-アリエルの暴走-8P
誰もそんな男の悲痛な叫びを聞く者なんていない。自分が次の標的にされるのを怖がった素振りで見て見ぬ振りを決め込んだ。
それは残酷な現実。だけど、力を持たない一般人は自身を守るので手一杯。他者に向ける余裕など持ち合わせていない。
「そんな……。俺がなにしたって言うんだよ……」
そんな現実に、男はにいっそうのこと死んだ方がマシだと絶望する。
そんな男を見て僕はようやく決心した。
ごめん……母さん。死ぬことはとても怖い。だけどこれ以上、目を逸らすことはできない。そう心の中で慙愧したあと、僕はアリエルの元へ、一歩踏み出す。
「行くな」
だけど、カルマンは僕の腕を力強く掴み制止する。
「なんで止めるのさ!? アリエルのことは止めないのに、僕のことは止めるって可笑しくない!?」
僕はカルマンの行動に腸が煮えくり返るような怒りを覚え、震える脚を必死に抑えながら怒号する。
「そんなに全身を震わせておいて、おまえは死にたいのか?」
かなり落ち着いたカルマンの声。そこには多分、心配の色もあるんだと思う。だけど、その行動がちぐはぐすぎて僕は許せなかった。
「止めないでよ! あの男の人だけで満足するかも判らない。そんな状況でカルマンは行くなって言うの!?」
「クソ女のことはおまえより理解している。あの状態になったあいつは俺でも手が付けられない。だから




