40話 獣人
冒険者ギルドを出た俺はミリアさんから貰った地図を頼りに魔道具の店へと向かった。歩いていると、行こうとしているのは商業地区のお店ではなくて、スラムより方にあるのだと分かった。大通りから外れ人通りの少ない道を歩いていると目的らしき店があった。なぜ分かったかというと出ている看板に魔道具屋とそのまんまの名で書いてあったからだ。
「地図が指しているのもここだし、あってるよな?絶対一人だと見つけられなかった。ミリアさんに感謝だな」
お店の扉を開くと、両側に俺の背よりも大きい棚が置いてあり、棚には色々な魔道具が置いてあった。とりあえず店の奥に生命探知の反応があったので呼ぶことにした。
「ごめんくださーい」
すると奥から若い女の人の声が聞こえてきた。
「はーい!少し待っててくださいね、すぐ行きますからー!」
そう言われたので、少し待っていると奥から人が出てきた。
「お客さんかなー?ごめんなさい、うちは限られた人としか取引しないんですよ。初見さんはお断りしてて」
「あっそうなんですね。ミリアさんの紹介で来たんですけど、それでもだめですか?」
「お客さんってミリアちゃんの紹介だったのー?何か証拠になりそうなものある?」
俺はこの場所が書かれている地図の端に押してある判子を店員さんに見せた。
「この判子はミリアちゃんのものだね。はっきり言うと推薦状みたいなものがあればよかったんだけど、まーそれでいいか!ミリアちゃんが自分の判子だけでここに来させたってことは、あなた相当信頼されているわね。よし!それじゃあどんな魔道具を売ってほしいのー?」
「トキハカリっていう魔道具を売ってほしいんですけどありますか?小さいやつで」
「トキハカリとはまた変わったものを欲しがるね。トキハカリはねーまだ在庫があったと思うよー。んーここら辺に、あ、あった!」
店員さんは棚からトキハカリを探してきて、俺の前に持ってきた。その手にあるのは地下訓練場でトルーヤさんが使っていたのを、小さくしたものだった。
「これでいいー?」
「はい、それです!これが欲しいんです。いくらになりますか?」
「そうだねー、これぐらいなら大銀貨1枚でいいかな」
俺は懐から大銀貨1枚を取り出して、店員さんに手渡した。
「まいどありー!これで用事は終わり?」
「は、はい。一応終わりですけど」
「私まだ魔道具を作ってて、戻っちゃうねー!」
それだけ言うと店員さんは奥へと戻っていった。
(魔道具を作るのに熱心な人なんだな、戻っちゃったし、このあと勝手に魔道具を見るわけには行かないし、今日の所は帰ろうかな)
俺はトキハカリを腰に下げて店の外へと出た。
(これからどうしようかな、まだ昼だしこのままご飯を食べるところでも探すか)
そう思った歩き出そうとすると、スラム街の方でどなり声のようなものが聞こえてきた。喧嘩でもしているのかと思い走って駆け寄ってみると、そこには12、3くらいの男の子が3人程集まって1人のフードを被った女の子に対して石を投げようとしている所だった。
「ここはお前らみたいな、獣臭いやつらが住んでいい所じゃないんだよ!」
「そうだ!そうだ!お前は大人しく森にでも帰ればいいんだよ!」
「お前らがいるとこっちにも獣臭さが移っちまうだろ!」
俺は3人の男の子が石を投げるのと同時に、女の子の前に出て投げられた石をすべて受け取った。
「男の子が3人も集まって、1人の女の子をいじめるなんて、かっこ悪いぞ?」
突然出てきて、石を止めた俺に驚いたのか声を震わせながら
「お、お前、だ、誰だよ!」
「け、獣の、なかまか!」
「そ、そいつの、み、味方なんて、したら、ただ、じゃすまない、ぞ!」
「ん?なに?」
あまり話す意味もなかったので少し圧をかけながら話しかけると
「「「うわぁー!!」」」
と逃げていった。男の子達がいなくなったので、女の子の方を向くと、女の子は体をビクッと震えさせた。俺はなるべく恐怖を与えないように優しく話かけるように
「大丈夫だよ、俺は君に何もしないから」
「お、お兄、ちゃんは、痛いこ、としない?」
「そんなこと絶対にしないよ」
「うっ、うっ」
俺がそう答えると、安心したのか女の子が泣き始めてしまった。どうしたらいいのか分からないが、とりあえず抱きしめてあげて背中を擦ってあげた。少しすると泣きつかれたのか、すーすーと寝息が聞こえてきた。
「まいったな、これじゃあ名前も、この子がどこに住んでるのかとかも何も分からない。どうしたらいいんだろ」
女の子の方を見るとそこにはフードの隙間から耳が見えていた。
「これがいじめられていた原因か。獣人だとこんなにもあたりが強いものなのか」
とりあえず俺は寝ている女の子を自分の膝の上に寝かせ、女の子が起きるのを待つことにした。起きるのにどのくらいかかるかなと考えながら時間を過ごしていると、正面から凄まじい程の殺気を向けられた。殺気を向けられた方を見てみると、大剣を肩に担いでいる、俺と同じ年くらいの獣人の男が歩いてきていた。
(こいつも獣人ってことは、この女の子の家族か、仲間ってところか)
「おい、そこのお前、うちの妹に、なにをした?」
声を荒げることはないものの、言葉の一つ一つに怒気が込められており、怒っていることは一目瞭然だ。
(まーそれだけ、この女の子が大切ってことだろ)
俺はなるべくこの獣人の男を刺激しないように話しかけた。
「俺は何もしてないよ、この女の子がいじめられてたから助けただけ。だからこの女の子や君にも危害を加える気はない」
するとなぜか知らないが、さらに殺気が強くなった獣人の男が襲いかかってきた。
「お前ら人間は!皆そうやって!俺達を騙そうとするんだ!」
(うわー何か地雷を踏んだか。流石獣人って所か、普通に速いな。俺の膝には獣人の女の子がいるし、ここは魔法で気を失って貰おうかな)
「雷球」 (505/530)
直球5cm程の威力を抑えた雷の球を5つ出し、突っ込んでくる獣人の男に向かって放った。時間差で放った雷球を獣人の男は持ち前の身体能力を使い紙一重ですべて避けた。
(さすがは獣人、身体能力が凄まじいな。こっちの雷球の速さは弾丸と同じくらいはあるのに、それを全部避けるなんて)
「でも、そんな紙一重で避けちゃ駄目だよ」
俺は雷球を操作して、雷球の軌道を少し変え獣人の男に当てることに成功した。その瞬間、獣人の男はうめき声をあげなら気を失っていった。俺は魔力操作の練習をしていく中で、少しの魔法なら扱えるようになっていた。
気を失っている獣人の男と膝で眠っている女の子を交互に見比べて、ため息をついた。
「はぁ、さてどうしよっかな」
見上げた空は青かった。
ーーーーーーーーーーーーーーー
マジックボックス
金貨1枚 大銀貨6枚 銀貨7 枚
大銅貨0枚 銅貨9枚
(176万0900円)
下級ポーション×9
中級ポーション×2
解毒ポーション×2
解麻痺ポーション×2
解眠りポーション×2
石剣 鉄剣 銀の小盾 鉄の胸当て




