異世界侵略5日目(肉体を遠隔操作する支配者)
異世界侵略5日目(肉体を遠隔操作する支配者)
さて、私は、次の異世界に旅をしなければならない。
世界など雨後の筍のようにいくらでも生まれてくるから大変だ。
まるで、次々と新刊本が出たら、それを読みまくらなければならないような状況に似ている。
とてつもない数の作者がいるのに、そんなの読み切れるわけない!と思うが、、、まあ、私だけが旅人ではないので、分担作業でなんとながんばるしかない。
それに、私たちは、無数に分身体を作ることができるのだ。
心配ない。
であれば、あらゆる異世界を侵略するなどわけないはずだ。
ほんとにもう、、、いいかげんに、ダメ世界を創造するのはやめてもらいたいものだ。
ダメ世界の創造行為は、どこかで禁止にしなければ、どうにもならない。
これではエンドレスのもぐら叩きではないか!
私は、そんなことをぼやきながら、、、次の異世界に旅立つ。
何、簡単なことだ。適当な世界に意識を向ければ、瞬間移動するだけだ。
まるで本屋の膨大な本の棚から、一冊の本を取り出すようなものだ。
なになに? 次の異世界は、「肉体の遠隔操作」がされている世界らしい。
なんだそれは? と思うが、まあ、行けばわかるだろう。。。
さて、お決まりの、まずは、透明人間からスタートだ。
この形態は無敵だからね。
そもそも、肉体というものがいけないのだ。
いいかい、諸君、、、とわたしは、異空間に向けて話出す。
暇なときは、こうして異空間に向けてぼやくのだ。
すべて受け止めてくれるありがたい空間だ。
そもそもだね、、、なんで肉体なんか作りだしたのかって話だよ。
と私はぼやく。
透明の意識体のままで何がいけないというのだ。
これほど便利で自由な存在形態はないではないか。
肉体があるがゆえに、病気にもなるし、拷問されたりするし、ぎっくり腰とかになったりして苦しむのだろう?
寿命などというわけのわからない設定もあるし、、、肉体というものは、あまりにもふざけてやしないか?
なんでこんな不自由な代物に、意識体である魂が束縛されなければならないのだ?
異空間、、、、君はどう思う?
私は異空間に意見を求める。
が、残念なことに、今は仕事中だった。。。。
異空間は、異空間のくせに出来が良いので、こうした仕事中は返事をしてくれないのだ。
くそ!優等生ぶりやがって、、、と私は、異空間に不満をぶつける。
優等生の異空間は、そのすべてを受け止めてくれるから大したものだ。
さて、さっぱりしたところで、仕事に戻ろうか、、、
私は、意識を目の前の異世界に戻した。
すると、、、そこには、小さな女の子が不思議そうに私を見ているではないか、、、
え? と思う。
私は、たしか、、、透明な意識体だったはずなのだが、、、、なんで見てる?
見えるの?
女の子は、じっと私の方を見続けたまま、言葉を発した。
「あなた誰?」
いやいやいや、、、、おかしいじゃないか、、、なんで見えてるの?
私は、自分の状態を再点検してみる。
そして、気が付いた。
あるはずがない肉体があるではないか!
私は、しばらくの間、状況を把握できないまま、立ち尽くしていた。
うーん、、、なんでだ、、、わからない、、、おかしいぞ、、、
いろいろ考えてみるが、なんでそう意志してもいないのに、勝手に肉体化しているのだろう?
新世界ではありえないことだし、異世界でだってあり得ないはずだ。
試しに、私は、透明な意識体になることを意志してみる。
すると、、、驚いたことに、透明な意識体になれないではないか!
はあ?と私は思う。
私は、新世界にある意識図書館の異世界大図鑑を大至急、取り寄せる。
信用できない奴だが、緊急事態だ。しょうがない。
異世界大図鑑と意識リンクができなかったらどうしよう、、、とちょっと不安になったが、そこは大丈夫だった。
まあ、とりあえずよかった。
異世界大図鑑は、パラパラと自分のページをめくり、あるページを私に見せる。
なになに?、、、、ほう、、、、はあ? こんなことがあるの?!
