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うちの寺の墓地にダンジョンができたので大変です  作者: 海水


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40.獄楽寺の年末年始は忙しい 雪遊び本気の部

 餅つきも無事に終わって子供たちが帰ってほっと一息。

 駄菓子菓子。これで終わりではない。

 今日のお手伝いできてくれたハンターのひよこたちは遊んでいない。


「さーて、雪遊び本気の部だ!」


 今ある雪の上のさらにドン!

 俺の腰くらいまで、つまり1メートルくらいの雪にした。

 遊ぶのはハンターなのでこれくらいないとさ!


「おお、さらに雪だ!」

「ちょ、俺の腰まであるぞ!」

「ダァァァァイブ!」

「あ、柏がいったー!」


 葉子ちゃんが【飛翔】魔法を使って派手にダイブしてずっぽり雪に埋まった。


「デラレネータスケテー」

「しかたないなー」


 ふよふよ浮かんだ智がサルベージする。足を掴まれた状態の葉子ちゃんが逆さ吊りのままふよふよ運ばれる。


「あははは、クレーンゲームかよ!!」


 足立ちゃんがバカ受けしてた。

 高校生でソリもなかろうということで、雪合戦か雪だるまかで意見が分かれた。雪合戦を所望したのは意外にもポニーの4人だ。あと葉子ちゃん。

 射撃に投擲スキル持ちが相手では不利すぎると、男どもは拒否の構えだ。


「では、お前らの相手は俺だ」


 ラスボスたる零士君が出てきてしまった。


「えぇえー」

「でも、師匠だってあの雪じゃ……」

「勝つとは言わねえが、善戦くらいはできるかも?」

「うるせえ」


 零士くんは男女構わず足をつかんではぽいぽい雪原になった園庭に投げ込んでいく。ボスンと雪に埋まっていくハンターのひよこたち。やばいと思った智は自分から雪に飛び込んだ。


「ぼ、ぼくもぉぉぉ!?」


 もちろん三島さんと由比ヶ浜君も巻き添えだ。合掌。

 

「俺VSお前らだ」


 零士くんが大きくジャンプして雪原に着雪する。零士くんの体重でも膝までめり込んだ。

 俺は免除されたらしい。じゃあ審判かな。


「守、合図だ」

「よーし……はじめーーーー!」


 合図と同時に零士くんが横に派手に転がって雪煙に消えた。煙が晴れても零士くんの姿がない。


「師匠が消えた!」

「どこンガッ!」


 立ち上がろうとした千葉君が雪の中に引きずり込まれて消えた。千葉君は少し離れた場所からペッと吐き出されて転がった。


「エイリアンかよ!」

「師匠、えげつねえ!」

「どこに消えアイタッ」


 師匠を探していた品川ちゃんの後頭部で雪玉がはじけた。


「はっはっは、ここだ!」


 雪まみれの零士くんが滑り台の上で高笑いしてる。


「コーナッタラ!」

「させん」


 ふわりと浮かんだ葉子ちゃんだけど、零士くんが投げた雪弾が額に命中。撃墜された。


「ちょっと葉子!」

「キュー……」

「一番の戦力が落とされたぞ!」

「チッ、師匠がまた消えた」

「ここだぞ」

「ぎゃぁぁ!」

「こっちの数の優勢を生かすしかないよ。ともかく雪玉を投げよう!」

「太田、頑張って当てて!」

「むーりー」

「きゃぁぁ」

「いってぇ!」


 零士くんは雪上を転がりながら雪をつかんで握り弾を作っては投げてる。零士くんの雪玉が当たるとみんなすごく痛がってる。小さい雪玉なのに威力がすごいなーって思ってたら【闘刃】と一緒に投げてるっぽい。ずるい。


「くそ、当たらねえ!」

「投げた雪玉に何かを当てて砕いてる!?」


 零士くんはどうやら闘刃で投げられた雪玉を迎撃してるみたいだ。どこのイージス艦だよ。


「えーい!」


 太田ちゃんが投げた雪玉がうなりをあげて零士君に迫るも、零士くんは大きくジャンプして避けた。


「空中なら動けないでしょ!」

「みんな投げろ!」

「うらぁぁ!」


 隙ありって感じでみんなが雪玉を投げた。


「甘いな」


 零士くんは雪原に向かって闘刃をぶちかまし、雪の大爆発を起こした。飛び散った雪で雪玉が弾かれ、零士くんの姿は消えた。


「めちゃくちゃだ……」


 零士くんの戦い方がえげつなすぎる。

 ハンターのひよこで残ってるのは智、美奈子ちゃん、ぽっちゃりスナイパーの太田ちゃん、金髪ツーブロの野田くん、長髪ポニテの館山くんだ。智と美奈子ちゃんは自分に来る雪弾だけに集中してて零士くんの動きには翻弄されてない。

 というか、雪合戦はどこへ行った。


「ここだぞ」

「んぎゃ!」

「ぐああ!」


 雪から飛び上がった零士くんが放った雪弾が智と館山くんの背中に命中。そのまま顔から雪に突っ込んだ。


「残りは3人か」


 零士くんが不敵に笑う。


「太田、俺がおとりになるから何とか当てろ」

「ふぇぇ、むーりー」

「相手が師匠だぞ? ミスったって誰も文句言わねえって。よろしく!」


 野田くんが零士くんに雪玉を投げつつ突撃。視界をふさぐつもりだ。


「甘い」


 雪をすくって雪煙を立てた零士くんが野田くんの足をつかんで放り投げる。


「師匠すきあり!」


 飛んでくる野田くんの体を這って避けた美奈子ちゃんが零士君の前に出る。その手には10個の雪玉。


「えい!」


 美奈子ちゃんが投げた10個の雪玉を、零士くんは大きく横っ飛びで避けた。


「そこです!」


 そこに太田ちゃんが投げた剛速球がドンピシャで迫り、ヘッドスライディングした零士の頭に当たる。べしゃっと雪に埋もれる零士くん。


「くは、はははははは、当たっちまったなぁ。ははは!」


 雪にあおむけに転がった零士くんが大笑いしだした。手をバタバタさせてすっごく楽しそうだ。


「あれ、勝った?」

「太田すげぇぇぇ!!」

「師匠にあてたぞ!?」

「すごいじゃーん!」


 品川ちゃん、渋谷ちゃん、足立ちゃんが大ジャンプで呆然としてる太田ちゃんにフライングボディアタックを敢行。太田ちゃんは「ふぎゃー」と押しつぶされた。


「師匠、動きが読めなすぎです」


 美奈子ちゃんが零士くんの手をつかんで引き上げる。


「野田も美奈子もナイスアシストだった。いいようにおびき出されちまったな。俺もまだまだだ」


 零士くんが嬉しそうに口もとを緩めた。


「ダンジョンでは臨時パーティを組むこともある。即席でも作戦を立てた野田はえらいぞ」

「へへ、やったぜ!」

「予測で俺にあてた太田もだ」

「わーい!」

「お前らがどれだけ強くなるか、楽しみだ」


 その後は巨大雪だるまを作ったりかまくらならぬトンネルを掘ったり雪で泳いだりと、精神を幼稚園生にまで落として遊びまくった。

 本気で遊ぶとなんでも楽しいぞ!

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