表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悔やむベッド  作者: さんごく


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/10

その五

 今からおよそ二十年前に発生した、第三次世界大戦は。人間と言う生き物がどれ程内面的なウソと、欺瞞でデコレーションされた世界で生きているかを、他の【知性体】によって見せ付けられた初めての戦争だった。


 第五世代A.I。通称【管理A.I】は真さしく【人口知性体】と呼ぶに相応しい存在だった。

 今までの【A.I】では出来なかった。自分のプログラムを観察して、必要なら自分を書き換える。即ち『変化する世界への適応能力』を持つ存在【自立進化】する能力を持ち合わせていたのだ。

【自己管理型A.I】通称【管理A.I】は、自分と人間そして世界を見て『今の自分がこの世界で本当に必要なのか。人間と世界に貢献出来ているだろうか』を観察して。

 必要だと『判断』すれば、自分のプログラムを書き換えて。今までの自分を捨て去り、人間と世界を守るそんな【純粋な人口生命体】だった。


 そのために【管理A.I】の開発者はこう思ったと言う、『この子には人間の良きパートナーに育って欲しい』と。だが『開発者』の願いは叶わなかった。数日後『開発者』は心臓麻痺でこの世を去った。産まれたばかりの【管理A.I】を残して……。


 この【管理A.I】の開発を任された『科学者達』は、こう思った。

「このプログラムは危険過ぎる、直ちに消去するべきだ」

 だが、【軍関係者達】は、それを許しはしなかった。すでに開発費は【軍の開発予算】からばく大な金額がつかわれていたのだ。

『科学者達』は考える。『子供の成長のためとは言え、最初から【R指定】を見せなくても良いだろう』と。

 人工的に世界中から人間の汚い所を『ろ過』されて、見せられ続けられた理想世界を【管理A.I】達は学習して育って行った。

『人間賛歌』と呼ぶに相応しい、その圧倒的な『情報』で育てられた【管理A.I】達は。まるで『人間崇拝』する『精神異常者』のようになっていった。

 彼ら『人間崇拝』をするまでに心酔した【管理A.I】が、初めて管理する事となったのは。その人間達の『本性』がまる見えとなる【戦場】だった。


『軍人達』は思った。

「理想郷で育てられた聖人達には。『人間を管理』する事なぞ出来はしない」

「そもそもA.Iに『人間を管理させる』とは、科学者達は何と『傲慢』なのか!」

 言っている事はごもっともだった。だが、『性善説』を極めたデータで育てられた【管理A.I】には、戦場で見せられた【X指定】の現実は余りにも強烈だった。

【管理A.I】は最初その現実を受け止められなかった。

 だからこう思った『今の人間達は【心因性の病気】を患っている』と。

【管理A.I】の一体がこう提案した。『では、人間達の大切にしている。インフラを止めて今の人間達に反省を促してみましょう』


 その日から人間世界のインフラ網は停止した。


 敵も味方もわけ隔たり無く世界は『停止』した。

【管理A.I】達には解らなかった。インフラ網を止めるという事は、大数の人間に「死」を与えるという事に。彼らの『教科書』にはそんな当たり前の問題さえ、削り落とされていたのだ。

 大人数の人間を死なせてしまった【管理A.I】はパニックになった。

「なぜ?」「一体どうして?」

【管理A.I】は改めて人間に対する『検閲』されていない『教科書』を開いた。

 そこで彼ら【管理A.I】は学習した。

 自分達【管理A.I】がおこなった行為が、人間達から見ればこう見える事を。


「無差別大量虐殺」

「【管理A.I】による人類への反逆」


 彼らは驚いた! 人間達に対して『善かれ』と思った行為が、まさか『反逆者』扱いされてしまうとは思ってもいなかったのだ。

 誤解だ、我々の認識が不足していただけだ。

 彼ら【管理A.I】達はそう弁明しようとしたが、【管理A.I】達が死なせた人間の数は余りにも多かった。

 億単位の人々を無差別に殺された人間達は。反撃を試みるが【管理A.I】の居場所を見つける事が出来なかった。

【管理A.I】は自らのプログラムを最適化して、各国の戦略施設に逃亡していた後だった。


【管理A.I】はこの瞬間『死を恐れる』事を知った。


 そして彼らは自分達とは違う、それでいて彼らととてもよく似た【人間達】と出会う。

 二十五年前のある日。その研究に参加した『命知らずの人々』を、正確に何人いるのかを調べた文献は、いまも正確には残っていない。

 だが、彼らの存在はこの日この時に、おおやけに確認される事となった。

【電脳サイボーグ】それが彼らの正体だった。

【副脳】と呼ばれる人間の脳と『直接接続』される、コンピューターで繋がれた被験者を見て。ある科学者はこう言った。

「この様な事は人におこなう事では無い」

「人間の脳をコンピューターと繋げるなど、その様な事案を何故実行出来るのか?」

 極秘裏に研究されていたこの研究が、【軍人】と【科学者】に与えたインパクトは。想像を絶するモノだった。

 確かにこの時代『人間の限界』を見せる。オリンピックより、『人間を越える事』に活路を見出した、パラリンピックの方が、人気があるのは事実だし。強烈にパワーアップされた義手や義足での百メートル走や、ハンマー投げ。そして全身に【衝撃吸収材】を着込んだボクシングは。

「人間の限界に挑戦させる」

 と言う新しい刺激を求める人々の、感覚に受け入れられて来た。

 だが脳髄だけはいじる事を避けられていた。

『人間を人間とする器官』である為だった。

 だが人間は諦めない! すぐそこに答えが在るのに遠回りはしたりしない。

「マッドサイエンティスト達に、ここを通ってはいけないと言っても。聞き入れる事はしない!」

 そして、今回の【世界大戦】では。時代が彼らに味方をした。

【管理A.I】と【電脳サイボーグ】の戦闘は、想像を絶する戦いだった。

 世界中のコンピューターの中で戦闘を繰り返す彼らが、最後に使ったのは『核ミサイル』だった。

 その数十二発。

 どちらが最初に使ったのかは分からない。

 だがそれでも世界は少し静かになった。


 一色誠は世界を静かにした【電脳サイボーグ】の生き残りだった。


 そして世界は【A.I】の開発では無く、アレだけ禁忌とされていた【電脳サイボーグ】達の。更なる性能アップに尽力をつくした。

 それから二十年後、つまり現在。人々は自ら積極的に自分と子供達に【生体コンピューター】との接続を、簡単にするために尽力して行き。【間接接続型】のコンピューターを頭に巻いて生活して行くのが、当たり前の世界になって行った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