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聖槍の光、魔杖の夜  作者: 望月華月
3章 エルドリア王国
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閑話 ライラとセラフィナの内緒話※

女子会の内緒話。

ほんのり性的な内容もあるので苦手な方はご注意ください。

 リュカ達とは研究所前で別れ、セラフィナとライラはギルド前の広場までやって来ていた。

 一緒にご飯を食べながらゆっくり話したいという事で、今日はライラの家でお泊まり会をしようと決まり、食料の買い出しに来たのだ。

 あれやこれやと食べ切れないぐらいの量を買い込んで、住宅街が広がる中央エリアの西寄りに建てられている、女性冒険者専用の二階建て集合住宅の一角がライラの住居だった。

 二階の角部屋に位置しており、扉を開くと広めの台所や風呂が付いていて、内装も白いレンガの壁が柔らかい印象だ。

 

「台所の奥の部屋では靴脱いで上がって!床のどこでも座れるようにしてるから」

 案内された部屋に靴を脱いで上がると、床にフカフカしたアイボリーの大きい布が敷かれていて、背の低いテーブルがその中央に置かれている。

 窓際に大きめのベッドが置いてあり、薄いピンク色のシーツがかかっていて、柄のついたクッションと、赤い目のうさぎらしき動物のぬいぐるみが並べられていてとても可愛らしい部屋だった。

「なんかライラらしい部屋だね」

「そう?柄じゃないって言われると思ってたわ」

「優しい感じで安心する」

「もぅ……セラフィナは私を喜ばせる天才ね!」

 あははと楽しそうに笑い、購入した食料をテーブルに並べていった。


 二人は敷布の上に座り、炭酸水で割ったはちみつレモンを入れたグラスを合わせて再会を祝う。

 買ってきた揚げ鶏や串焼き、マリネサラダや柔らかいパンに舌鼓を打ちながらお互い何をしていたかを報告しあう。

 そして少しだけお酒も飲もうと、グラスにジンと呼ばれる蒸留酒を入れた。

「爽やかで飲みやすいね」

「私ははちみつ少なめでも良いかも!まぁ度数高めだから飲み過ぎ注意だけどね」

「私もあんまり飲むとまた寝ちゃうかもしれない……」

「セラフィナはまだ可愛いもんよ……ちょっと聞いてくれる?私の醜態を……」

「醜態……?」

「あのね……」


 ライラはガルディア連合国に着いた日にレンティスとご飯を食べに行った話をする。

 途中までは良かったのに、酒を浴びるように飲んでしまい、自ら酷く絡んでしまった事を話すと、セラフィナが驚きと戸惑いの表情を浮かべていた。

「凄い……自分から口付けちゃったの……?」

「完全に酔っ払い過ぎたの……ホント恥ずかしいわ……」

 その後レンティスと想いを交わし、恋人同士になった事を報告すると、セラフィナが納得したように頷いていた。

 

「そっか。だからレンティスさん、お見送り来てって言ってたんだ……あれ?でもさ、もうお付き合いしてるんだよね……?」

 どう見てもライラへアピール中にしか見えなかったレンティスの行動にセラフィナは首を傾げる。

「うん……一応……」

「一応とは……」

「レンティスさん、ずっとあんな感じなのよ……」

「わぁ……」 

「もうさ……あの綺麗な顔であんな感じに迫られたら無理じゃない?絵になりすぎてこっちがキャパオーバーだわ……」

 

「そうなんだ……そういえばライラもちゃんと好きなの?レンティスさんの事」

 

「んんんっ………………うん。好き……なんだけど……顔がタイプ過ぎてさ……しかもずっと紳士的でさ……気遣ってくれてさ……話してて楽しいしさ……」

「沼(ユリウス)のお兄さんだもんね」

「そうなのよね……抜け出せなくなっちゃってどうしよう……」

「抜け出せなくなりそうなのがライラは嫌なの?」

「ううん……嫌じゃないから困ってるのよ……」

 しおしおとテーブルに突っ伏したライラを見てセラフィナは小さく笑う。

 

