幕間 進撃するは…。
とんでもなく遅い更新、すいません。
良ければ読んでいってください。最近忙しいので、スマホで執筆しました。おかしなところがあるかもしれません。ご容赦ください
俺が何をしたんだ?
その『異形』は怒りの感情に任せ、木々を薙ぎ倒しながら進撃していた。
ただ俺は、美味そうな餌を食べただけではないか。それだけで追放だと?
「ガアアアアッ!」
苛立ちを表すかのように、その強大な両腕で木々を切り裂き、大地を割った。
同族喰らいは罪、だと? ふざけたことを抜かしやがって。美味そうな『餌』がそこにあるんだぞ。なぜ喰わない?なぜ己の糧にしようと思わない?
その『異形』は自身の両腕に目を向け、小さく唸った。
そうだ。俺のこの両腕が糧になったという証だ。
よかったな、俺に喰われて。
『異形』。その姿は他の同族とは比べ物にならないほど、歪だった。右腕は、黒。左腕は、白。
本来の色は胴体部分が占めている、赤。
それだけにはとどまらず、尻尾の色は青。そして極め付けにはーーーー
「なぁ、お前って竜種は見たことあるか?」
コネクトの酒場で酒をちびちび飲んでいた男は、共に席に座ってつまみを食べていた相棒の女に尋ねた。
「唐突だね。うーん、あるにはあるけど、かなり遠目だったなぁ……っていうか、近づいてみようものなら、私なんてすぐ消し炭さ」
「ははっ、そりゃそうだな。あんなバケモンに近づく奴なんて、それこそ<剣聖>や<魔滅の魔女>クラスのバケモンじゃねぇと話になんねぇか」
男はそう言ってから木製の容器に入っている温いエールをあおり、少し声量を下げた声で相棒に話しかけていく。
「知ってるか? 俺たちの拠点でもあるこの町の隣……魔の森にもーー竜種が棲んでるって話」
「……それが本当ならとんでもなく危険なんだけど……どこ情報?」
「んなもん決まってんだろ。俺んとこのじっさまだよ」
男がそう言った瞬間、相棒は「フッ……」と鼻で笑い、まーたじっさまか、と内心嘆息していた。
「あっ!信じてねぇな? どうせいつもの法螺話だと思ってんだろ? 」
鼻息荒く男は相棒に詰め寄ろうとしたが、落ち着けと制止され席にもどった。
「別に信じてないわけじゃないさ。ただ、そのじっさまの情報でいいことなんてあったかい?」
曰く、西の町の丘には宝が埋まっている。
曰く、ポイズントードの舌の先には、珍しい毒が詰まっている、etc……etc……。
そういった情報がこの男からもたらされるが……大抵はハズレである。
「この前だっけ? アンタのじっさまの情報でリシスの外れにある廃墟に行ったじゃない?」
「ああ、骨野郎がわんさかいて面倒だったなぁ」
そのときのことを思いだしてか、すこし顔を歪めて酒をあおった。が、中身がなくなっているのに気づくと、「おーい姉ちゃん! 酒の追加頼むわ!」と注文を取ってから相棒のつまみを一つ口にした。
「その骨野郎の中に王族がいるって話だったろ?で、その王族由来の宝があるっていう、アンタのじっさまの情報だと」
「ああそうだな。……まぁ、実際にはただのガラクタがいくつかあった、だけだったな」
この男からもたらされる、じっさまの情報は大抵がハズレか、もしくは大幅にスケールダウンした程度のモノしか確認できていなかった。その結果、男と相棒の女は大損である。しっかりと準備をして挑んだものの、骨折り損である。
「ま、そういうことだから正直なところ……私はあんまり信じてないかな」
「そう言われちまうと何にも言えなくなるな。……それで話の続きなんだがよ」
結局話すのか、と苦笑する相棒。
「竜種が棲んでるって言っても、滅多なことじゃ『コッチ』側にはこないらしいけどな」
「その言い方だと、向こうには頻繁に行ってるてことかい?」
「じっさまが言うには、大昔はコッチにもちょくちょく現れてたらしい。まあそれも大昔。何があったのか知らんが、数千年前に忽然と姿を消したとさ」
男は「話はこんだけだ」と締めくくって追加のエールをあおっていた。
「なんだ、それだけなのかい。もっと信憑性がある話をして欲しかったね」
「俺も聞いただけだからな。ま、竜種が棲んでようが棲んでなかろうが、俺たちのやることは変わらんさ」
「そりゃそうだね。……で、この町でどうやって稼ぐの? 久しぶりにココに戻ってきたってことは何かあるんじゃないの?」
と言いながらつまみを一つ口に放り込む。さっきから男もこのつまみを食べているが、女としては小腹が満たされているので、特に気にしてはいなかった。
「ああ、今回はさっきも話した、魔の森の調査だな」
「ふーん、狩りじゃないんだね?」
「たまには簡単にできる依頼でもいいだろ? それとも、魔物の討伐の方が良かったか?」
その問いに、相棒の女はーー獰猛な笑みを浮かべたが、それも一瞬。すぐにいつもの表情に戻り、席を立ちながら「まあたまには息抜きもいいね。適当にこなして、さっさと終わらせるよ」と言いながら勘定を、払いに行った。このコンビの財布は女が握っているのである。
「ったく、女にあるまじき顔しやがって……あれでランクⅧなんだからたまったもんじゃねぇぜ」
独りごちり、男も席を立った。
(竜種、か。……俺とチャリスの二人なら、中級の竜種くらいなら狩れっかなー?)
そんなことを考えながら、男たちは酒場をあとにした。
この二人、男の名はグライズ。そして相棒の名はチャリス。どちらもランクⅧの冒険者。そして、二つ名は『暴武の剣斧』。知らぬ者はいないほど、有名どころの冒険者である。
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