そこには、このように書かれていた。
「異世界の中には、かなりレアではありますが、意識体を強制的に肉体の中に閉じ込める仕様になっている世界があります、、、、中略、、、ですので、、、気をつけましょう、、、」
などと書いている。
そんなの、はじめに説明しておけよ!と、私は叫ぶ。
つまりなんだ、、、この異世界では、透明な意識体状態になれないというのか、、、、そんなんじゃ、仕事になんないじゃないか!
いくらぼやいても、そういう異世界であれば、どうしようもない。
新世界に戻ろうか、、、とも思ったが、仕事が完了せずに戻ると、ランクが落ちるので嫌だな、、、、と思う。
説明もなくこんなとんでもない仕様の世界に投げ込んだ新世界システムには文句が言いたかったが、それは仕事が完了してからにしよう。
私は、気を取り直して、目の前で私をじっと見ている女の子に答える。
「私はねえ、別のとこから来た旅人なんだよ。お嬢ちゃんは、どこに住んでいるんだい?」
あたし? あたしは、住んでいる家なんてないわ。
「いやいや、そんなことはないだろう? 普通、夜とか寝る場所が必要でしょう?」
ううん、夜は立ったまま寝るだけよ。
「立ったままって、そんなの無理だろ」
無理じゃないわよ。ほら、、、、
女の子は、確かに立ったまま目を閉じて、あたかも眠っているようだ。
「おいおい、、、ウソ寝なんかしてもダメだよ。立ったまま眠れるわけないだろ」
私は、笑いながら、そう言うが、女の子は反応しなくなった。
「おーーーい、、、冗談はそれくらいにしておこうよ、、、おじさん、いや、おにいさんは、忙しいんだよ」
だが、一向に反応がない。
本当に寝ているのだろうか、、、、
私は、そーっと手を伸ばして、その鼻をつまもうとした。
だが、なんとその女の子は、目を閉じたまま、私の手をかわし、、、私のふところに入り込み、そのままわたしを投げ飛ばしたのだ。
「あいたたた、、、」私は、うめきながら、起き上がり、女の子を見るが、女の子は、まだ目を閉じたままだ。
一体、どうなっているんだ?
私は、緊急事態なので、新世界のメインデータバンクに意識を飛ばした。
そこには、ありとあらゆる現在過去未来のデータがすべてあるのだ。
さらに、その無限に近い膨大なデータから、一瞬で、最善の対処法を見つけ出してくれる。
そういうシステムが新世界には存在している。
そして一瞬で答えが出る。
この女の子の肉体は、どうやら別の誰かに操られているらしいとわかる。
そして、なんと、私の肉体も、いつでも操られる仕様になっているということもわかる。
つまり、自分の意思で肉体を自由にコントロールできなくなるらしい。
逆に言えば、寝ていても、肉体が勝手動くということだ。
私は、なるほど、、、とつぶやき、ちょっと真剣に対策を考える。
まずは、肉体を遠隔から支配操作している奴らを見つけ出さないといけないな、、、と思う。
女の子の肉体を今のように遠隔操作したのであれば、おそらく近くにいるか、少なくとも、カメラかなにかでこの場面を見ているはずだ。
わたしは、そうして、この場所が見える場所や隠しカメラのようなものがないか、調べてゆく。
小高い丘の上に大きな城のようなものがあるが、そこからならこの場所が良く見える。他には、身を隠してこの場所を見れるような場所はなさそうだ。
とすれば、あの城が怪しい、、、、
私は、その城を目指して走りはじめた。
透明な意識体であれば、走る必要などなかったものを、、、
ふと振り返ると、目を閉じたままの女の子が、私を追いかけてくる。
いやいやいや、、、、私は、危険な予感がしたので、さらに速度を上げて走る。
なんとか城の入り口にまでたどりついた時には、女の子は私のすぐ真後ろに迫っていた。
私は叫ぶ!