「ふふふ……なら良かった。なんか凄い人だし、ライラと合ってる気がする」


 セラフィナの言葉にライラは不思議そうに顔を上げて首を傾げた。

「……合ってるって?」

「ライラが無茶しても守ってくれそう」

「無茶なんてしないわよ」

「それ嘘。リュカに聞いたの。新人の子庇って死にかけてたって」

「やだ、聞いちゃったの!?」

「うん。だからあのぐらい強い人だったら安心かなって。それにライラと並んでても見劣りしないし」

「いや、レンティスさんがキラキラ王子様過ぎない?」

「ライラも綺麗だから!キラキラしてるから!」

「いや、それは無いわよ」

「ううん。そこ譲れないからね」

 

 ぷいっとそっぽを向いてしまったセラフィナをライラは目を丸くして見ていた。

 

 自分の見た目をそんな風に思ってくれてる事も、心配してくれてる事も胸が震える程嬉しくて、ライラは思わずセラフィナに抱きつくと一緒にふわふわの敷布の上に転がった。

 

「ふふっ、ホント、セラフィナってば可愛いんだから!」

「ライラとリュカにしか言われた事無いよ」

「ほー……リュカには言われてるのね」

「あっ……」

 少し気まずそうに顔をほんのり赤くして視線を逸らしたセラフィナにライラは更に迫っていった。

「ほらほら、白状しなさい!どこまで進んじゃったの?」

「え……と……あの……」

 

「…………最後までいったのね?」

 

 ブワッと音がしそうな程一気に真っ赤になったセラフィナは両手で顔を隠して小さく頷いた。


 

「やるわねリュカの奴……で、どうだった?痛くされなかったの?」

 しばらく顔を隠して唸っていたセラフィナがポツポツと話し出した。

「……うん……凄く……気を使ってくれて……」

「ほぅほぅ、それで??」

「……痛くないようにって……ずっと優しくて……」

「うんうん」

「……なんか……なんかね、思ってたより大っきくてね……凄くビックリしてたんだけど……」

「大っきいんだ……」

 

「……でもね……やっぱり優しくて……全然痛くない訳じゃないけど、それ以上になんか……色々満たされたと言うか……」

 

「へぇ、リュカって本当にセラフィナの事大好きなのねぇ……」

 

「そ……そうなのかな?」

「そうでしょ。嫌な思い出が一つも無かったってことだもん」

「うん……そうかも……」

「良かった。リュカを絞めずに済んだわねぇ」

「えっ?」

 寝転びながらライラはニヤリと笑い、天井に向かって拳を突き上げた。

「少しでもセラフィナを傷つけてたらタダじゃ置かなかったわよ」

「それは大丈夫だったから……」

 

「うんうん。それにしてもセラフィナに先越されちゃったなぁ」

「えっ?どういうこと?」


 少し照れ臭そうに笑って天井を見上げたままのライラは目を瞑り、ポツリと零した。 

「……私ねぇ、こんな語ってるしめっちゃ経験豊富に見られるんだけど、実は最後までいったことなくてね……」

 

「そうなの?」

「うん。もう少し若い時にお付き合いしてた人もいるんだけど、いざ抱かれるかもって雰囲気になった時に、相手に触られてるととにかく痛くてさ。止めてって言っても止めてくれなかったからムカついて思いっきりぶん殴っちゃったのよね。悪い事したわぁ」


「それはライラ悪くないと思う……」

 

「んでなんとなくそっから男女の仲になるの避けちゃって、特に何も無く今に至ってるから」

「そうだったんだ……その人とはその後どうなっちゃったの?」

「ぶん殴った後すぐ別れて向こうは飲み屋の女の子ととっくに結婚しちゃったわ」

「ふーん……でも別れて良かったと思う。その人、ライラの事大事にしてくれて無いもんね」

「まぁそうだったかもしれないわねぇ。私も今思えばそこまで好きじゃ無かったのかも」

 

「ライラが傷つくような事あったら私だって許さないからね。何かあったら燃やすから」

 

 真剣な表情で頷いたセラフィナに、ライラはそっと手を伸ばして頭を撫でる。撫でる手が優しくて、擽ったそうにセラフィナは目を細めていた。

 

