41話 ジークとクレア
獣人の男を気絶させてから、獣人の女の子が起きるまでそう時間はかからなかった。
「ん、んー、あっ助けてくれた、お兄ちゃん?」
獣人の女の子は背伸びをした後、俺の方を見て首をかしげていた。
「そうだよ。俺はケイっていうんだけど、君の名前は?」
「ク、レア」
あまり人と話し慣れていないのか、戸惑いながらも答えてくれた。
「クレアちゃんって言うんだね。それじゃあクレアちゃんに聞きたいんだけど、あの獣人の男の人はクレアちゃんの家族?」
獣人の男が横になっている場所を指でさすと、クレアちゃんはその方向に首を向け、獣人の男を見るとすぐに駆け寄っていった。
「お兄ちゃん!」
(あの獣人の男も妹って言っていたし、やっぱり兄妹だったか。気絶させちゃったし、クレアちゃんにも敵意を持たれたら、あの獣人の男が起きたらまた戦うことになりそうだ)
少し先の事を考え、憂鬱になりながらも、クレアちゃんが兄と呼んだ獣人が起きるのを見ていた。
「ん?あ、あれ?なんで俺はこんな所で寝てるんだ?そうだ!クレアは!?」
どうやら起きたようだ。
「お兄ちゃん!」
「クレア!無事で良かった!俺が少し用事で家からいない時に、家からいなくなってたから心配したんだぞ!」
「ごめんなさい、お兄ちゃんが怪我したから来てくれって言われて、それで」
クレアちゃんがそう言うと獣人の男はニコっと笑みを浮かべながら
「そうか、俺を心配してくれたんだな、ありがとう。それであいつは誰だ?」
突然俺の方へと獣人の男が瞳を向け、殺気を向けてきた。
「や、やめて!お兄ちゃん!あのお兄ちゃんは私を助けてくれたの」
クレアちゃんのその言葉に、獣人の男は殺気を飛ばすのを止めて、こちらへと歩いてきた。
「クレアを助けてくれたのか、すまん、それなのに俺はお前を襲おうとしちまった」
(クレアちゃんの言葉を少しも疑わないのか、強い絆で結ばれてるんだな)
「いや、いいよ。大事な妹が連れてかれて、見つけたと思ったら知らないやつの膝の上だなんて、兄なら助けないとって思うのは当然だから」
「ありがとう、お前っていいやつだな。クレアを助けてくれたしよ、それに俺たちが獣人って気づいても嫌な顔一つしない。そんな人族に会ったのは久しぶりだ」
「良いやつってわけでもないよ。ただ種族による嫌悪とかそういうものが初めからないんだよ。だから君たちが獣人でもなんとも思わないだけ」
「それが俺達にとっては、凄く助かるし嬉しいことなんだけどな。いつまでもお前、君じゃ呼びづらいだろ?俺はジークって言うんだ。お前は?」
「俺はケイだよ。よろしくジーク」
「なんか人族とこんな風に話すなんて変な感じだな」
俺とジークが話しているとジークの後ろからクレアちゃんが私もいるよと言わんばかりに会話に入ってきた。
「私はクレアだよ」
「ハッハッハ!クレアもだよな。ごめんな、忘れてたわけじゃないんだよ」
「クレアちゃんだよね。知ってるよ」
俺とジークがそう答えると満足したのか、満足した笑顔をしながらジークにもたれかかっていた。
「クレアが人族と自分から関わろうとするのも珍しい。そういえばケイも冒険者なのか?」
「そうだよ」
「やっぱりそうか、格好からも分かるがケイから強そうな雰囲気が伝わってくるからな。俺がケイに気絶させられたのって雷魔法か?」
「ああ、そうだよ。雷球って言うんだ」
「俺は魔法自体は見たことあるんだけどよ、動く魔法なんて見たことなかった」
「まーあれは珍しいやつなのかもな。そういえば、もって言うならジークも冒険者なのか?」
俺がジークにそう聞くと、ジークが答えるよりも先にクレアちゃんが答えた。
「そうだよ!お兄ちゃんは物凄く強いんだよ!」
「ジークって強いんだね」
「うん!お兄ちゃんは1番だよ!」
強く主張するクレアちゃんを微笑ましい気持ちで見ながら、ジークを見ると顔を真っ赤にして照れていた。
「や、やめろよクレア」
ジークが照れていると、クレアちゃんのお腹が鳴った。
「お腹空いた」
「それじゃあ家に帰って食べるか」
クレアちゃんとジークは家に帰ってご飯を食べるみたいだったので、俺は帰ろうとジークとクレアちゃんに声をかけた。
「それじゃあ、俺は行くよ。冒険者ギルドであったら一緒にクエストとか受けような」
そう言うとクレアちゃんが近寄ってきた。
「ケイ帰っちゃうの?一緒にご飯食べよ?」
「ケイがいいならご飯を食べていってくれないか?クレアもそうしてほしそうだし、何よりクレアを助けてくれたお礼もしたい」
「ケイ行こ?」
(この後特に用事もないし、何よりクレアちゃんのこの誘いを断れる気がしない)
「それじゃあ、ご一緒させてもらおうかな」
そういう事で俺はジークとクレアちゃんと共にジーク達の住む家へと向かうことにした。ジークの案内により道を進み、ある程度歩くと年季の入った一軒家が見えてきた。
「ここが俺達の住んでいる家だ。自分の家だと思ってくつろいでくれ」
中に入ると二人で住むなら十分な程の広さを持った家だった。
「結構広い所に住んでるんだな」
「家はな、二人で住むところだから、冒険者の仕事を頑張って買ったんだよ」
そう言ってジークは台所へと向かった。
(へぇー一般的な家にも台所みたいなのはあるんだな。どうやって料理とかするんだろう?)
