
AGI 107→117(+18) DEX 62→72
INT 67→77
残りステータス割り振り0ポイント
剣術Lv3 短剣術Lv4→5 up! 体術Lv5 →6 up!
盾術Lv2 身体強化Lv5→6 up!
生命探知Lv3 気配消去Lv3
投擲Lv4→5 up! 解体Lv2 鑑定
光魔法Lv3 水魔法Lv3
雷魔法Lv4→5 up! 時空魔法Lv3→4 up!
魔力量増加Lv3→4 up! 魔力操作Lv4→6 up!
詠唱破棄
SP90
順調に全体的にレベルが上がってきているので満足だ。
とりあえずトルーヤさんとクレアちゃんが魔力を集められるようになったので、何の属性に適正があるのか調べることにした。調べる方法は前回と同じで魔力を手のひらに集め、各属性をイメージする言葉を発するだけ、火球、水球といった風にだ。
「なんだかよ、自分が適正を調べる番になりと緊張するもんだな」
「私も緊張してきた」
「緊張してても、結果は変わらないだろ?気楽にいけばいいだって」
「まったくこいつは栓もないこと言いやがって。そういえばジークは緊張とは程遠いやつだったな」
「そんなのは知ってるけど、普通は緊張するでしょ!?」
「そうかー?」
「ジークの言う事は極端すぎるけど、いつも通りでいいよ。緊張しすぎてたらいい結果も出なくなりそうだしね」
「お兄ちゃんもケイみたいな事言ってくれたらいいのに」
「俺もケイと言ってること同じじゃねぇーか!?」
「全然違うよ、なんかこう雰囲気とかね」
「全然わからねーよ!」
「じゃあそろそろ緊張もほぐれてきた頃だと思うから適正を調べていくよ」
「おう!」「うん!」
その後トルーヤさんとクレアちゃんは
火→水→風→土→木→光→闇→氷→雷→付与→時空の順で適正属性を調べていった所
トルーヤさん 土属性
クレアちゃん 風、光、氷、付与属性
に適正があることが分かった。
「ま、こんなもんだろ。普通適正属性は1個だってエマも言ってたしな。ケイやジーク、クレアがおかしいだけだろ。魔法が使えるようになっただけ嬉しいよ」
「やった!私魔法が使えてる!」
「とりあえず2人が魔法を使えるようになったようで良かった」
「おう、教えてくれてケイありがとな」
「ケイありがとう!」
「ケイありがとうな!」
「いいよ、そんなの。俺は教えただけで、出来るようになるまで努力したのはみんなの方でしょ?」
「それじゃあみんなありがとうって事で、酒場でお祝い会しようぜ」
「ジークもたまにはいいこと言うじゃねぇーか!」
「たまには余計だ!」
「ほんとお兄ちゃん、た、ま、に、いいこと言うよね」
「うわっ!クレアでもそんなこと言う!あーケイ皆がいじめてくるんだけど!」
「まーたまにでもいい事言えるんだからいいじゃん?」
「ケ、ケイまで、俺をいじめてくるー!」
ジークは走って階段を登っていった。
「あーあ、ジークがいじけた」
「ケイがとどめを刺すから」
「たまにはいいだろ」
「それもそうだね。お兄ちゃん基本うるさいから」
3人で笑って、ジークを追いかけるために階段を登っていった。
ー食堂兼酒場ー
食堂に入ると、ジークが隅の席で1人座っていた。きちんと4人席に座っているあたりがなんとも可愛いと思ってしまうのは、もはや病気かもしれない。
「ジーク落ち込むなって、ごめんなジークの反応が面白いからつい乗っかっちゃってさ」
「じゃあ俺はたまにじゃなくて、結構いい事言ってるのか?」
「あーいや、それは違うけど」
「なんで上げてから落とすんだよー!」
「もーケイったらなんで追い打ちかけてるの」
「え?俺上げるようなこと言ってなくないか?普通に謝っただけなのに」
