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【完結】キミと手を繋ぎたい。オリーブの香る島で。  作者: 咲山けんたろー
第2章 キミと会って、変わっていく気持ち。
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第7話 私の新学期



 夏休みが終わって、新学期。


 今年の夏は、1番早く過ぎ去った気がする。







 それは、多分―――






 1ヶ月ぶりの教室に入り、席に着くと、携帯のバイブ音がなる。


 公式アカウント以外に通知が来ることがなかったから、まだこの感覚が慣れない。




 通知の相手は、翔月(かづき)くんからだった。




 翔月くんは、私が初めて受け取ったボトルメールの男の子。無邪気で陽気な可愛らしい人。








『おはよ!! 今日から新学期だよね?? オレは明日から!』






 メッセージを受け取る媒体が、ボトルでもラインでも変わらない。彼は、テンポのよい陽気な文章を送ってくる。




 それが、嬉しくてしょうがなかった。





 時計を見ると、始業式までまだ時間がある。私は、周りの目を気にしながら返信を返した。




 クラスメイト達は、久しぶりの再会で笑い合う声が飛び交っている。今年は特に暑かったもんだから、日に焼けた生徒も多くいた。




 私は、当然話す生徒もいない。それは、小豆島の2人に出会っても変わらないことだ。






『おはよう! 私はこれから始業式! お互い新学期頑張ろうね!』





 こんな文章でいいだろうか。


 友達はもちろん、恋人もいたこともないから、異性になんて返せばいいか分からない。




 もっと疑問形で送ったらいいとか、面白いことを送れたらいいのにと思うのに、何一つアイディアが出てこない。





「七海さん。」




 送ればいいか、消すべきか悩んでいると、背後から声聞こえた。





「七海さん。」





 どうせ自分ではないだろうと、無視して、思考が停止する。




 ん、今、自分の苗字が呼ばれたような…。






 そのまさかである。声のもとに振り返ると、学級委員の 砂部 澄空(すなべ そら) が目の前に立っていた。




 彼女は、まさかに『委員長』という言葉が似合うしっかり物で、ちょっとのズルも許せないタイプの人である。




 あと、ちょっと変わった人で、いつも教室でぶつぶつ念仏のようなものを唱えてる。




 だからなのか、私と同じように友達がいない。なんだか、彼女に近づけないようなオーラがあるからだ。話しかけないでください。とい言っているような。




「な……なに?」




 話すのが初めてだったため、震えながら口を開く。





「……始業式……。遅れる。」


 まるで、お化けのように耳元でふっと囁かれる。




 その衝動で、鳥肌がぶわぁっと立ち、勢いよく立ち上がった。





「ごめんなさい!! すぐいきます!」




 そして、その瞬間。




 私の勢いで、私のスマホが彼女の足元へ転がり落ちた。






 まずい!! 見られる!!






 だが、取ろうとしたときには、もう遅い。彼女のほうが物理的に距離が近いため、ヒョイッとスマホを取られてしまった。




 そして、案の定私の携帯画面をじーっと見つめる。






「……」





 もう、固まるしかなかった。




 もしかしたら、その前の翔月くんとのトークも見られているかもしれない。自分の心の中を全部見られたようで、恥ずかしい。




 彼女はそんな事を気にすることなく、静かに呟く。







「……………彼氏??」






「ち…ちがっ…!! 」




「…………電気消さないといけないから、すぐ出てね。」




 あっさり彼女から携帯を受け取り、電気を消しに行ってしまった。




 思わず口をぽかんと開けてしまう。




 な…なんなんだ??




 不思議な人だな。砂部さん…。






※ ※ ※



 始業式後。教室へ戻ろうとしていると、後ろから気配がした。




「七海さん。」




「わっ!!!!」




 砂部さんは、突然ぬんっと出てくる。予測のできない登場に、思わず変な声を出してしまった。




 まさか、2回目も話しかけてくるとは思わなかったので、今度は何の用かと身構える。




「さっきの………彼氏??」




「違うって!! はぁ、ビックリした……。」





 彼女は長い黒髪を垂れ流し、ボソっと低い声で呟く。




「……七海さんが恋してるって………なんだか、意外。」




「だ…! だから違うってば!! なんでそうなるの…」




「……朝入ってきたときから、前と違うなって………思ったから。」




「生き生きとしてる……。恋の予感ね………。」




「えっ!?」




「私の占い……当たるって評判だから…。放課後、七海さんのこと……占ってあげる。」




「へっ? 占うって…どういう………」




 そういうと、彼女は私より先に教室に入ってしまった。追いかけるのも、なんだか違う気がして、その場で立ち止まる。




 …な、なんなんだ…?




 思えば、こうやってクラスメイトと会話をちゃんと交わすのも久しぶりだ。普通に話せていたか、不安になる。




 それに、私のこと朝から見ていたって…




 考えただけで、ゾワッとする。




 もしかして、砂部さんはクラスメイト全員を観察していて、勝手に占ってしているのかな…?




 噂に聞いた通り、変な人。




 だけど、自然と嫌な気はしなかった。






 今日の放課後、私のどんな事を占ってくれるのかな―――。




 まだ誰に恋してるか、自分でもわからないのに、自然と放課後が楽しみになる。







 私の、この小さな気持ちはどこへ行くんだろう。

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