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不可侵領域  作者: 時宮のシロ


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5/7

新歓コンパ①

 ──春。賑やかな大学構内。


 まさるがまだ場所に慣れない様子で歩いている。

 視界の先にはるみの姿を見つけ、歩みを早める。


 はるみは、自分に歩み寄るまさるにニッコリ笑いかける。


「おはよう、まさる。」


「おはよう。ねぇ、はるみは何かサークル入る?」


 まさるは手に持っていた紙を見せる。


「これ、テニスサークルなんだって。テニスする子がいたら是非一緒にってもらった。」


「まさる、球技苦手なんだろ?」


「初心者多いし歓迎なんだって。みんな仲がいいんだって。はるみが入らなくても、俺、やってみようかなぁ。」


 ピクっとはるみの瞼が小さく揺れる。


「今夜、新歓コンパがあるんだって。ご飯みんなで食べるから空気がわかるって。1年生は参加無料なんだって。……俺、一人でもちょっと行ってみようかなぁ。」


「……俺も行く。」


 はるみはまさるからチラシを受け取る。


「一緒に行こう。……まさる、今夜そのままうちに泊まる?明日、楽だろう?」


 まさるは嬉しそうに頷く。


「うん。」



 日が暮れた頃。

 まさるがはるみと、緊張した様子で街を歩く。

 店の前に立っていた青年が、まさるに気づいて手を振る。


「来てくれたんだ。友達もいらっしゃい。ちょうどみんなも集まってきたところだよ。」


 青年は愛想良く笑って、まさるたちを店内に先導する。

 広い座敷には、同じ大学の若者が大勢、楽しそうに談笑している。

 空いている座布団がチラホラあり、どこに座っても誰かがいるように配慮されているらしい。


「好きなところに座ってて」


 先導した青年はまた、店の前に戻っていく。


 まさるは手近なテーブルの空席に座り、はるみが続いて隣に座ろうとした時……。


「あ、お友達同士?よかったら交流も兼ねて、こっち側にどうぞ。」


 サークルの上級生から、はるみは、まさるの正面の空席を勧められる。


「来てくれてありがとう。楽しんでいってね。」


 上級生は快活にはるみに笑いかけ、会場に目を配りながら去っていった。


「あの……。ここ、座っていい?」


 まさるの隣を指しながら、緊張した面持ちの女学生が、まさるに問いかける。


「うん。どうぞ。」


 まさるは女学生に丁寧に頷き、はるみを嬉しそうに見る。

 そのすぐ後、まさるの反対側の隣に、別の女学生が座る。


 会場が着席の流れになっていた。

 次々と席が埋まっていく。

 はるみは、急いで移動し、まさるの真正面の席を選んで腰を下ろした。

本作は『仁王立ちヒーロー』(まさる視点)と対になる作品です

『仁王立ちヒーロー』はこちら

https://ncode.syosetu.com/n0451md/

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