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うちの寺の墓地にダンジョンができたので大変です  作者: 海水


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59.奈良斑鳩ダンジョン日記⑦

このお話はあくまでフィクションです。現実の寺と似ている部分があってもそれはフィクションです。

 昭島、立川、三鷹、青梅の剣がゴーレムを斬る。【サーベルタイガーの牙】で魔物特攻30%が付いた剣は伊達ではなく、あっさりとゴーレムを斜めに切裂き、上半身を地面に落とした。


「くっそ!」

「こいつら遅くなってるから焦らないで!」

「あのクソ男どもがぁぁ!」


 5人とも焦っている中、青梅が荒ぶっている。ヘイトすら抱いているようだ。

 だが5人は複数で攻撃し、ゴーレムを確実に倒して光にしていく。


「こいつで最後だ!」


 三鷹がクレイゴーレムを斬り裂いた。光と消えて魔石と小さな宝石を落とした。


「はぁはぁ」

「やっつけられたぁぁぁぁ」

「なんなのあいつらー」


 5人は地面にへたり込んでしまった。


 ——よかった!

 ——トレイン行為なんて初めて見たぜ

 ——いままでリアル配信なんてなかったからな

 ——あいつらやり慣れてたな

 ——クソオブクソじゃん


 コメントも非難が主だ。そこに【リーダーズ】の5人が駆けてきた。


「無事ですか!?」

「なんとかねー」


 成田の問いに昭島が手を挙げて答える。


「けがは……無いようですね。四街道から指示がありましたが、いったい何が?」

「あの【ベヒモス】ってやつらがゴーレムを引っ張ってきたんだよ」

「トレイン行為ですか……」


 成田の眉間にしわが寄る。昂ぶりそうな精神をなだめるようにメガネのブリッジを指で押し上げた。


「そいつらはどこへ行きました?」

「すぐにどっかに逃げてった」

「ゴーレムが来たからそれどころじゃなかったし」

「それもそうですね」


 【カチューシャ】の5人は大きなため息をつく。

 「さてどうしましょうか」と成田が皆の顔を見た。【リーダーズ】も【カチューシャ】も【Aチーム】と【ポニー】ほどは鍛えられていないし悪意を受け慣れていない。いきなりトレイン行為で悪意をぶつけられたので不安もわいてくる。


『『一度トレインすればしばらく魔物はわかないでしょ』』


 ドローンから美奈子の声がする。ドローンが2機いるのでダブルで聞こえた。


「そうですね。今日のところは階を変えて僕たち【リーダーズ】と一緒に行動しましょう」

「宝石と魔石は拾っとこうぜ」

「あ、そうだね」

「黄緑色の宝石じゃん!」

「もしかしてこれがペリドット?」

 

 立川が黄緑色の宝石を指で掴んでいる。鑑定はできないのでギルドのお姉さんに見てもらうしかない。


「だったら襲われた甲斐もあるってもんよ」

「襲われたくはなかったけどさー」

「あのクソ男ども許せない」


 青梅は荒ぶりが止まらないようだ。襲われる不安よりも怒りが勝っているようだが、これは配信されてるぞ。


「気を取り直していきましょう」


 その後は12階に移動して宝石探しを続けた。

 が、彼らは一定の距離をとってずっと付きまとってくる。深い階へはいけない【カチューシャ】と同じくらいの強さなのだろう。強い智らにはかなわないという自覚もあるだろうが。


「まだいるよアイツら」

「キモイ」


 ストーカーのごとくずっと付きまとわれていた。








「んー、由々しき事態だね」


 食堂で配信を見てたけど、魔物を擦り付けるとか最低じゃん。

 なんだか巻き込まれちゃったなー。フラグを立てちゃダメってことだね。


「これは苦情を入れないとダメですね」

「映像も送り付けないとー」


 京香さんと瀬奈さんが動き始めた。彼ら彼女らを守るのも大人の仕事。俺も動かないと。


「【ベヒモス】について調べましたが、事務所は京都駅前の一等地のビルにありますね」

「有名な寺のバカボンボンどもだっけー?」

「僧侶になれなかったクズなのでしょう」


 いつもながら辛辣だ。


「苦情メールを送っておきました。総務省と防衛省にもBCCで送りました。ついでにランサムも混ぜておきました。おバカさんだと引っかかるくらいの難易度ですが」


 満面の笑みのメイドさん。今日のメイドさんの辛辣さは高めだ。かなりのピンボールを投げてる。


「総務省と防衛省ってまだ揉めてるんだっけ」

「利権争いをやってますね」


 総務省が抵抗してるみたい。あそこにもダンジョンを置いちゃおうかな。

 【ベヒモス】に苦情を申し入れると、すぐに電話が鳴った。


『千葉の田舎の寺が生意気だ』

『映像を加工しただけで証拠にならん』

『弱小寺は黙っておれ』

『金の無心か?』


 京都の有名仏閣から電話がかかってきたよ。名前は伏せるけど、修学旅行とかでは必ず行くところばかりだ。自分たちの息子らがやらかしたことなど棚上げで非難してくるなんて始末におえない。


「ずいぶん電話が鳴っておるようだが?」


 父さんが食堂にやってきた。母屋の電話もなってるらしい。


「実はね——」


 斯く斯く然然(かくかくしかじか)と説明すると。


「自分たちが貴族とでも思っておるんじゃろ。嘆かわしい」


 父さんもあきれ顔だ。

 長い間権力を保持していれば必ず腐敗し衰える。それは諸行無常という仏の教えでわかってるはずだ。仏さまの教えを学んでいれば、だけど。


「仏教の理念が廃れていくのも無常ではあるが、修行する身分の僧が忘れるのは末法であるな」


 うちも、古さだけなら負けない。創建が平安時代だから大半の京都の寺よりも古いんだぜ。

 獄楽寺の存在理由が海を鎮めるためのものだから儲かるはずもないし、だからこそ、いままで生き残ってるんだけどね。


「仏の教えはどこへ行ったやらだね」


 寺が遺産として観光地になってしまって金がより入るようになってしまったが故なんだろうけど。

 まぁ、京都の有名な仏閣は、そもそもが将軍家の別荘として作られたり、修行するためでは無い寺だったりするからね。そりゃ観光地にしかならないし偉ぶるよね。

 欲深くなって権力に酔ってしまうようでは、今世での解脱は到底無理で、来世かさらにずっと先に至っても悟りに至ることはないんだろうなぁ。


「それはそれとして、現世での罪は償ってもらう必要はある。昔の生臭坊主でもあるまいに」


 珍しく父さんがオコだ。うちに来てる子らはうちの子だもの。親としては激オコだよ。


「じゃあ償ってもらうかな。うちはやられたら()()()()()()()からね」


 閻魔さまの前で同じこと言ってもらおう。


「ふむ、守、無理はいかんぞ」

「無理はしないよ。ただ、放置はできないからさ」


 父さんに窘められたけど、譲れないんだよねー。


「守君、具体的に」


 ジト目のメイドさんに詰められた。

 まぁまぁ俺の話を聞いてよ。

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