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この異世界冒険譚の主人公はオレじゃないだと?!  作者: 茶々丸ex
ダンジョン編
25/30

VSデーモン




「きゃあああああ!! 」



女の人の悲鳴がダンジョン内に響いた。先程の揺れと今の悲鳴が無関係ではないことに気づいた2人は急いで悲鳴の発生源へと向かった。


そこで見たのは、シンの3倍ぐらい大きい山羊の頭を持つ魔獣、デーモンに、今にもデーモンに殺されそうな赤髪の女性だった。



赤髪の女性は騎士のようで、身に付けている鎧の見栄えもよく、使っている素材も良さそうだ。しかし、デーモンの攻撃を受けたのかところどころに傷と凹みがある。赤髪の女性の体力も限界に近いようで、剣を杖がわりにして立つのがやっとなようだ。



デーモンが動けない赤髪の女性を潰そうと、剛腕を振り下ろす。が、シンがそれを許さない。鍛え上げられた俊足をもって赤髪の女性とデーモンの拳の間に割り込む。



すぐさま千穿を抜剣し、拳を受け止める。シンの身体に衝撃が走るが後ずさりするだけで見事に耐えきった。



シンは赤髪の女性を背に、デーモンの迎撃を開始する。



「アリシア!この人を連れて下がって!」



アリシアに指示を出して戦闘に集中できるように赤髪の女性を下がらせる。アリシアが来られるようにデーモンを下がらせる。



「風龍の咆哮!」



ダメージよりも圧力を重視したシンの風魔法でデーモンの巨体を5~6メートル強制的に動かすことに成功する。シンは下がったデーモンとの間をすぐに詰めることでアリシアにデーモンが近づかないようにした。



デーモンの背後を取るべく、シンは地面を這うように疾走する。デーモンもその狙いに気付いており、迎撃すべく拳を振るう。地面に衝突した拳はダンジョンを揺らし、シンの行動を強制的にキャンセルさせる。



「厄介だな!それなら!」



デーモンの起こす振動は地面を激しく上下させることで足場を不安定にさせ、バランスを取るべく立ち止まってしまう。これは無意識に身体が反射してしまうので足を止めざるを得ない。例え足を止めなくても揺れる地面によってコケる可能性や三半規管にダメージが入る可能性があるため意味がない。



だからシンは洞窟のようなダンジョンの形状を利用し、三角飛びの容量で壁、天井を蹴ってデーモンの背後に回る。一瞬にして背後を取られたデーモンは裏拳を出すが既におそい。ドドドドと4回シンがデーモンの左肩を突き刺す。



「貫けないのか。流石はデーモンだな」



シンの放った4連突きは確かにデーモンの左肩に当たったが強靭な皮膚と高密度の筋肉によって貫通はしなかった。



「けどこれで左腕は満足につかなくなったな」



デーモンは悔しさと怒りが混同したような表情を見せると咆哮を上げる。するとその咆哮に共鳴するかのようにデーモンの肉体も震えながら筋肉が肥大し、1周り大きくなる。



シンは千穿に風の魔力を通して、本来なら切断に向かないレイピアに切れ味を持たせる。



「肉が硬いなら少しずつ削いでいく」



シンは先程デーモンの背後をとった三角飛びを連続で行い、シンがデーモンとすれ違うたびにデーモンの皮膚には幾重にも傷がついていく。



デーモンにはシンのスピードが見切れず、なす術ない。



「シン!援護する!炎雷の円刃(チャクラム)



アリシアが学院での決闘にも使った火魔法と雷魔法の融合(シンクロ)魔法を放つ。3年間の鍛錬よって発動にかかる時間も短く、威力も増えている。



シンはアリシアが魔法を放ったのを確認するとデーモンの目の前を横切ることでデーモンの視界を遮った。シンに視界を阻害されたデーモンはアリシアの魔法には気付かずに直撃する。



