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聖槍の光、魔杖の夜  作者: 望月華月
1章 グレイスロウ
21/61

17話 調査再開②

今日もちょっと早めの投稿です。少し短め?

 47階層の調査は、昨日に引き続き慎重に進められていた。

 残りは四日。だが、体感ではそれ以上に長く感じる。今までの地図は全く参考にならない為少しずつ前へと進む。

 通路の先を警戒しながら進み、罠を避け、避けきれない戦闘をこなしていく。

 以前とは明らかに違う密度で現れるモンスターだったが四人は連携を崩すことなく、それらを捌いて素材も回収していく。

 そうしてようやく下層へと続く入口を発見したところで、その日は同階層の安全地帯へ引き返す判断が下された。

 一行は安全地帯に戻り、休息をとる。

 そして翌日、残り三日。昨日記した最短ルートを選び、四人は48階層へと降りた。

 一日をかけての調査。日が落ちる直前、なんとか安全地帯を見つけ出し、その場で野営の準備が始まる。

 

 火が灯り、最低限の食事を済ませ、ようやく一息ついた頃。

「……やっばいわぁ……」

 ライラがその場にしゃがみ込み、膝を抱えながら項垂れた。

「全然知らない場所になっちゃってる……」

「だなぁ」

 リュカも苦笑する。

「前まで中ボスだったマンティコアとかキメラが、普通にそこら辺歩いてるし」

「……それをほぼ一撃で倒せるあんたたちって何なのよ……」

 顔を膝に埋めたままの声に、思わず小さな笑いがこぼれる。

 

 ユリウスが火を見つめながら言う。

「しかしトラップも増える一方だが……ライラだけでなく、途中からセラフィナも罠の察知ができるようになったのは大きいな」

 その一言で、ライラが勢いよく顔を上げた。

「そうなのよ!!」

 満面の笑みでセラフィナの方へ身を乗り出す。

「セラフィナったらすごいのよ!あの微妙な違和感に気づいてさ、ここ危ないかもって言った場所、ほぼ全部当たりで――」

「っ……あ……そのへんで……」

 言葉を遮るように、セラフィナが顔を真っ赤にして視線を逸らす。

 その様子に、リュカはふっと笑った。

(本当に、よく表情が出るようになったな)

 最初に会った頃とは別人みたいだと、しみじみ思う。

 

 そんな穏やかな空気の中で、ユリウスがふと思い出したように口を開いた。

「そういえば、ここ数日はセラフィナの魔力の乱れも落ち着いているように見えるな」

「ああ、それ俺が調査の合間に治してる」

 あまりにもあっさりと返された言葉に、セラフィナがぱちりと目を見開く。

「え……?気づかなかった……」

「動きながらでも治癒魔法は使えるからさ。少しでもしんどくない方がいいだろ」

 当然のように言い切るリュカに、ライラがぼそりと呟く。

「……またリュカがおかしなこと言ってる……」

 ユリウスも額に手を当てるようにしてため息をついた。

 

「リュカ……普通はな、動きながら人に治癒魔法なんて使わないんだ」

 

 その言葉に、一拍の間。

「……えっ」

 リュカの表情が固まる。

「もしかしてヤバい……?」

 三人が同時に頷いた。

 その事実がじわじわと染み込んでいく。

 セラフィナが、ふと思い出したように小さく声を上げる。

「……そういえば、はぐれキメラの時も……使ってた……」

 

「あぁー……」

 リュカはそのまま天を仰ぎ、両手で顔を覆った。

「ヤバい……これ誤魔化せるかな……」

「………………」

 ユリウスは少しだけ間を置いてから、ぽんと肩に手を置く。

「……何かあれば、俺に言え。できるだけ何とかしてやる」

 その声は、慰めというより、覚悟を含んだものだった。

 それでもどこか可笑しくて、ライラがくすりと笑いを漏らす。

 セラフィナも、少しだけ肩の力を抜いた。

 焚き火の火が、静かに揺れる。

 軽口と、ため息と、小さな笑い声が混ざり合いながら、夜はゆっくりと更けていった。

早く日常に戻りたい…

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