48話 魔法発動
魔力を集め終わったジークを確認したので俺は声をかけた。
「それじゃあまずは火球からだな」
「分かった、じゃあ行くぞ!「火球!」」
ボン!とジークの手のひらの上に火の玉が出た。綺麗なオレンジ色の火だ。
「で、出た!やった!やったぞ!俺が魔法を使えるなんて!」
「すごい!すごいよお兄ちゃん!」
「やったなジーク」
魔法が使えて喜ぶジークとクレアちゃん兄弟に俺は声をかけた。
「ケイありがとう、お前のおかげだ」
「俺はほんの少しだけ教えただけだよ。魔法を使えてよかったな」
「ああ、すげー嬉しいよ」
「これで火に適正があることが分かったな。もちろん他の適性があるかどうかも調べるだろ?」
「もちろん!」
その後、龍、精霊、妖精属性を除き全ての属性を試した所、ジークには火以外に風属性にも適正があった。2つの属性に適正がある人は魔法使いの5人に1人くらいには希少らしく、ジーク本人はすごく喜んでいた。
「これで俺も魔法が使えるんだな」
「使えるようになったからって魔法ばっかり使って、魔力操作の練習をサボるなよ?魔力操作が一番基礎なんだからさ」
「もちろんだ。こんなんですぐサボってたらクレアにも追いつかれそうだし、変わらず頑張るぜ」
「そっか、元々心配しなくても良さそうだったな」
「いや、魔法に関しては平気だったけどよ、普段はサボり気味だったりするからそうやって注意してくれるのはありがたいぜ?」
「自分で気づいてるなら直せよ」
ジークと話していると先程までジークと一緒に喜んでいたクレアちゃんが泣きそうになっていた。
「クレアちゃんどうしたの?」
「お兄ちゃんは魔法を使えるようになってるのに、私はまだ魔力を動かせてもいないから、才能ないのかなって」
(同じ時期に練習を初めてジークはもう魔法が使えて、クレアちゃんは魔法を使う以前の魔力操作すら全然できてないってなったら焦るよな)
「あのな、ジークが魔法を一番はじめに使えるのは、妥当って言えば妥当なんだよ」
「え?」
「なんだよ、妥当って」
「俺は3人に魔力操作を教える前に魔力を体内に流したでしょ?あれで3人の魔力量がどのくらいか大体は把握できたんだよ。それでジークとトルーヤさんは同じくらいだったけど、クレアちゃんだけジーク達の5倍も量が多かったんだよ」
「ご、5倍!?」
「はぁーそりゃすげぇーな」
「そうだ、それでジークよりも魔力量が5倍も多いと普通なら魔力操作を覚えられるのにどのくらいかかると思う?」
「ご、5倍かな?」
「まー正確には分からないけど、単純に計算するとそうなるよな?つまり、クレアちゃんは才能がありすぎるから、他の人よりも使えるまでに時間がかかり過ぎちゃうだけだよ」
そう言うとクレアちゃんは先程までの暗い顔とは打って変わり嬉しそうにニコっと笑った。
「そうなんだね、ありがとうケイ!私変わらず頑張るね!」
「うん、頑張れ」
「なーケイ、その計算でいくと俺はもう魔力操作出来ててもおかしくないはずだが、なんで出来てないんだ?」
クレアちゃんを無事に励まし終えたと思ったら今度はトルーヤさんがそんなことを聞いてきた。何を当たり前のことをと思いながら答えた。
「そんなの決まってますよ、練習量です。トルーヤさんすぐ俺は細かいのは苦手だ!とか全然動かねぇー!って言って休んでるじゃないですか。その間も練習しているジークに比べたら、出来るまで時間がかるなんて当然ですよ」
「確かにそれもそうか、すまんなケイ」
「トルーヤのやつ怒られてるよ」
「あいつ俺達に起こるくせに、自分は練習不足だって怒られるなんて面白いな」
反省しているトルーヤさんに追い打ちをかけるようにザックとアークが、トルーヤさんのことを馬鹿にしているような事を言い始めた。
「お前らには言われたくねぇーんだよ!」
「うわ!怒った!」
「あいつ俺達に足の早さで勝てると思ってるのか?」
怒ったトルーヤさんはザックとアークを捕まえる為に追いかけていった。何やってるんだかと呆れていると、エマが近づいてきた。
「まったく、本当に子供よね。ケイを見習ってほしいものよ」
「賑やかだしいいんじゃない?ああいう人達がいると」
「もちろん助けられている部分もあるけど、やっぱり騒がしいわ。それにしてもケイ以外に詠唱をあそこまで省略して魔法を使えるなんて驚きね」
「俺も正直魔力操作が、他の人にも使えるかどうか分からなかったから、ジークが使えるようになってよかったって思ってるよ」
「そうだったの?私てっきり出来ると思ってやってるのかと思っていたんだけど違うのね」
「出来ないとは思ってなかったけど、必ずしも出来るっていう確証がなかっただけだけどね」
