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この異世界冒険譚の主人公はオレじゃないだと?!  作者: 茶々丸ex
ダンジョン編
26/30

ルジュール

長い間空けてすいません。もう少ししたら余裕が出来ると思うのでこれからの投稿についても考えていきたいです。



※※ちょい甘※※

シンがアリシアの側に行くと赤髪の女性がものすごい勢いでシンの手を両手で掴んできた。



「そなたの強さに惚れた!今すぐ私と子を為そう!」



爆弾を落としてくる。シンは手を掴まれたまま凍ったように固まる。



「私はルジュール。元騎士だったが今は冒険者をしている。そなたほどの強者は今まで見たことがないぞ!」



「ちょ、ちょっと待ちなさい!イキナリなんて事を言い出すのよ!」



シンより先にアリシアがツッコむ。



「ん?なぜだ?強い男と交尾して強い子を為そうとするのは当然だろう?それに個人的にも強い男は好みだ」



「こ、交尾して強い子を作るのは当然じゃありません!」



「そんなことは無い。母上はいつもそのように言っていたぞ。強い男と結ばれて強い子を残すのは幸せなことだとな」



「考え方がぶっ飛んでますよ!」



「む、そうだな確かにイキナリ過ぎたかもしれん。ではまずこの男と交際してみるとしよう」



「駄目です!」



「何故そなたが拒否するのだ。そなたはこの男の何なのだ?」



「私はアリシア・ヴェルディベース。シンの主よ。だからシンと交際することは私が許しません!」



「主であったか。だがこのシン殿の交際まで支配することは主のすることではないのではないか?」



「うっ、確かに」



「では本人に聞いてみるとしよう」



ルジュールが今までずっと固まっていたシンの頬をペチペチと叩く。



「ハッ!今なんか現実離れした夢を見ていた気がする」



「シン殿。どうか私、ルジュールと交際していただけないだろうか?うまくいった暁には私と共に強い子を育てよう」



「へ?えっと何をおっしゃっているのですか?」



「私と交際して強い子を育てよう」



「あの、言っている意味が……」



「私と子を為そう」



「えっと……」



「今すぐしよう!」



ルジュールが飢えた獣のような目でシンを捉え、押し倒そうと飛びかかってきた。シンは人類最高峰のスピードを持ってこの急襲を避ける。



シンに避けられたルジュールはそのままドゴッと壁にぶち当たる。するとそのまま気絶してしまった。シンとアリシアに会うまでの戦闘でたまった疲労からか壁に頭をぶつけたまま気を失っている。



「えっと取り敢えず帰る?」



「……そうね」



シンがルジュールを抱え、迷宮の出口から宿へと向かう。部屋のベッドにルジュールを寝かせる。



「どうするの?」



「なにを?」



「ルジュールさんとお付き合いするの?」



「しないよ。アリシアの側を離れるわけにはいかないし」



「シンがルジュールさんとお付き合いしたいなら別にしてもいいのよ。私は安全な場所にいれば大丈夫だろうし」



「そういう問題じゃないだろ。最初から付き合う気はないよ」



「シンは……こういうことに興味あるの?」



「無いと言えば嘘になるかな」



2人の間には何とも言えない微妙な空気が流れる。互いに言いたいことはあるが言ってしまえば少なからず後悔してしまうことが分かっている。



しかしそれと同時に少し前に味わった甘い雰囲気も2人は感じていた。



「なら……私となら、どうなの?」



「何を言ってるか分かってる?」



「私だったら私を守りながらになるから問題はないよね?」



「問題はないけど……オレとアリシアは主従だろ」



「けど、キスしたじゃない」



「あれは違うだろ」



少し罪悪感を感じながらも素っ気なくシンはアリシアを否定する。だがアリシアは変わらずにシンにその大きな瞳を向け続けている。



「私は……私はシンのこと好きだよ。シンの隣にいたいの。シンの背中を守りたい。ずっと一緒に、笑っていたい」



突然の告白。アリシア自身はまだ言うべき時ではないと考えていたのに。ルジュールの登場によって何か思うところがあったのだろうか。



「アリシア……」



「シン……」



2人は見つめ合い間の距離はジリジリと縮まっていく。シンがアリシアの頬に手を添えたとき、



「私も混ぜてくれ!」



いつの間にかルジュールが目を覚ましていた。



「「うわ!」」



アリシアとシンは慌てて距離をとる。



「そうかそうか、アリシア殿もシン殿に懸想していたのだな」



「えっ、う、うん」



「気にすることは無い。強い男は複数人の女子を囲うものと昔から決まっている」



「そうなんですか?」



「歴史に名を残してきた英雄にはそれぞれの花園を作っていたと言うのは聞くだろう?」



「確かにそういう話は聞いたことがあります」



「ならばシン殿が花園を作っても何の問題もない!ゆえに!私も混ぜるがよい!さあ!」



「やっぱり駄目!シンは私の……ってあれ?シンは?」



「シン殿がいないぞ。いつの間にか出ていったようだ」



部屋の窓は開いている。恐らくシンは窓から出ていったのだろう。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



街には月の光が降り注いでいる。

昼の賑わいと打って変わって静まり帰った街の一角にある宿の上にはシンがいた。



「全く。どういう話してんだよ」



シンはルジュールのテンションがおかしな方向に進み始めたころに厄介事を予感して窓から飛び出し、屋根の上に避難していた。



今日はいろんなことがあり過ぎた。デーモンとの戦闘にルジュールとの衝撃的な出会い。宿に帰ればアリシアから告白され、いい雰囲気になったらルジュールが目を覚ます。そしておかしな話に発展していった。



元日本人であるシンにとって複数の女性と付き合うことは現実離れしている。アニメやマンガ、ラノベとかでは見たことがある。けれどそんなことが実現するとは到底思っていなかった。



(アリシアのことは好きだ。主としても1人の女性としても。だけどルジュールさんは綺麗な人だけど……ちょっとイッちゃっているよな、あれは)



シンは静かな夜の中で改めて自分の気持ちを振り返っていた。





ここまで読んでくれてありがとうございます。


次話は日曜日に投稿しようと思います。


よければ評価等、感想よろしくお願いします。

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