「たのもう~!たのもう~!」
城の門は、意外にも開かれた。。。。
中から無数の女の子が飛び出してくる。
おいおいおい~~~
これは、もはや詰んだ、、、と思う、、、が、、、私は意識世界の旅人なのだ、、、このくらいではくじけることはない。
私は、新世界のメインデータバンクから史上最強と言われた武術家たちの意識を借りてきて使う。
女の子たちの動きがまるでスローモーションのように見え始める。
ひらり、ひらりと、女の子たちを、かわして城に入ろうとするが、、、ダメだった。
肉体が急に自分の意思で動かなくなったのだ。
やられた、、、と思う。
、、、私はその場に崩れ落ちた。
次の瞬間、無数の女の子にもみくちゃにされた。
むろん、体験操作能力を使ったので、苦痛はなかったものの、、、私の肉体はひどい有様となっていた。
ほとんどの関節が、、、逆方向を向いている。
こうなると肉体は、ただの意識をとじこめている牢獄でしかない。
私は、そのボロボロの肉体の中で、さてどうしたものか、、、と思う。
もはや抵抗不可能だと判断したのだろう、、、黒いマントを着た小柄な男が奥の扉から姿を現した。
「おやおや、、、これは身の程しらずの奴がいたもんだね、、、まさかこの私を捕まえようとでもしたのかね?」
嬉しそうにズタボロの私の肉体を足蹴にして、にやにや笑っている。
「あー、黒幕見っけ」と私は、独り言を言う。
どうやら、この世界のボスらしい。
その男の記憶を調べると、どうやらこの世界のあらゆる肉体を自由自在に操作できるらしい。
とんでもないダメ肉体を作りやがって、、、と私は思う。
病気にするのも、ケガをさせるのも、内臓を破壊するのも、生命エネルギーを与えたり、奪ったりするのも、殺すのも自由自在のようだ。
さぞかし、無敵のボス役を今まで堪能してきたことだろう。
だが、新世界の旅人を相手にした場合は、そうはいかないんだよね。
私は、胡乱な目でボスを見る。
「なんだ、その目は、、、そんなボロボロの体で何ができるというのだ?ふわ~ははは!」
えげつない笑い方をする奴だ。
私は体験操作能力で無効化していた自分のズタボロの肉体の体験を、このボスに叩き込む、、、、、、
次の瞬間、ボスは、絶叫マシーンに乗ったかのごとく、叫び出す。
そりゃ叫びたくもなるでしょう。全身の関節が逆方向を向いているんだから。。。
だが、それは、自業自得だ。
自分がしでかしたことを、しっかり体験して学ぶがいい。
ついでに過去に私以外の魂たちにやった酷い体験のすべても味わってもらうよ。
でないと意識世界の公平性が保てないからね。
しょうがないんだよ。
病気やケガやその他の肉体から発生した苦しみや痛みや不自由をすべて体験しつづけるがいい。
そして、その肉体に閉じ込められたままでいるがいい。
自分がそういう牢獄のような肉体を生み出したのが悪いんだよ。
いくらでも反省する機会はあったはずなのに、反省して改めなかったんだからしょうがないんだよ。
こういうケースでは、一切の手加減はできないんだ。
そう伝えて、私は、ボスに体験操作能力の手錠と首輪をつけた。
今まで他の魂に与えてきた体験が、すべて自分に発生するアイテムだ。
無数の女の子たちの魂は、そうした酷い肉体の中に閉じ込められて、本当は嫌なのに酷いことをさせられていたということで、ボスの悪行の被害者として新世界に意識体として救助されることになった。
新世界では、肉体をそうした牢獄のように使うことや、遠隔操作して操ることは禁止されている。
よって、この異世界のこうした牢獄のような酷い仕様の肉体は、すべてワールドエンドによって消し去られた。そんな強制収容所のような肉体の存在は、魂たちにとって、危険でしかないからだ。
なに、心配ない。明らかにもっとできの良い肉体が新世界にはいくらでもあるのだからね。
さて、それでは、新世界システムを修正しにゆこう。
私は、無数の女の子の意識体たちを、分身体の新世界の案内役たちに託して、新世界システムのメインデータバンクに意識を飛ばした。
今日の教訓;肉体の牢獄化と遠隔操作システムは、絶対にすべての意世界で禁止にしなければならない。




