表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界生活は堅実的に  作者: ケイ
39/52

39話 貸し一つ

木製の扉を押し、冒険者ギルドへと入った俺は、中の空気が少し殺気立っているのに気づいた。受付の方を見るとミリアさんとドラゴンスレイヤーのパーティーが揉めているみたいだ。


「だから、何度も言っているじゃねぇーか!これは俺たちが自分達の力で狩ってきたんだよ!」


「嘘を言わないでください、皆さんの今の実力はこちらで把握しております。ですので、切り裂き熊をこんなに綺麗に狩るどころか、普通に狩ることもできないでしょう。不当な手段によって手に入れた素材の売却は、冒険者ギルドでは禁止です。今ここで非を認めてくれるのであれば軽い罰ですみますが、これ以上自分達で狩ったと主張し、それが間違いだと分かったのならば、ランクの降格や冒険者資格の剥奪もありえますよ」


「だから何度も言ってるだろ!これは俺達が狩ったんだ!それにどんな手段だろうが、入手すればいいだろうが!なんでそんなことをあんたらに言われなくちゃいけないんだよ!」


「語るに落ちてますよ、リュイ様。それだと何か不当な手段でこの切り裂き熊を手に入れたと言っているようなものです。それにこの規則はあなた達冒険者の為のものなのですよ?仮に不当な手段によってランクが上がったとしましょう。ランクが上がるごとに増えるのは、強い魔物の討伐依頼です。実力不相応なクエストを受けて、冒険者の方が死なないようにこの規則は作られたのです。ですから冒険者の方を支援するギルドからこういった介入が入るのは、当たり前のことですよ。それじゃあリュイ様以外のドラゴンスレイヤーの皆様もリュイ様と同じ様に、この切り裂き熊をご自身の実力で倒したとそう主張なさいますか?」


ミリアさんがそう問いかけるとドラゴンスレイヤーのメンバーはそれぞれ答えた。


「そうだよ!リュイも言ってるだろ!そいつは俺たちで倒したんだよ!」


「俺たちに倒せない魔物なんていないんだよ!俺たちはそこら辺にいる雑魚とは出来が違うんですよ!」


「そ、そうよ!他に何があるっていうの!」


(怪しさしかないな、それに冒険者しかいないような場所でよくあんな事を言えるな。それにあの揉めてる切り裂き熊って俺が倒したやつだよな?うわーあんな事になるなら、一言ミリアさんに話をしておくんだったな)


4人の発言についに痺れを切らしたのか、受付の列に並んでいる冒険者や食堂に冒険者が声をあげ始めた。


「お前らそのくらいにしとけよ?ミリアちゃんが困ってるだろうが」


「冒険者ギルドってのは、お前らが思ってるよりよっぽどしっかりした組織だ。その一員である受付嬢が、お前らじゃ狩れないって言うならそれは相応に信用のある言葉になる。対してまだまだひよっこのお前たちの言葉には信用がないんだよ。もう諦めろ」


「お前らは人生をここで終わらせる気か?その歳でEランクなら十分有能じゃねーか、ここは素直に謝って切り裂き熊を殺せるように鍛えればいいだろうが!」


「あんまり俺達を舐めた発言してんじゃねーぞ?大人しく帰れよ」


ドラゴンスレイヤーのメンバーも、この状況に狼狽え始めた。しかしリーダーであるリュイは何を考えたのか、顔を真っ赤にして大声を出した。


「うるせぇー!俺を子供扱いするんじゃねーぞ!俺はお前らと違って、才能があるんだよ!才能が!いつまでも一階にいるお前らに説教されたくねーんだよ!」


初めは困った子供を、諭すように話していた冒険者もこの言葉によりいっそうギルド内が殺気立つようになった。


(うわ、あいつも凄いな。これは出ていくべきだろうな。とれあえずこの騒ぎを収めなきゃいけないし)


そう考え、名乗りだそうとした時二階から誰かが降りてきた。


「なんだなんだ?こんな朝から殺気だってよー、いい年した大人がこんなガキに殺気なんか向けてんじゃねーよ」


黒いロングコートを着ており、スキンヘッドで顔に大きな傷があり、いかにもヤクザの頭といった男だった。その男が発言をした直後、食堂にいた冒険者の一人がその男に声をかけた。


「あ、兄貴!兄貴が出てくるような状況じゃないですよ」


「あ?俺だってこんな面倒くさいことはお前らで片付けろよと思ったが、これ以上放置すると更に面倒なことになりそうだったからな」


そう言うと兄貴と呼ばれた男は周囲を探り始め俺と目があった。


「おい、そこのお前。お前確か、赤い牙の連中が最近よくつるんでるガキだよな?お前何か知ってそうな雰囲気だな。この切り裂き熊の出所についてなにか知ってるか?」


(なんでこの人、そんなこと分かったんだろ?観察能力がずば抜けてるのか?まーでもこの人のおかげで簡単に名乗りだせそうだ)


