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聖槍の光、魔杖の夜  作者: 望月華月
3章 エルドリア王国
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100話 再びガルディア連合国へ


「リュカ!!」


 早朝、まだ夜も明けきる前にユリウスがリュカの部屋に飛び込んできた。

 あまりにも慌てた様子にリュカも驚いて飛び起きた。 

「どうした!?何があった?」


「ガルディアで、ファイフさんが刺された」

 

「……は?ファイフさんが?なんで?」

 全く予想外の話が頭の中に入って来ず、リュカは間の抜けたような声を出した。ユリウスがこんなに焦った表情をしている事から本当の事だと察するが、あんなに強くて聡い人が刺されたという事が未だ信じられなかった。

 

「詳細は分からん。何とか一命は取り留めたとの事だが……」

「良かった……この事、ライラやセラフィナには?」

「まだ伝えてはない」

「聞いたら二人ともすぐにでもガルディアに行きそうだな……馬を早駆けさせても二日以上かかるぞ」

「飛竜を出そう。あれなら半日で着く」

「……えっ」

「俺も一体所有してる。レンティス兄さんに今、部下の二人に動いて貰えないか頼んでいる所だ」

「そうだった……レンティスさんは今何処か行ってるんだったな」

 ユリウス達がエルドリアに帰ってきて既に一週間は過ぎていた。レンティスは飲みに飲んだ次の日には元気にユリウス邸を後にしている。

「お二人は休暇中で申し訳ないんだがな……」

 

 そうこう話している間に、ユリウスの元へ水色の伝書鳥(メッセージバード)が降り立った。直ぐさま開封して中身を確認していく。

「……動いて貰えるそうだ」

「マジか……こんな個人的な事で動かして良いのか飛竜部隊……」

 

「……どうも、個人的な事では無くなりそうだぞ」

 

 リュカの脳裏に嫌な仮説が浮かび、背中に冷たいものが走った。

「…………まさか……洗脳状態の人がファイフさんを?」

「その可能性が高いそうだ。現地に行って直接確認して欲しいと兄さんから依頼された」

「レンティスさんが言ってた通り、洗脳の魔導具がもっとあったって事なんだな……」

「そういう事だ。……リュカ、お前は出来るだけ一人で行動するなよ」

「……分かった」

「二人には伝書鳥を飛ばしておく。一度研究所へ寄ってリシェルさんに話をしておこう。その後飛竜の宿舎に行くぞ」

 

 リュカ達は研究所へ寄ると、ソファに寝ていたリシェルを叩き起こし、しばらくパーティでガルディアへ行く事を告げた。

 話を聞いたリシェルは真剣な顔をして、金庫から改良した魔導具を取り出して幾つか手渡される。

「……まだ完璧じゃあないけど、無いよりマシだと思うから。ファイフ君にもよろしく伝えてくれよ」

「ありがとうございます。依頼の途中なのにすみません」

「良いんだよ。こっちはこっちでセリオン君やレンティス君からの報告書を精査しておくさ。改良型にも期待しといてよ」

 

 リシェルに見送られ、研究所を後にしたリュカ達は飛竜の宿舎へ向かった。

 そこには既にドランとゼノンの姿があり、飛竜に餌を与えている所だった。

「あ、二人共!隊長から話聞いたっすよ!」

「まだ休暇中なのにすみません」

「いいっていいって。もう十分休ませて貰ったからね。これ以上休むと身体が鈍っちゃうよ」

「なんならガルディア行くほうがエルドリアに居るより休暇って感じするっすよね」

「そうそう。時間空いたらボードウェルまで飛んじゃおうかな。歌姫の歌聞きに!」

 これ以上気にするなというように二人は笑ってリュカ達の肩を叩いた。


「ユリウス!さっきの伝書鳥って……!!」

 余程全力で走って来たのか、息を切らしてライラが到着した。その顔色は悪く、眉間に皺を寄せていた。

 その後ろからセラフィナも現れる。

「これ……本当なの?」

 ユリウスが小さく頷くと、セラフィナは息を飲んだ。

「……伝えた通り仕事もするが、現地に着いたらまずはファイフさんの無事を確認しよう。リュカはドランさん、セラフィナはゼノンさん、ライラは俺が飛竜に乗せて行く」

「分かった」

「よろしくお願いします」

「了解……」


 ライラがふと何かを思い出したように顔を上げてユリウスへ視線を向けた。

「……ん?二人乗り、出来ないんじゃ無かったの?」

「それはまぁ……あれだ。訓練したからな」

 

「……じゃあせめてセラフィナをユリウスが乗せた方が良くない?」


 ライラがそう提案をすると、勢いよく振り返ったドランとゼノンが鬼気迫る様子でライラに詰め寄った。

「いやいやいや、ライラさん、俺らまだ死にたく無いっすからね!」

「マジでそう!弟君でギリだからね!!」

「……でもセラフィナは……」

「ライラ、私大丈夫だよ」

 リュカはおもむろに魔法鞄から毛布を取り出すとセラフィナにふわりと掛ける。

「……俺が乗れたら一番良かったんだけどな」

「飛竜は仕方ないよ。でもこれありがと」

 そのやり取りを見ていたゼノンが納得したように頷いていた。 

「……あぁー……そういう事。リュカ君安心してね。俺婚約者持ちだから」

「はい。セラフィナをよろしくお願いします」

 飛竜の操縦者達がそれぞれ飛び乗ると、後ろに背もたれ付きの鞍が取り付けてあり、リュカとセラフィナもそこに座った。

「早く行こう」 

 セラフィナにも急かされ、ライラはあまり納得いかないような顔をしていたが、渋々ユリウスの後ろに飛び乗った。

二人乗り、実は出来るらしいよ(笑)

今取り付けられてる鞍は遊園地の乗り物の椅子みたいなイメージですね。

再びガルディアへ。

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