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——自作自演か? 認めてるようなものだな。
——颯は口出さないで。
——みんな私がやったって疑うならそれでいいよ。
——やっぱ金か。パパ活に手を出すほどだけある。
——颯こそ。「私たちで決めた」じゃなくて、「独断で決めた」って書き直せば?
——ねぇさっきから何言ってるの? パパ活って? 嗣乃、そんなことやってたの?
三人のメッセージが止めどなく飛び交っている。
——言い争いはよそう。今は我慢だ。しばらく大人しくするしかない。
自分の卑怯さをつくづく痛感する。最初からこれまで、問題を先送りにしているに過ぎない。
——しばらくっていつまで?
伊吹が返信してきた。
——なんとも言えない。最悪、仕事は辞めることになるかもしれないけど仕方ない。世間の興味が薄れるか、犯人が名乗り出るまで。
——インターネットがなくならない限り完全な社会復帰は無理じゃない? たかがひき逃げの目撃者。しかも十年も前のことなのに。
——急に話し出して、どうかした? 私に隠してること、パパ活だけじゃないってこと?
佐環は嗣乃の素性を知らなかったようだ。彼女が告発者なのではないかという不信感を持ち始めている。
——割り込んでごめん。颯は俺を疑ってるけど違うから。データをコピーするチャンスがあったとすれば、車で仮眠を取っていた時ぐらいだろ? 怪しい動きをしていたら同乗していた勝矢が気づくはずだ。
——幼馴染の勘として、伊吹は嘘をついていないと思う。真相アカウントの持ち主は自分を含めた全員の情報を晒した。警察ではなく世界中へ向けてだ。僕たちに対して相当な恨みを感じる。
間髪入れずに彼の発言をフォローする。颯が寝た後、巴海沙についてスマートフォンでやり取りしたことは言わない方がいい。
アクションカメラから事故映像のデータをコピー方法はいつくかある。時間が限られている中、スマートフォンとカメラをケーブルで接続しダウンロードするのが現実的だ。ただ、ひき逃げ事故は偶発的なことであり、前もってケーブルを用意していたとは考えづらい。
それでも、裏切り者は僕の名前を挙げない。
——ひき逃げの時効って十年なんでしょ? あと一週間しか日にちがない。この映像が手がかりとなって犯人まで辿り着いたら奇跡だよ。裏切り者は犯人がどうなろうと問題じゃなかった。勝矢の予想通り、ターゲットは私たちだったのかもね。
——つまり、被害者のことも救うつもりなんてなかった。しかも裏切り者はかなり早い段階で決断していた。そう解釈していい?
——好きに捉えて。
——分かっていたならすぐにでも伝えてほしかった。私はあなたを信じてきた。あなたがずっと黙り続けていたのは、あの事の話題に触れるとフラッシュバックして辛くなってしまうからだって思ってた。なのに実際は傍観者でいた。これで合ってる?
——佐環は変わらないね。いつも自分が正しいと意見を曲げないところが。
嗣乃のメッセージを最後にアプリを閉じた。
痛みを感じ、首を回す。足元に一筋の白い明かりが伸びていた。閉め切られていないカーテンの隙間から漏れた月の光。