「えぇ?嬉しいわ。私結構セラフィナに好かれてたみたい」


「うん……好き」


「ホント?じゃあ両思いね。私も大好きよ!」


 クスクスと笑いあっていると、ライラがセラフィナの腕に細身のバンクルを見つけた。


「セラフィナ、あまり装飾品つけて無かったから前から気になってたんだけど、可愛くて良いわね、それ」


「これ?リュカに貰ったんだ」

「もしかして髪飾りも?」

「うん。可愛くて嬉しかった」

 

「……ね、ジャスミンの花言葉って知ってる?」


「ううん。知らない……」

「『優美』『愛らしさ』『幸福』みたいな感じなんだけどセラフィナにピッタリね」

「そうかな……?」

 

「ふふっ、後はね、『あなたと一緒にいたい』っていうのもあるのよ」

 

「えっ……」

「狙って贈ったんだとしたらやるわねアイツ」

 あまり装飾品には詳しく無いと言っていたから、きっと偶然だろうとは思う。そう思ったが、偶然でもその気持ちに改めて胸が熱くなった。

 リュカにこの事を伝えたらどんな反応をするんだろうと少し想像し、恥ずかしそうに顔を覆ってしまうかもしれないなと思うと、セラフィナは口元が緩んでしまう。


「あ……そういえば、ライラの話も聞きたい。人前であんなにアピールしてる人って二人だとどんな感じになるの?」

 好奇心に満ちた瞳でライラの方へ視線を向けていたセラフィナに負け、ライラが口元へ指を当てながらそれに答えていった。

  

「えぇー?レンティスさんねぇ……とにかく距離が近いわね……」

「うん。そんな感じするね」

「……気がつくと彼の膝の上に乗せられててさ……」

「膝の上……」

「話をしてるだけなんだけど、合間でとにかく口付けをしてくるの……」

「わぁ……」

「その度私が固まっちゃうから……多分色々気づいてて、我慢してくれてるんだろうなって思う……」

「凄くいい人……」

「そうなのよねぇ……その……口付けだけでも気持ちがふわふわしちゃうからさ……。レンティスさんと肌を合わせるとどんな感じになるんだろうとか考えない訳じゃないんだけど」

 

「やっぱり嫌だなって思うの?」

 ライラは天井を見上げながら腕を組んで考え込む様子をみせる。そして一拍置いて口を開いた。

「そうねぇ……嫌ではないんだけど、まだ怖いのかもしれないわ。いい歳して何言ってんだって思われそうだけど」

 

「歳とか関係ないよ。怖いものは怖いもん。全部、相手に預けるって死ぬほど恥ずかしいし怖いって思うから」

 

「あぁ、多分それだわ」 

「ライラが今まで人にやってあげる側だったから余計かな?」


「……うん。きっとそうね。レンティスさんってあまりにも私を甘やかして来るから、それに溺れちゃいそうになるのが……怖いのかも」


「レンティスさんなら溺れる前にヒョイって掬い上げそうだけど。強いし」

「ふふふっ確かにね!……私ももう少し、セラフィナみたいに素直になりたいわぁ……」

 

「ライラはライラのままが良いよ」

 

「そう?」

「うん」

「じゃあいっかぁ……あ、ねぇ、一緒にお風呂でも入らない?結構広いのよ」

「うん。いいよ」

「いい香りの洗髪料があってね、ガルディアで買っちゃったんだ」

「そうなんだ。ライラ、いつもいい香りするもんね。私も何か使った方が良いのかなぁ?」

「お?そういうの興味出てきた?セラフィナに合いそうなの教えたげる!」

「うん」


 その後二人で風呂に入ると、ライラはセラフィナの背中に、セラフィナはライラの髪で見えない首の後ろにそれぞれ鬱血痕を見つけてしまい、二人は顔を赤く染めてしまう。

「治してって言ったのに……」

「いつの間にまたつけてたの……」

 二人で真っ赤になったまま顔を見合せると、またクスクスと笑いあった。


 ライラとセラフィナの内緒話は二人が一緒に眠るまで途切れる事がなかった。

とにかく女の子がイチャイチャしてるだけの閑話でした。

楽しすぎてっいつまでも書ける…!!


次々色んな話題に飛んで行くのも女子会あるあるかと。

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