偽りの悪役は、優しき未来の礎となる
お読みいただきありがとうございます。
楽しんでいただければ幸いです。
そう、いずれゲームの主人公が希望を胸に立ち上がり、不条理な貴族たちを打ち倒すだろう。ならば、彼にこの「茨の道」を任せればいいじゃないか――そうも思った。2度目の人生、多少好き勝手に生きてもバチは当たらないだろう。しかし、その考えは自分の生き方と反している。そうも思った。
確かに彼は英雄になる。しかし、平民である彼が下から社会構造を覆そうとすれば、それは必然的に権力者との血で血を洗う「革命(内乱)」にしかならない。
ゲームの輝かしい英雄譚の裏で、実際にはどれほど多くの名もなき弱者が戦火に巻き込まれ、理不尽に命を落としていたのだろうか。ここはゲームの世界ではない。ゲームの設定によく似た《《現実の世界》》なのだ。
それに、十代の少年に「世界を変えろ」とすべての重圧と泥を押し付けるなど、自分で自分を容認ことなどできない。
そして、大きな変革をもたらすには、どうしても外部からの力による制度の破壊は必要となるだろう、それは英雄に任せよう。俺は貴族内部から変革を志そう。その時は力の行使も、謀略も厭わない覚悟が必要だ。
大貴族という特権階級のど真ん中にいて、前世の「民主主義」という知識を持つ俺にしか、できないこともあるだろう。このシステムを何とか終わらせ、
「人が人のために、人に選ばれた者が政を行う世」
そのためには、平民たちが自らの頭で考え、声を上げるための「力」が必要になる。次期領主としての特権を利用して、誰もが平等に学べる学校を創設し、平民の代表を集めまずは意見を集約して具申するような会を作り、少しずつ、しかし確実に、自らのことは自らが決める決定権を彼らに譲渡ていく。
なるべく大きな痛みを伴わない制度の移行。そのためには、法律、政治、経済の知識を死に物狂いで身につけ、ローゼンベルグ領から新しい世界の雛形を作る。
貴族という立場と力を「搾取」のためではなく、人々を真に自由にするために使うのだ。
だが、まだ八歳である身にはまず考えなくてはならないことは無数にあった。
お読みいただきありがとうございます。
もし「面白かった!」「続きが読みたい!」と思っていただけましたら、
ページ下部にある【ブックマークに追加】や、【☆☆☆☆☆】の評価を押して応援していただけると、今後の執筆の何よりの励みになります!
どうぞよろしくお願いいたします。