「それでも出来たんだから凄いことよ。あっそういえば、魔力操作の件ですっかり忘れてたけど新技を見せてもらえるって言ってたわよね」
「言ったね、見る?」
「ええ、新しい魔法を見るのをとても楽しみにしてたのよ」
「なになに?ケイがなにかするのか?」
「私も見たいー」
「それは僕も興味があるね」
新しい魔法という言葉に、近くにいたジークとクレアちゃん、グレンが興味を持ったのか近づいてきた。俺は全身に魔力の層を作り、雷纏を発動させる準備を完了させた。
「それじゃあ行くよ「雷纏!」」
俺が魔法を発動させると、バチバチと雷が発生し全身を覆った。
「な、何これ!」
「うぉー!かっこいいな!」
「ケイすごーい!」
「これは驚いたね。魔法を全身に覆うとかそんなことできたの?」
「できるわけないじゃない!魔法を全身に覆うことは、かつて魔法使いの人も試したことがあるの、でも駄目だった。全身を火で覆った人は焼け死に、水で覆った人は溺死をしたわ」
「と言うことは、全身を雷で覆うなんてことしたら、、、」
「雷で感電して死ぬわね」
「じゃあなんでケイは生きてるの?」
「分からないわ、ねーケイ!それはどうやってるの?」
ジークとクレアちゃんに、すごーい!と褒められるのは気持ちがよく、悦に浸っているとエマに声をかけられた。
「どうやってってどういうこと?」
「あのね、ケイのその状態は本当なら死んでいてもおかしくないのよ?」
「えっ?そうなの!?」
「普通の魔法使いなら、魔法を全身に覆うとその属性によって死ぬわね。雷なんて余計にね」
(確かに、なんでみんなこんなに便利な魔法の使い方をしないんだろうと思ってたけど、普通に考えたら全身を雷で覆うとかどんな拷問だよって話になるか。なんで俺は無事なんだろうか?んー、、、、あっ!)
「分かった!俺がなんで死んでないのか」
「え!?分かったの?」
「俺さこの状態を雷纏って読んでるんだけど、雷纏を発動する前に全身を魔力の層で覆うんだよね。それで発動した時に魔力の層の外側は雷に変換して、内側は雷に変換せずに属性を雷に変えただけの状態で保ってるんだよ。内側の雷属性の魔力が外側の雷から守ってくれるから、外側の雷が貫通できず、内側にいる俺はなんともないんじゃないかな?」
「なるほどね、それなら納得だわ。魔法使いが行ったのは、ただ魔法を全身で覆っただけで守る層を作らなかったのが原因だったのね」
「なんか魔法にも色々とあるんだね。それでケイ、その状態を保てる理由は分かったんだけど、その状態になる利はなんだい?」
「あーこれね、雷纏の状態になるとさっきは守ってくれるって言ったんだけど、ほんの少しだけ雷が内側に届いてるんだよ。その微量の雷が筋肉を刺激することによって、身体能力が元の何倍、何十倍も跳ね上がるからもの凄く便利だよ。一刻までは特に影響もないからさ」
「わぁ、それは便利だね!それって結構とんでもない代物じゃない?」
「どうなんだろう、物凄く便利だけど」
「凄いわ!こんな素敵な魔法を見たのは、久しぶりね!こんないいものを見せてくれてありがとう!」
そんなことをエマ、グレンと話していると、トルーヤさんが帰ってきた。
「はぁはぁ、あいつら伊達にAランクになってるわけじゃないんだな。全然捕まえられねぇーぜ。それよりいいのかケイ、お前のそれは切り札だろ?冒険者にとって切り札は重要なんだぞ?」
「そんなの今更ですよ。赤の牙の人達が秘密を漏らすとも思いませんし、ましてや敵対するとは思いませんから」
「そうよ、安心しなさい。私達はここで見たことを他で話したりなんかしないわ」
「そうだね、そんな無粋なことしないよ。せっかくケイが僕達のことをこんなに信用してくれるっていうなら、その期待には答えないとね」
「そうか、それならいいんだ」
「なんだか、トルーヤはいつの間にかケイのお父さんになったみたいだね」
「そうね、いつの間にこんな大きな子供が出来たのかしら」
トルーヤさんの発言に、すかさずグレンとエマが茶化し始めた。
(エマとグレンのこういう所は、ザックとアークそっくりだな)
「う、うるさいわ!」
流石にエマとグレンを追いかけることはしないのか、怒鳴っただけで終わらせていた。まー怒鳴ったというか照れ隠しというか、トルーヤさんのツンデレ具合がどんどん上がってきているのは、やっぱり気のせいだろうか。
その後は、赤の牙との模擬戦や魔力操作の練習をして、一日を過ごし終えた。
ーマジックボックスー
金貨1枚 大銀貨1枚 銀貨7 枚
大銅貨0枚 銅貨9枚
(117万0900円)
下級ポーション×9
中級ポーション×2
解毒ポーション×2
解麻痺ポーション×2
解眠りポーション×2
石剣 鉄剣 銀の小盾 鉄の胸当て




