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096-母の異変-6P
そんな問診をしたあと医者は母さんの診察を再開する。
「うーん……。息は浅いけど……まだ生きてるね……。お母さんは普段飲んでいる薬はあるかい?」
医者は眉を下げながら僕に確認する。
「えっと……教会へ毎月〔ナニカ〕の薬を貰っていますけど……」
僕はそんな医者の発言に、一瞬記憶を辿りながら、物心ついた時からナニカの薬を服用していることを思い出し、それを口にした。
だけど、それがなんの薬なの? なんて聞かれても僕には解らない。もしかして、その薬のせい……? ううん、そんなはずない。だってもし薬のせいだったら、母さんは今頃とっくの昔に死んでいるはずだから。
僕は医者に〔なんの薬〕かは判らないことを強調しながら飲んでいる薬があることを伝えた。
「薬の名前も分からないかい?」
「解らないですね……。過去に一度、聞いてみたことがあるんですが、その時はただのビタミン剤みたいなもの。だと言っていた気がします……」
僕は朧気な記憶を引っ張りしながら医者に説明する。
「そうか……」
医者はそう言い少し黙りこむ。
「なんの薬を飲んでいるのか分からない以上、下手に薬は出さない方がいいね……」