「火とかってどうやってつけるんだ?」
「ん?ケイはそんなことも知らないのか?もしかしていいとこの出か?普通の庶民の家なら皆知ってるぞ?」
「いや、そういうんじゃないんだけどな。一般的な常識がなくてな」
「そうなのか。これで火をつけるんだよ」
そう言ってジークが持ってきたのはホチキスの様な道具だった。
「ここに魔力を通して、カチッと挟むと火が出る仕組みなんだよ」
「へぇーこれで薪に火をつけるのか。ありがとう、勉強になったよ」
ジークが料理を作っている中、俺はクレアちゃんと遊んでいると、いい匂いがしてきた。
「できたぞー!ケイすまんが、机を出してくれないか?」
俺は立て掛けてあったテーブルを出してクレアちゃんと共に料理が出てくるのを待った。
「野菜たっぷりの鍋だ。美味しいかどうかは分からんが、食えるとは思うから食べてくれ」
「いや、余計食べづらくなるだろ?」
「大丈夫だよ!お兄ちゃんのご飯はすごーく美味しいから!」
でも匂いは凄く美味しそうだ。俺はよそってもらった鍋を食べた。すると味自体は濃いものではなかったが、野菜の美味しさと素朴な味付けがとても合い、クレアちゃんが凄く褒めていたように美味しかった。
「なんだ、ジークが微妙なこと言うから心配だったが、凄く美味しいな」
「でしょ!」
「はー良かった。自分で作った料理を誰かに食べさせるなんて、クレア以外になかったから緊張した」
そんな会話をしながら3人で料理を食べ進めていった。
「そういや、ケイって何ランクなんだ?」
「昨日Cランクになったばっかりだよ」
「Cランク!?ケイって若いのに強いんだな」
「Cランクってそんなに凄いの?」
「この若さでCランクってのは凄いな」
「へぇー、ケイって凄かったんだね!」
(なんか、クレアちゃんにそう言われると照れるな)
「ジークもこの若さとかって言うけど、俺とあまり年違わないだろ?」
「俺は17だぞ?」
「ほら、あんまり変わらないよ。俺は16だから」
「確かにあんまり変わらないな、いやな俺はDランクなんだけど、それでも若いって言われるんだよ。それでその俺よりもランクの高いケイは俺よりも年が下だから、なおさら若いのに凄いなって思ってさ」
「なるほどな、それでもジークだってDランクだなんて凄いじゃないか。ソロか?」
「ああ、中々獣人の俺と組んでくれる奴もいなくてな。Cランクに上がるには切り裂き大熊を討伐しなきゃ上がれないだろ?俺一人だとまだ実力不足だからパーティーを組みたいんだが全然駄目なんだ」
「それじゃあ俺と組むか?ジークなら一緒にいてやりやすそうだし、俺もそろそろパーティーメンバーが欲しかった所だったんだ」
「ほんとか!?ケイなら実力は申し分なしだし、獣人ってだけで差別しないから、ケイがいいなら頼む!」
こうして予期せぬ形で、ケイと共にこれから名を轟かすパーティーメンバーの一人であるジークを見つけたのだった。
「ああ、俺もよろしく頼むよ」
「お兄ちゃんとケイが同じパーティーだなんて幸せだね!」
とクレアちゃんは幸せそうにしていた。
着々と話は進み、俺とジークはクレアちゃんも連れ、パーティーの申請を出すために急遽冒険者ギルドへと向かうことにした。
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