表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】キミと手を繋ぎたい。オリーブの香る島で。  作者: 咲山けんたろー
第3章 必ず会いに行く。恋の修学旅行編。
PR
19/32

第19話 オレの誓い



 数時間前。




 お台場で自由行動している時。『それ』は起こった。




 徒歩圏内で、たこ焼き、タコス、ハンバーグなど、片手で食べれるものがたくさん売られており、オレ・翔月(かづき)らはずっと浮かれていた。




 おまけに、この人の多さ。まるで、シティーボーイの仲間入りしたかのような、オトナな気分になっていた。





「うますぎる! 東京の食べ物は何でもうまい!!」




 片手にハンバーガー、もう片方にタコスを持ちながら、オレは班の皆に話しかける。




 男子3人と女の子3人の6人班。皆、オレの食べ歩きについてきてくれたけど、だんだん限界が来たみたいだった。




 隣にいた女の子がオレの様子を見て、ため息をつく。




「かづきぃ。ちょっと食べ過ぎじゃない? うちら、そんな食べれないよぉ。 」




「ほんとにそれ。食べるならスイーツがいい。あ! クレープ屋発見!」




 彼女らの言葉に、オレは首を傾げた。




 やっぱり、性別によって食の好みが大きく違うなと思う。オレら男子は、腹に溜まる炭水化物がいいけど、女の子たちは、スイーツなどの甘いものを食べたいようだった。





「うちら、あっちの店行ってくるから、かづき達はそこら辺で食べてて。」




「えー? 行っちゃうのー? わかった!」





 そして、男子と女の子とで男女別行動になった。








 男3人で、食を楽しんでいた時――





「オレらで写真撮ろうぜー!!」




 そう自分で声をかけて、制服のポケットから携帯を取り出そうとした。





 だが――






「あれ!?」







 ない。







 あるはずの場所に、携帯が入っていなかった。





 冷や汗をかく。






「どしたー? 翔月。」






「……え? いやいや、なんでもーー……」




 班員の言葉にも、まともに返せない。





 ヘラヘラ笑いながら、バックの中も確認する。











 ない。










 おかしい。確かに、いつも制服のポケットに携帯を入れておいた。バックに入れたら、写真を取るときにいちいち取り出すのが面倒だと思って、ズボンに入れたはず。





 ある場所全部探したが、どこにも入っていなかった。






「………がちか……。」




 オレはその場で、持っていたたこ焼きを地面に落とした。力が抜けたのだ。







「お、おい…! だから、どうしたんだよ?」





 彼らに言おうとも思ったが、心配かけるわけにもいかなかった。




 何も言わず、その場で元いた場所へ全速力で戻る。







 遠くから、彼らの声が聞こえたが、振り返ることなく、走り続けた。




 人が多い場所では、うまく避けることさえ難しい。オレが都会慣れしてないからだろうか。




 密度が高すぎて、地面に落ちているであろう携帯も探すのも一苦労だ。足ばっかり多くて、目がおかしくなりそうだった。






 どこだ……!! どこに落とした…!!





 どうして、こんな大事なときに…!!








 走る音ともに、ひなこちゃんの顔が脳裏に浮かぶ。







 初めて会った日のこと。オレが彼女に貝殻をプレゼントしたときのこと。









『ありがとう! これ見て、翔月くんのこと、思い出すよ。』









 お互いの生活が始まって、何気ない会話をした日のこと。










『今日も暑いね〜。早起きで眠たいけど、一緒に頑張ろうね。』











 そして、今日。2度目の再会の日。










『私も、翔月くんに会えるのすごく、すごく楽しみにしてる!!』








 だめだ。絶対に駄目だ。







 絶対見つけないといけない。







 何がなんでも見つけて、彼女に会いに行くんだ。







 オレと、人魚姫との約束なんだ―――。







 約束の時間、約束の場所に、絶対間に合わせる。







 彼女を、1分たりとも待たせたくない。







 オレは、ただひたすらに走り続けた。立ち止まっては時間の無駄だと思ったから、走りながら辺りを見渡して、携帯らしきものが落ちていないか、行った場所、1つ1つ確認するように、走り去った。







※ ※ ※



「おお、波原。どうした、ずっと走り続けて。他のメンバーは?」




 携帯をなくしてから、どれくらい経っただろう。フジテレビ付近まで走ると、担任教師が目を丸くして、オレを見つめた。




 いきなり立ち止まったので、その反動でいつもより息切れが激しくなっていく。この季節なのに、ひどい汗。自分でも額から大量の汗が流れていくのが分かった。





「センセー……オレ、どうしよう…どうしたらいいんだ………センセー!!!」





「オレ…大事な約束が…!!!」





「 …1回落ち着きなさい。 なにがあった?」





 オレは、携帯をなくしたこと、東京タワー観光までは制服のポケットにあったことなど、すべて話した。




 先生は、すぐさま110番通報し、警察署へ行くことになった。


 書類を書いたり、その他の手続きをするため、オレの修学旅行は一時停止をしざるおえなくなった。





 時計をみると、時刻は17時30分。当然、ひなこちゃんはもう来ている時間だ。だが、携帯がないため、どこにいるのか、どこの場所で待っているのかも分からない。もしかして、怒って帰っちゃったかもしれない。





 署で待っているとき、ずっと胸が苦しかった。






 オレの、せいなんだ。






 修学旅行だからってずっと浮かれて、それで、警戒心も自然とほぐれてしまった。




 地元でなくしものをするより、ずっと見つからないのも、治安が悪いのも何一つわからなかった。




 警察の人は、『直近の落とし物の情報は届いていない。盗難の可能性が高い』と言われた。





 一瞬で、心にぽっかり穴が空いた気分になって。




 もう、ひなこちゃんと連絡が取れなくなってしまうんじゃ……。









 約束したのに…絶対に会いに行くって。誓ったのに……









 結局、会えないまま、夜まで署まで過ごすことになってしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