「まージーク、今日はケイが奢ってくれるみたいだから好きなもん食べて、飲んでしようぜ。な?」
「え?ちょっトルーヤさんそんなの聞いてな」
「本当か!?じゃあ色々と頼みに行こう!ケイありがとう!」
トルーヤさんとジークはそのまま食べ物や飲み物を注文しに、カウンターに向かっていった。
「そんなの聞いてないよ。それにしてもあいつは立ち直るの早すぎだろ、奢りって聞いた途端すぐ立ち直ったな」
「ハハハッ、お兄ちゃんって単純だからね。でもいいの?奢りでも、今から言えば流石になしにしてくれるんじゃない?」
「いやいいよ、急で驚いたけど奢るぐらいでジークが立ち直るなら、お安いものだよ。じゃあクレアちゃん、俺達も頼みに行こうか」
「うん、何食べようかな?」
「普段食べないようなものとかを食べるのもいいね」
「それはいいね!なんて言ったって今日はケイの奢りだからね」
そう笑うクレアちゃんは本当に楽しそうだった。
「お手柔らかに頼むよ?」
「おいおい!なんで人様が飯を食う所に獣がいるんだ!?」
俺はクレアちゃんと共に、食べ物や飲み物を頼みに行こうと席を立ってカウンターに向かっていると、遠くから声がした。声のした方を見てみると三十代ぐらいの男の冒険者が2人近づいてきていた。
(何だこいつら、これまで冒険者ギルドに通ってたけど、ジークやクレアちゃんが獣人だからって絡んできた奴なんていなかったのに、むしろ有効的に話しかけてきてくれる人もいたぐらいだ。とりあえず今の声でクレアちゃんが俺の後ろに隠れて怯えてるし、わざわざ対応する必要もないな)
「雷纏」
その刹那、周りの人にはこちらに近づいてきた男二人が急に倒れたように見えただろう。実際には皆には見えない速度で動き、近づいてくる男二人の首元を叩き気絶させただけだ。幸いな事に俺の事が見えた人はいなかったみたいだ。、、、、ジークとトルーヤさん以外は
「お、おい!こいつら急に倒れたぞ!」
「なんでだ?さっきまで普通に話してただろ?」
「いや、知らねーな。獣人がどうのこうのって言ってたな」
「ということはガレスの街出身とかガレス街にいる冒険者じゃねぇーな。ガレス街にいる冒険者は特に獣人とか気にしねーからな」
「そうだよな。だってSランクの獣人王様も獣人だしな。尊敬しなきゃ祟られるってもんだぜ」
「なのに王都近辺の冒険者連中は、獣人は獣臭いとか人間の劣等種だのしょうもない理由で嫌って迫害するなんてアホだよな。いっぺん獣人王様に滅ぼされればいいんじゃねーか?」
「おい、ばか!それは言いすぎだ。不敬罪で殺されるぞ?」
「す、すまん。つい口が滑って」
(へぇー、なんでジークやクレアちゃんに、冒険者の人は友好的なんだろうかと思ったがそういうことだったか。Sランクに獣人の人がいるのか。いつか会ってみたいな)
「あ、あれ?」
いつまで経っても、怒鳴っていた人が来ないので不審に思ったクレアちゃんが俺の背中から顔を出した。
「倒れてる?」
「なんか急に倒れたみたいだね。いやー不思議なこともあるみたいだ。早く行こ、ジークやトルーヤさんが頼み終えちゃうよ?お腹空いたなー」
「う、うん。、、、、、、、、ありがと」
あるき出した時後ろからポツリとそんな声がした。俺の仕草や口調から何か感じたのかもしれない。
「んーどういたしまして」
「派手にやったな」
近づいてきた俺達に、トルーヤさんはそんなことを言ってきた。俺はクレアちゃんの前で一度カッコつけたので同意するわけにもいかず誤魔化した。
「何の事だかわからないですよ?でもむしろ静かじゃなかったですか?」
「お前それだと自分がやったって言ったもんだろ」
「何の事だろうなー」
「てかむしろケイがもう少しやるのが遅かったら、俺がやってる所だったぜ」