アリシアの魔法はデーモンの胸部に焼き切ったような大きな傷跡をのこした。デーモンは痛みに堪えるように更なる咆哮をあげる。



確実にダメージを与えていることが分かったところでシンとアリシアは改めて戦闘に集中する。その時、デーモンに異変が起こる。



「デーモンの様子がおかしいわよ」



「今までとは違う感じの咆哮だ」



デーモンが全身から黒い霧を出しながらまるで地の底から響いてくるような獰猛な声で叫ぶ。デーモンの赤色をしていた皮膚はどんどん黒ずんでいく。筋肉の筋が見えるほど筋肉は膨張し、デーモンはダンジョンの天井につきそうなぐらい大きくなった。



「なんだよこれは……さっきより格段に迫力が増してるぞ」



「分からないわ。けど強くなっているのは確かね」



2人とも目の前で起きているデーモンの異変が分からない。



「それは狂化よ!」



突然後ろから凛とした声が聞こえる。その声の主はさっきシンが助けた赤髪の女性だ。



「長い間ダンジョンにいたり、ほかの生物をたくさん殺した魔獣ほ狂化することがあるの。狂化した魔獣は普通よりも格段に強くなっているし、何より見境がなくなる。だから早く逃げないと死ぬわよ!」



赤髪の女性は2人に逃げるように促してくる。彼女の言うように狂化した魔獣は強くなる。恐らく今のデーモンはシンのステータスを凌駕しているだろう。



だがそれは普通の(・・・)シンのステータスのことだ。シンにも格段に強くなる方法がある。



「アリシアどうする?」



「シンに負担が大きいけど……やってくれる?」



「了解!『ステータス反転』」



シンは鍛錬により変身にかかる時間を大幅に短くすることに成功している。10秒もかからずシンは翡翠の光を放つエンシェントエルフへと変身する。



「え?今何をしたの?さっきの人は?」



赤髪の女性は突然シンの風貌が変わったことに困惑している。何も知らない人が見たら不思議でたまらないだろう。



「ここで見たことは秘密にしてくださいね」



アリシアは赤髪の女性がいるところまで下がる。もう勝負に自分は必要がないというように。



どす黒くなったデーモンはエンシェントエルフに変身したシンに向かって突撃する。



「危ない!」



赤髪の女性は思わず目を閉じる。



「大丈夫ですよ。もう終わりますから」



隣でアリシアが誇らしげに言い切る。



黒くなったデーモンの突撃は確かにシンに当たっていた。だがシンは人の域を超えた力を持って正面から受けきっていた。デーモンも岩のように動かないシンに驚きを隠せない。



デーモンは半ば意地でこのまま力で押し切ろうとする。シンは受け止めていたデーモンの顔を思いっきりぶん殴った。デーモンが壁に打ち付けられる。自分の半分にも満たない体格のシンによって自身が吹っ飛ぶなんてデーモンにとって初めてのことだろう。



その後の展開ははやかった。壁に打ち付けられたデーモンにシンは容赦なく殴り続けた。デーモンも抵抗するがほとんど意味をなさない。最後にシンが貫手でデーモンの胸を貫く。デーモンの全身から力が抜けて大きな魔石を残して消える。



狂化したデーモンはレベル90はあった。そうなれば人類最高峰の金剛(アダマント)級じゃないと倒せない。だけどエンシェントエルフに変身したシンはもはや人の域を超える存在となる。人間のレベルは100まで。シンの父ハルトもレベル100で止まっている。



エンシェントエルフに変身してもステータスに表示されるシンのレベルは変わらないがステータスを見るとレベル120ぐらいはある。



史上最強と謳われたエンシェントエルフ。元々の数の少なさと繁殖能力の低さでシン以外の血筋は全滅しているがその栄光は今現在シンが示している。



先程からアリシアの隣にいる赤髪の女性が表情を固めたまま唖然している。シンが変身を解いて魔石を回収し、アリシアの側に行くとものすごい勢いでシンの手を両手で掴んできた。



「そなたの強さに惚れた!今すぐ私と子を為そう!」





ここまで読んでくれてありがとうございます。


次話は私生活で忙しくなりそうで多分月末になると思います。すいません


よければ評価等お願いします。

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