「よく分かりましたね。多分ですけど、その切り裂き熊を狩ったのは俺ですし」


そう答えると兄貴と呼ばれた男はニヤリと笑い、ミリアさんは驚いた表情をして、ドラゴンスレイヤーのメンバーは俺の顔を見て、青冷めた顔になった。


「長年の冒険者としての勘ってやつだな。まさか狩った本人だとは思わなかったが」


「ケイさんそれは本当ですか!」


「昨日帰ってくるときに、切り裂き熊2体に襲われてたそこの人達を助けました」


「そうだったんですね」


俺の言葉に納得したミリアさんに、ドラゴンスレイヤーのメンバーは顔を赤くして怒りだした。


「おい!なんで俺達の話すことは信じないくせに、俺達よりランクの低いあいつの話す事はすぐに信じるんだよ!」


その言葉に兄貴と呼ばれた男とミリアさんは不思議そうな顔をして


「ケイさんがあなた達よりもランクが低い?それはどこの情報ですか?」


「お前らはもう少し実力を見極める力をつけたほうがいいぞ?そんなんじゃこの先すぐ死ぬことになる」


「は?何言ってるんだ!そこのやつはGランクだろ!?そんなやつが切り裂き熊を狩れるわけないだろ!あいつは俺達を陥れようとしてるんだよ!」


この言葉を聞き、ミリアさんは一度溜息をつき


「はぁ、どこでそう思ったのかは知りませんが、ケイさんはまだ若いですが、Cランクの中級冒険者ですよ」


ミリアさんがそう言うとドラゴンスレイヤーのメンバーだけでなく、兄貴と呼ばれた男以外の冒険者全員が驚きの声をあげた。


「なっ!う、嘘をつくな!こいつはパーティーが5人までという、新人でも知ってる事も知らなかったんだぞ!そんなやつがCランクなわけあるか!それに俺はこんなやつに負けてるっていうのか!」


「なるほど、それでケイさんをGランクの新人だと思ったわけですね。ケイさんがそのことを知らなかったのは、ケイさんがソロを望まれていたからです。いずれ教えるつもりでしたけど」


「もう諦めろよ、お前らには切り裂き熊は狩れない。そしてそこのガキには倒す力があり、そいつが狩ったと言ったんだ。もう言い逃れるのは無理だろ」


そこでもう言い逃れが出来ないと思ったのか、ドラゴンスレイヤーのメンバーは次々と非を認め謝り始めた。


「あなた達の処遇は上が決めるので、決まるまで別室で待っていてください」


ドラゴンスレイヤーは他の受付嬢によって連れて行かれた。連れて行かれるのを見ていると兄貴と呼ばれた男が声を掛けてきた。


「おい、俺はB級冒険者のゾイだ。お前は?」


「C級冒険者のケイです」


「ケイっていうのか。それでなケイ、お前が本来ならするべきことは何だったか分かるか?」


「冒険者ギルドに、ドラゴンスレイヤーを助けその時に切り裂き熊を倒したという報告をする事と、ゾイさんが来る前に名乗りをあげ事態を収集することですか?」


「本来ならここでお前を叱ってやろうかと思ったが、ここは貸し1つで見逃してやる。冒険者はな、基本的には自由だが、やらなくてはいけないこともある。それを忘れるなよ?俺がもう少し後に来ていたら、誰かが傷つくような事態になる可能性もあった。今度からは気をつけろよ」


(ゾイはこの面倒見の良さから兄貴って慕われてるのかな?)


「はい、今度からは気をつけます」


「素直な奴は嫌いじゃないぞ、それじゃあ俺は行くからな。ミリアちゃんもじゃあな」


「ゾイ様、ありがとうございました!」


「はいよ」


ゾイさんはミリアさんの返事に答えながら2階へと上がっていった。それを見送るとミリアさんが俺の方を見ていた。


「ゾイ様が先に言ってくださったので、私からはあまり言いませんけど、今度からは報告してくださいね?」


「こんなになるなんて思わなくて、ごめん」


俺が悪かったので、素直に謝るとミリアさんが何故か慌て始めた。


「い、いえ、誰でも失敗はありますよ!なのであまり落ち込まないでくださいね!次からしっかり報告してくれたらいいですから!」


「次から気をつけるよ。それで聞いておきたいんだけどドラゴンスレイヤーの皆の処罰はどうなる?」


「は、はい!そうしてくれると助かります。そうですね。まだEランクの新人ですから、Gランクに降格して1ヶ月ほど奉仕活動とかだと思いますよ」


「そっか、あまりきつい処罰じゃなくてよかった」


俺がそう言うとミリアさんは笑みを浮かべ


「やっぱりケイさんは優しいですね。それで今日はいつもより遅いですがクエストを受けに来たんですか?」


「今日は狩りはお休みにしたんだよ。それで時間を測る為の魔道具が欲しくて、売ってるお店をトルーヤさんに聞きに来ただけ」


ミリヤさんは時間を測る魔道具と言うと、少し不思議そうな顔をしながら


「時間を測る魔道具ってトキハカリですか?あの魔石の下に水を貯める三角の容器がついている魔道具の」


「多分それかな?あれトキハカリって言うのか」


(時を測る魔道具をトキハカリって安易だな)


「何に使うのか分かりませんが、トキハカリの売っているお店なら私が紹介できますよ?」


「本当!?それなら紹介してほしい」


そう言うとミリアさんは嬉しそうな顔をして、魔道具の売っている場所を書いた紙を渡してくれた。


「ここに行って、私からの紹介だと言ってこの判子の印を見せれば何でも売ってくれると思いますよ」


「ミリアさん助かったよ。ありがとう」


「いえ、気にしないでください。お役に立てて良かったです」


俺はもう一度ミリアさんにお礼を言って冒険者ギルドを後にした。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


マジックボックス

金貨1枚 大銀貨6枚 銀貨7 枚 

大銅貨0枚 銅貨9枚

(167万0900円)


下級ポーション×9

中級ポーション×2


解毒ポーション×2

解麻痺ポーション×2

解眠りポーション×2


石剣 鉄剣 銀の小盾 鉄の胸当て


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