「おい、お前はやめとけよ。事態をややこしくするだけだ」
「そうだよジーク」
「まー俺達に危害が加わりそうな場面じゃなければ、大人しくしとくわ」
「じゃあとりあえず今日は俺の奢りなんだから好きなだけ食べていいよ。ほらクレアちゃんも」
「そうだった!よーし食べるぞ」
「うん!私も食べるー」
「おっケイが奢ってくれるのか。わりーな」
「いや、トルーヤさんが最初に言ったんでしょ!?」
「んー?知らないな」
「もういいですよ。トルーヤさんも好きなだけ食べてください。今日はお祝いなんで」
「おう、じゃあ遠慮なく」
その後、食べ物や飲み物をたくさん買った俺達は机の上に並べた。
「じゃあケイ、お前が乾杯の音頭をしろ」
「えっ俺ですか?トルーヤさんがして下さいよ」
「なんで俺なんだよ。ジーク、クレアここはケイだよな?」
「おう!ここはケイだろ」
「うん、ケイでいいと思うよ」
「ほらな?ほら早く」
「んーじゃあやらせてもらいます。無事3人が魔法を使えるようになって良かったです。これからも訓練を怠らないように注意してください。それじゃあこれからの皆の活躍を祈って、乾杯!」
「「「かんぱーい!」」」
乾杯してから、ジークとクレアちゃんはすごい勢いで食べ物を食べ進めていった。トルーヤさんは食べ物を多く食べるというよりどっちかと言うとお酒を楽しむような食べ方をしていた。一刻ほど食べたり、飲んだり、話したりしていると、トルーヤさんがこんなことを言い出した。
「そういやよ、お前たちクレアが成人したら暁に入れるのか?」
「当たり前だろ?」
「もちろんですよ」
「お兄ちゃん、ケイありがとう!」
「お前達は仲いいな。それじゃあ提案だが、本当なら成人してからじゃないと冒険者になれないんだけどよ。訓練官が実力があると判断した者は特別に冒険者になれるっていう制度があるんだよ。最近は訓練するやつも少なくなっちまったから、使われなくなったり、皆に知られてない制度だけどな。クレアの杖術や短剣術のセンスは悪くねーし、魔法の才能もある。それに加えてケイとジークっていう頼れる仲間がいる。これなら冒険者にしても問題はないからな。お前たちがいいなら申請を出しておくぞ?」
「ぜひお願いします!」
「おークレアももう暁に入れんのか」
「元から入れるつもりだったし、ありがたいね」
「じゃあ、今日は流石に無理だけどよ。明日あたり受付に行ってパーティーメンバー加入の手続きをしておけよ」
「分かりました」
「それじゃあ、クレアの暁への加入を祝ってかんぱーい!」
「「かんぱーい!」」
また熱が帯びたお祝いの会も、この後仕事帰りの赤の牙も参戦してさらに盛り上がり、外が暗くなる頃には、ザック、アーク、エマ、ジークの4人が完全に落ちていた。最終的にお祝いの会と聞いたザックが奢ってくれることになり、これまで買った食べ物や飲み物代もすべて出してくれた。4人が落ちた後も少し話していたりしたが、クレアちゃんが眠くなってきたので帰ることにした。いつものようにジーク以外の3人は、トルーヤさんとグレンがどうにかする様なので、俺がジークをおんぶして、2人に挨拶をして冒険者ギルドを後にした。
ーマジックボックスー
金貨1枚 大銀貨1枚 銀貨7 枚
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(117万0900円)
下級ポーション×9
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解毒ポーション×2
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石剣 鉄剣 銀の小盾 鉄の胸当て




